アオギリの基本情報
日本の街路樹として植えられているアオギリは、中国や台湾が原産の樹木です。現在では街路樹の他、公園の植木、庭木などで見たことがあるかもしれません。15m前後の大きさまで成長し『落葉高木』と呼ばれる樹木に分類されます。耐寒性はあまり強くなく、温暖な環境を好む樹木です。
学名 | Firmiana simplex |
和名 | アオギリ(青桐) |
英名 | Phoenix Tree、Chinese parasol tree |
原産国 | 中国南部、台湾 |
別名 | 梧桐(ゴトウ)、碧梧(ヘキゴ) |
もともと、アオギリの分類は『アオギリ科アオギリ属』でした。DNAでの分析技術が進むことによって、現在アオギリ科は廃止され、2009年には植物分類を研究する団体により、『アオイ科アオギリ属』への移行が発表されています。今回は、中国だけでなく日本の人々との関わりも深いアオギリがどんな樹木なのか、特徴や用途、アオギリにまつわるエピソードなどをご紹介します。
アオギリはどんな樹木?
『アオギリ(青桐)』は名前の由来になっている、樹皮の青色(緑色)が特徴の樹木で、他の樹木と見比べると樹皮の緑色が目立ちます。また、アオギリの葉は『桐(キリ)』の葉と大きさなどが似ていることから『アオギリ(青桐)』と名づけられました。原産国の中国では『鳳凰がとまる木』として古くから大切にされ、親しまれています。
ボタニ子
ボタ爺
日本はその昔、まだ色の分類が少なかった頃に『緑』を『青』と表す習慣があったんじゃ。現代にもその名残りがあるのじゃよ。
ボタニ子
そうなんだ〜、体にいいとされる緑色の飲み物も『青汁』と呼ばれるよね。
樹皮が綺麗な樹木
アオギリは樹皮の美しさから、シラカバやヒメシャラに並び『三大美幹木』と呼ばれる樹木の中のひとつです。ちなみに、シラカバは真っ白な樹皮が特徴の樹木で、北海道などの寒い地域で見ることができます。ヒメシャラの樹皮は橙色でまだら模様が特徴の樹木です。関東西部から九州など暖かい地域で見ることができますよ。
アオギリの街路樹の減少
日本では、昭和の時代にアオギリが街路樹として盛んに植えられるようになります。アオギリは葉が大きく、成長のスピードが早いので、木陰を作るのに適した樹木だったようですね。当時は街路樹として、かなりの数が植えられたそうですが、現在では剪定や清掃の大変さ、倒木する危険などから街路樹として植えられたアオギリは減っています。
ボタニ子
名古屋市では、市道沿いに植えられていたアオギリ約120本を他の樹木へ植え替えされたんだって。
国に保護されているアオギリの自生地
人の手によって植えられたアオギリは減っていますが、伊豆最古の神社といわれる静岡県下田市白浜にある『白濱神社』の境内には、アオギリの自生樹林があり、国の指定文化財となっています。アオギリの自生地としては北限とされ、国によってアオギリの木が保護されています。
ボタニ子
街路樹は減っているけど、自生しているアオギリは国に守られているんだね。
ボタ爺
アオギリは日本で大切にされている樹木なんじゃな。
アオギリに似ている樹木
キリ(桐)
キリの葉が、アオギリの葉と大きさなどが似ているとご紹介しましたが、キリは『キリ科キリ属』に分類される植物です。同じ『桐』という漢字を使うので、仲間なのかと間違われやすいですが、『キリ』と『アオギリ』は全く違う種類の樹木なのです。
ボタニ子
昔、中国ではアオギリもキリも『桐』と表記していたんだって!
ボタ爺
現在の中国では、混乱しないようアオギリを『梧桐』キリを『泡桐』と呼び分けているんじゃよ。『梧桐』は日本でもアオギリの別名として使われることがあるんじゃ。
アオハダ(青肌)
他にアオギリに似た樹木には、樹皮が緑色に見える『アオハダ』がありますが、アオギリのように樹皮表面が緑色ではなく、『外皮』を少し削って見える『内皮』と呼ばれる部分が緑色をしているため、表面に内皮の色が透けて、幹全体が緑色に見えます。アオハダの葉は分裂はせず4〜7cmと小さめなので、葉を見るだけでアオギリとの違いがはっきりしますよ。
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樹皮は『緑』なのに、名前に『青』とつけたのはどうしてかな?!