カジノキとは?
暑さに強く太陽の光をよく好むカジノキとは、いったいどのような植物かご存知ですか?和紙が主流だった昔は栽培されることも多かったカジノキですが、庭木として植えることは可能なのかなど、まずは基本からご紹介していきます。
カジノキの基本情報
分類 | 樹木 |
学名 | Broussonetia papyrifera |
科名 | 桑(クワ)科 |
原産 | 東アジア |
樹高 | 4000~10000mm |
開花期 | 5月~6月 |
実 | 7~9月 |
桑の木と酷似している?
カジノキの類似種のひとつに桑の木があります。果実や雄花と雌花に大きく違いがあるものの、葉の形は酷似しているため、一目見ただけでは判別が困難です。樹皮も、裂け方や繊維に違いがあるとはいえ見た目の特徴にはあまり違いがなく、桑の木とカジノキが同じ場所に生えていると見分けることはかなり難しいです。
和紙の原料
カジノキの樹皮は和紙の原料として最も多く使用されており、和紙が主流だった時代ではカジノキの栽培も一般的でした。そして、和紙が特別な紙類となってしまった今現在も栽培されています。他に和紙の原料と知られているコウゾやミツマタは栽培が難しいため、古くからカジノキ以外の樹木は野生のものが使用されてきました。
名前の意味は?
桑と同じくカジノキの類似種で、よく間違えられてきたコウゾやヒメコウゾという樹木があります。これらは昔「カゾ」と呼ばれていました。カジノキの「カジ」はこの「カゾ」に訛りが混じり徐々に変化した名前と言われています。また、学名の「papyrifera」の意味は「紙のある」で、紙の材料になることから名づけられました。
カジノキの特徴
雌雄異株
桑の木やヒメコウゾが雌雄同株であるのに対し、カジノキは雌雄異株に分類される植物です。雌雄異株とは、その名の通り雌花と雄花がそれぞれ異なる株に咲く植物のことです。つまり、雌花しか咲いていないカジノキと雄花しか咲いていないカジノキが別々に存在しています。これが、他の類似種と最も異なる点です。
果実は食べることも
カジノキには食べることができる果実ができます。果実ができるのは雌花の咲く個体で、雄花にはできません。雌花は球状に繊維のようなものがたくさん出ているのが特徴で、9月頃になるとこれが赤色の粒粒のような実になるのです。生で食べることができるほか、ジャムなどに利用しても美味しく食べることができます。
カジノキの類似種
コウゾ、ヒメコウゾ
カジノキは昔から、コウゾやヒメコウゾとの判別がしづらい植物として混同されてきました。コウゾは、カジノキとヒメコウゾが混ざり合って出来た雑種で、この存在がさらに混乱を生んでいます。素人にも一目で分かる違いというと花と実、それから葉の触り心地のみです。
カジノキの育て方
庭木としては一般的ではない
カジノキの育て方ですが、大前提として庭木として植えることはあまり一般的ではない樹木です。和紙が主流だった頃は農家の一つとしてカジノキが栽培されることも珍しくありませんでした。日本全国で栽培が可能で、育て方にコツがいらない植物としてよく知られています。
丈夫な樹木なので手間がいらない
カジノキは、土壌を気にする必要がありません。また、耐暑性・耐寒性にも優れており、北海道のように寒さが厳しい地域では実が出来づらいですが、どこでも育てることができます。日光を好んでいますので、育てる際には山に植えられることが多かったそうですが、病気や害虫被害にも強いです。
カジノキと諏訪大社や七夕の関係とは?
諏訪大社の神紋
日本の宗教で神聖な植物として扱われ、神社に植えられていたり、家紋として使われてきたカジノキ。諏訪大社とのつながりは深く、神紋に使われているほか境内にも植えられています。諏訪大社の神紋には、カジノキの葉、幹、根の全てが描かれています。
短冊として使われていた
古来、宗教では笹や竹もカジノキと同様に神聖な植物として考えられており、七夕自体も神聖な行事でした。その為、江戸時代頃には七夕でカジノキの葉が短冊として使われていました。カジノキの葉は表面が無数の毛のようなもので覆われ、ザラザラしているため墨でも文字が書きやすいです。
まとめ
時代が変わった現在でも和紙の原料として使われているカジノキは、昔から日本だけでなく原産国の一つである中国でもヒメコウゾや桑の木との区別が困難なことから混同されてきました。しかし、七夕や神社との深いつながりがあることから、日本になくてはならない植物の一つです。これからも、身近な存在であってほしいですね。