アオギリ(青桐)とは?樹木としての特徴や用途をご紹介!

アオギリ(青桐)とは?樹木としての特徴や用途をご紹介!

アオギリを街路樹や庭木などで見かけることがあるかもしれません。種子は食用になり、戦時中には炒ってコーヒーの代用とされていました。他にもアオギリはさまざまな用途で日本人の暮らしを支える樹木でした。今回はアオギリの特徴や用途などをご紹介します。

記事の目次

  1. 1.アオギリの基本情報
  2. 2.アオギリの特徴
  3. 3.アオギリの用途
  4. 4.アオギリにまつわるエピソード
  5. 5.まとめ

アオギリの特徴

樹木のシルエット

アオギリはひとつひとつの部位がとても特徴的な形状をしています。実は秋になり乾燥することで、くるくると回転しながら落ちていく姿がおもしろく、小さい子が遊んでいる姿を見たことがあるかもしれません。ここでは、アオギリの部分ごとの特徴についてご紹介していきます。

幹の特徴

アオギリの幹はデコボコがなく、滑らかで、綺麗な緑色の樹皮が特徴的です。幹の緑色の部分からも光合成をし、樹木に栄養を与えています。樹木が若いうちは綺麗な緑色をしていますが、成長するにつれてだんだんと灰白色になっていきます。アオギリは樹木の中でも成長が早く、幹や枝をどんどん伸ばします。街路樹として植えられているアオギリは、視界を遮らないよう剪定が行われます。

幹や枝の剪定によるコブ

アオギリは生命力が強く、強い剪定にも耐える樹木です。しかし、強剪定が同じ部分で繰り返し行われると切られた部分を補強しようとして、幹がコブ状に変化してしまうことがあるようです。

葉の特徴

アオギリの葉は20〜35cmの大きさになり、葉の縁から3〜5裂します。『互生(ごせい)』といって、枝から互いに重なり合わないようにして伸びた『節』に葉をつけるのが特徴です。秋には緑の葉が黄色になり、落葉します。

ボタニ子

ボタニ子

葉の大きさは人の顔くらいか、それ以上に成長するよ!

日本の街路樹などで見られるアオギリは葉の裏側に柔らかい毛があるものがほとんどですが、伊豆諸島や沖縄、九州、四国の海沿いに自生するアオギリは葉の裏側に毛のない種類で『ケナシアオギリ』と呼ばれることがあります。

花の特徴

6〜7月の開花時期には『円錐花序』といってぶどうの茎のような枝に、花が密集して咲くので開花時期には房状になった白い花がとても目立ちます。アオギリは花弁が成長せず、ひとつの花の大きさは小指ほどで、小さめの可愛い花が咲きます。アオギリの花期は長く、雄花が先に開花しほとんどが落ちていく中、雌花も遅れて開花し結実します。

実の特徴

受粉が終わると雌花が残り9〜10月に実をつけます。ひとつの雌花から5つ程に分裂した実が、袋果状に育つのが特徴です。初めはいんげんの鞘のような細い緑色の実ですが、徐々に膨らんでいきます。

舟のような形をした果皮

アオギリの実は成熟する前にひとつひとつの実の内側が裂け、舟のような形になります。だんだんと茶色に変色し乾燥すると、風に乗ってくるくると飛んでいきます。果皮の内側には4つ程の種子がついています。

アオギリの用途

和紙

古く日本では樹皮を加工して使ったり、戦時中、種子をコーヒーの代用品とされたりとさまざま用途で使われ、人々の暮らしを支えてきた樹木でした。種子は平安時代の頃からおやつとして食べられていたという文献も残っているようです。続いては、部分別にアオギリがどのような用途で使われていたのかを見ていきましょう。

樹皮の用途

アオギリの樹皮はさまざまな用途に使われていました。繊維は水に強く、取り出して加工し糸を作り、敷物を編んだり布を織ったり、縄への加工もされていたようです。樹皮から採取される粘り気のある物質は和紙を作るときに、紙同士をくっつける働きをする『ネリ剤』としても使われました。

ボタニ子

ボタニ子

樹皮だけでも、さまざまな用途に使われたんだね!

種子の用途

アオギリにはカフェインや薬効があるとされています。中国ではアオギリの種子を『梧桐子』と呼び、漢方や生薬として用いていました。整胃腸薬としての効果などが期待され、昔は日本でも民間療法の範囲で使われていたようです。アオギリの種子は直径6mm程の大きさで、薬としての飲みやすさから丸薬などの大きさの基準になり、中国の古い書物には『梧桐子大に製薬する』などの記載が残っているそうです。

コーヒーの代用品となったアオギリの種子

日本国内ではコーヒーの輸入がストップした第二次世界大戦中に、成熟した種子を炒って粉砕し、コーヒーの代用品として飲用されていたようです。アオギリの種子にカフェインが含まれていることからコーヒーの代用品となったようですね。

ボタニ子

ボタニ子

アオギリのコーヒーはどんな味がしたのかな?

ボタ爺

ボタ爺

コーヒーの苦味は豆を炒って焦がすことで出ているんじゃが、アオギリの種子はデコボコしていて均等に焦がすのは難しそうじゃな。

アオギリにまつわるエピソード

原爆ドーム
Photo by inazakira

平安時代や戦時中のアオギリの話をご紹介しましたが、実はアオギリは現代でもさまざまな人達によって語り継がれる樹木なのです。第二次世界大戦の終戦間近に落とされた原子爆弾によって、アオギリは現代でも世界の人々と日本を繋げる樹木となりました。現在、アオギリがどのように国内や海外の人たちへ語り継がれているのかをご紹介していきます。

平和の象徴の樹

第二次世界大戦中に広島に落とされた原子爆弾によって『広島は75年は草木が生えないだろう』と言われるほど、街は壊滅的なダメージを受けました。爆心地から1.3kmの場所に植えてあったアオギリも被害を受けますが、力強い生命力で、翌年の春には残った幹からまた新たな芽を出し、当時の状況を生きる人々に生きる希望と勇気を与えてくれたといわれています。

アオギリの木の下で.../Metis

新たな芽を出したアオギリは、同じ悲しみや過ちを繰り返してはいけないという平和の象徴として『被爆アオギリ』と呼ばれ育てられます。現代では被爆アオギリを歌った歌や、映画なども制作され、当時の人々の想いや平和への願いを伝えています。

国内・海外への植樹

『被爆アオギリ』は昭和48年に現在の『広島平和記念公園』に移植されました。その後、採取された種子を苗木に育て、『被爆アオギリ2世』として命あるものを大切にする心を後世に伝えるため、国内だけでなく海外への植樹活動が、令和になった現在も行われています。

ボタニ子

ボタニ子

海外へは、ヨーロッパ、インド、インドネシアなどの大学への植樹が行われているんだって!

まとめ

ノートとペン
Photo byStockSnap

アオギリは部分ごとにさまざまな特徴がある樹木なので観察してみると、とてもおもしろい発見がありますね。古くから種子を食べたり、戦時中にコーヒーの代用品とされたり、樹皮は加工され布や縄、和紙の材料などとして使われるなど、日本人の生活に関わりの深い樹木です。口にしたり加工品として使われることはあまりない現代ですが、平和の象徴とされ海外への植樹活動も行われているアオギリは、日本と世界を繋いでいる樹木ですね。

maruko
ライター

maruko

ベランダにはバジル、大葉、ディル、トマトが育っています。自分で育てた野菜で作る料理はさらに美味しく感じますね。

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