シロダモはどんな常緑樹?その特徴をご紹介!庭木として育てられる?

シロダモはどんな常緑樹?その特徴をご紹介!庭木として育てられる?

山野や山地で赤い果実と花を一緒につけた葉の裏が白い樹木をみたことがないでしょうか。その樹木こそ、シロダモです。シロダモは果実と花が一緒に見られることから、庭木として利用されていることもあります。そんなシロダモの特徴や育て方、他の樹木との見分け方を紹介します。

記事の目次

  1. 1.シロダモはどんな樹木?
  2. 2.シロダモの名前の由来
  3. 3.庭木としてのシロダモ
  4. 4.シロダモによく似た野草、樹木
  5. 5.シロダモのまとめ

シロダモはどんな樹木?

Photo by harum.koh

シロダモは山地や山野に生育する雌雄異株の常緑高木の植物です。赤い果実と花が一緒につくこと、葉っぱの裏が白いことが特徴です。シロダモはクスノキの仲間であるため、葉っぱをちぎると、クスノキ科特有の香りがします。

基本情報

学名 Neolitsea sericea
分類 クスノキ科シロダモ属 常緑高木
別名   シロタブ、シロタブ、ウラジロ、ウサギノミミ
自然分布 本州の山形県と宮城県以西、九州、南西諸島など
花期 11月

学名の「sericea」は絹毛状が由来となっています。これはシロダモの若葉に絹毛がはえることからです。

葉っぱの特徴

シロダモの葉っぱは互生です。葉柄があり、枝先に密集して生えています。葉っぱの形は、長楕円形披針形で、先端はとがり、3本の葉脈が目立ちます。春になると、新葉を展開させます。シロダモの若葉には、黄褐色の絹毛がありますが、これは成長とともになくなっていき、次第に表面からは毛がなくなり、裏面だけに残ります。若葉は下に垂れるのも特徴です。葉っぱの裏面は、ロウ質を分泌しているため、白色をしています。

一目で葉っぱの裏が白いことがわかりますね!

冬芽の特徴

葉芽

シロダモの葉芽は長楕円形をしていて、先はとがります。

花芽

シロダモの花芽は葉芽と違い、球体をしています。シロダモは花芽と葉芽が異なる形をしているので簡単に見分けることができます。

先端についているとがっているのが葉芽。丸いのが花芽ですね。違いがわかります。

花の特徴

シロダモの花は黄褐色で、一輪一輪は小さいです。ですが、こんもりと葉腋に群生して咲くのですぐに見つけることができます。花弁は雄花、雌花ともに4枚です。

雄花

シロダモの雄花は、長い雄しべが6本突き出しており、先端にはやくがあります。このやくには、クスノキ科の特徴の弁があります。中心には雌しべが1本ありますが、これは形だけのもので結実することはありません。

雌花

シロダモの雌花は、白い柱頭があります。この柱頭も雄花の雄しべのように突き出しています。柱頭以外には、仮雄しべが6本あります。

樹皮の特徴

Photo by harum.koh

シロダモの樹皮は、灰褐色で割れ目はありません。ですが、丸い小さな皮目とクレーター状の突起が多くあります。シロダモの樹皮は老木になっても変わりません。幹の太さは最大40㎝ほどにもなり、木材として建材や薪炭に利用されています。

果実の特徴

シロダモの果実は、果実をつけてから翌年に秋に赤い色に熟します。雌株では、赤い色に熟した果実と花を同時に見ることができます。シロダモの果実は、核果であり、果肉が薄く、種子が大きいです。果肉や種子には油分を含んでおり、この油分は「ツヅ油」と呼ばれろうそくの原料などに使われていました。

果実が赤い理由

シロダモの果実が赤い色に熟すのは、鳥を呼ぶためです。シロダモは鳥に果実を食べてもらい、種子は鳥の糞として散布をしています。シロダモは鳥を介してシロダモを増やしていっているのです。

シロダモの名前の由来

シロダモ

シロダモは、葉っぱの裏が白いです。そのことが由来して「白」と名付けられました。ダモというのは、シロダモと同じクスノキ科の樹木であるタブノキのタブが転じたものと言われています。

シロタブ

シロダモの別名の一つであるシロタブ。由来は、タブノキのタブが転じないでそのまま「シロタブ」と呼ばれています。

ウラジロ

ウラジロはシロダモの別名の一つです。由来は、そのままシロダモの葉っぱの裏が白いことからです。お正月にウラジロというシダ植物を使いますが、このウラジロとの関わりはありません。

