ヒイラギキンモクセイとは
ヒイラギキンモクセイは、モクセイ科モクセイ属の常緑樹で、ヒイラギモクセイというのが一般的です。ヒイラギとモクセイ属の基本種であるギンモクセイを、掛け合わせた品種と言われています。葉には、ヒイラギ譲りの棘があり、花にはモクセイ属ならではの香りがある樹木です。
庭木としては管理しやすい
手入れにそれほど手間がかからないヒイラギモクセイは、よく生垣に利用され、育て方の基本を知っておきさえすれば、比較的管理の簡単な庭木です。下枝が枯れにくく、日陰でも育ってくれ、さらには棘のある丈夫な葉を持っているので、生垣に大変適しているといえます。
ヒイラギモクセイの特徴
モクセイ属で一番有名なのは、なんともいえない良い香りを持つキンモクセイですが、このキンモクセイはギンモクセイの変種と言われています。モクセイ属の学名のOsmanthusは、ギリシャ語では、osme(香り)とanthos(花)の意味になります。ヒイラギモクセイの香りは、キンモクセイほどには強くありません。
ボタ爺
学名とは、世界共通の名前のこと。学名はラテン語表記と決まっているのじゃ。
学名 | 特徴 | |
ヒイラギモクセイ |
Osmanthus × fortunei
|
葉に棘がある。花は白。 生垣によく使われる。 |
ギンモクセイ | Osmanthus fragrans | 花は白。 モクセイ属の基本種 |
キンモクセイ | Osmanthus fragrans var. aurantiacus | 花はオレンジ。 香りが強い。 |
モクセイ科モクセイ属の特徴と見分け方
ヒイラギモクセイは、ぱっと見たところ、そのもととなったギンモクセイに似ています。花の色も白で同じです。見分けるときは葉の形を見ます。葉のふちが棘になっているのがヒイラギモクセイ、葉のふちに鋸歯とよばれる多少のギザギザがついているのがギンモクセイ、葉のふちが比較的つるんとしているのがキンモクセイです。
葉脈と棘でしおりに最適
モクセイ属の葉は厚みがあり、葉脈がしっかりしています。葉脈とは、葉のすみずみまで水や養分を運ぶ働きをする維管束のことを指します。葉脈がしっかりした大きな葉は、しおりづくりに適しています。葉を薬品で加熱し、葉脈だけ残して、色をつけて乾燥させましょう。特徴的な棘のあるヒイラギモクセイの葉は、シルエットも美しく見栄えがあります。
ヒイラギモクセイの育て方
ヒイラギモクセイは、植える位置や剪定にそれほど気を使わなくてよいので、ガーデニング初心者が庭木を植えるとき、挑戦しやすい樹木といえます。ヒイラギモクセイの育て方のコツを学んで、ぜひ自分好みの庭をつくってみましょう。
植栽する場所は?
植物には、日光が十分に必要なもの、日なたでも育つけれど日陰でも育つ(耐陰性がある)もの、日陰を好むものとがあります。このうち、ヒイラギモクセイは、日なたでも育つけれど日陰でも育つ(耐陰性がある)植物です。このことを念頭に入れて、植栽場所を決めましょう。
日陰でも育つが日光が好き
ヒイラギモクセイは、本来日光が好きな樹木なので、一日の半分くらいは日が当たる場所がふさわしいでしょう。完全な日なたでも育てられますが、そのときは乾燥に注意して管理します。また、風通しの悪い場所はあまりお勧めできません。
カイガラムシやハダニに注意
庭木の育て方においてまず重要なのが、害虫対策です。ヒイラギモクセイの天敵として、特に注意したいのは、カイガラムシとハダニです。葉や茎に寄生して、葉の色を黄変させたり、かさかさにしたりします。カイガラムシもハダニも、数多くの植物に発生してしまいますので、庭木の天敵と言えます。
カイガラムシ対策は幼虫のうちに
カイガラムシはカメムシのなかまの昆虫です。風通しの悪い、暗い場所を好みます。その名の通り、成虫になると体が貝殻のように固くなってしまう特徴があるので、カイガラムシ対策の鉄則は、幼虫のうちに駆除することです。成虫になってしまうと、農薬に対する免疫力がつく場合があり、歯ぶらしでこすり落とさなければならなくなる場合もあります。
ハダニ対策には水が有効?
ハダニは、葉の裏に寄生します。ハダニに液を吸われた葉は、最初は白い斑点状になります。乾燥している高温の場所を好むため、ときどき葉の裏に散水してあげると予防になります。駆除するときは、数種類の殺ダニ剤を交互に使うと効果的です。
農薬について知っておこう
樹木の害虫には、12月から2月ごろ、石灰硫黄合剤という農薬を散布してあげると効果的です。農薬を筆などで塗布するか、噴射するかします。ただし、石灰硫黄合剤は嫌なにおいがするので、風のない日に散布しましょう。また、農薬は直接肌につくと人体にも害があるので、マスクやゴーグル、ゴム手袋などで、身を守ります。
室内で花の香りを楽しもう
庭木としておなじみのヒイラギモクセイですが、花が咲く時期には、ほどよい香りも楽しめますので、室内で鑑賞するのもおすすめです。生垣の花のついた枝を採ってきて、室内に置くのもいいでしょう。ただし、室内で育てる場合、棘に注意が必要です。ヒイラギほどではありませんが、ヒイラギモクセイの棘も刺さると少し痛いです。
ボタニ子
続いて、ヒイラギモクセイの植栽の時期の紹介!
出典:写真AC