ウサギノミミ

ウサギノミミもシロダモの別名の一つです。由来は、シロダモの若葉は柔らかい黄褐色の絹毛があり、長い葉柄があるため垂れさがります。この状態がうさぎの耳に似ているため、「ウサギノミミ」という別名で呼ばれるようになりました。

庭木としてのシロダモ

シロダモは防風林として利用されていますが、まれに庭木としても植えられています。ここでは、シロダモを庭木として管理するための方法を紹介します。

育て方①育てる場所

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シロダモは丈夫な常緑樹です。そのため、日陰でも育てることはできますが、痩せた土地では育てることができません。また、暖かい土地に自生しているため、寒さが厳しい地域では植栽できません。ただし、暑さは潮風には強いので海岸近くの場所でも植栽できます。

植栽方法

シロダモを庭に植栽するさいには、環境に配慮しなければなりません。植栽場所は日当たりがよく、風通しがいい場所に大きめの穴を掘り、肥料と一緒に植栽します。移植には弱いので、成長してからの植え替えは避けるようにしましょう。

育て方②高さの調節

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シロダモは成長がはやく放っておくと、どんどん大きくなり大株になります。そのため、目的の高さに達したら、芯を切り戻す必要があります。それだけではなく、春、もしくは花が終わったころに剪定を行い、太さや高さを調節する必要があります。枝葉が繁る傾向にあるので、枝ぬきも行ってください。

育て方③病害虫

シロダモは、それほど病害虫に悩まされる植物ではありません。ですが、必ずならないというわけではありません。特に若葉の時に病気にかかってしまうと、一気に弱くなってしまうので注意が必要です。

うどんこ病

うどんこ病はシロダモの新葉に発生します。発生すると、葉や茎がまるでうどん粉をかけたかのように、白くなります。この病気は、乾燥すると発生しやすくなります。予防方法としては、剪定を行い風通しをよくすること、土壌の排水性をよくすることがあげられます。発生してしまった場合は、うどんこ病にかかってしまった葉っぱを取り除き、殺菌剤を使用してください。

育て方④肥料

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シロダモに肥料を行う場合は、熱くなるころに緩効性の肥料を株元に与えます。その後、2月に追肥を行います。もし、植え替えを行う際は、その時にも肥料を与えるのが好ましいです。

育て方⑤気を付けること

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シロダモの新葉は紫外線に弱いです。これは、シロダモの新葉の組織が未成熟で、クチクラ層が発達していないからです。この状態で、紫外線にあたってしまうと、新葉は細胞死してしまうことがあります。

育て方⑥シロダモを増やしたい

シロダモを増やしたい場合は、種子をとるのがいいでしょう。ただし、シロダモは雌雄異株です。種子を取りたい場合には、雄の木と雌の木が必要です。雄の木と雌の木を植えることができれば、果実が実り、シロダモを増やすことが可能です。また、両方の株を植えることによって、赤い果実と花を同時に楽しむこともできます。

シロダモによく似た野草、樹木

シロダモには、何種類かよく似た野草や樹木があります。その種類と見分け方を紹介します。

キノミシロダモ

シロダモの果実が黄色く熟すシロダモのことをキノミシロダモと言います。基本的には、シロダモと一緒ですが、果実の色だけが違います。果実が赤く熟したらシロダモ、黄色く熟したらキノミシロダモです。

ヤブニッケイ

ヤブニッケイはシロダモと同じクスノキ科の樹木ですが、シロダモとは違いクスノキ属の樹木です。葉っぱをちぎるとシナモンのようないい香りがしますが、シロダモはここまでのいい香りではありません。ヤブニッケイの葉っぱの裏は灰青緑色をしていて、毛がはえていません。

クスノキ

ヤブニッケイと同じ、クスノキ科クスノキ属の樹木です。葉っぱは、ショウノウの匂いがします。葉っぱの裏は毛がはえていなく、灰白色をしています。葉っぱの裏を見れば、シロダモとの見分け方は容易にできます。また、果実の色もシロダモは赤い色でクスノキは黒色をしているので果実の色からも見分けられます。クスノキもシロダモと同じように木材として使われることがあります。

シロダモのまとめ

シロダモは比較的に、育てやすい樹木とされています。早く大きくなりますが、剪定にも耐え、病害虫も少ないです。雄の木と雌の木を植栽すれば、赤い果実と花を一緒に楽しむことができます。お散歩中に、シロダモのような葉っぱを見つけたら、葉っぱの裏面を見てください。その葉っぱの裏面は白いですか?ぜひ、シロダモを観察してみてください!

高倉
ライター

高倉

植物が好きです!特に野草。そのあたりに生えている雑草と呼ばれる植物です。中でもカタバミを見るとテンションあがります。

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