アカザ(藜)とは?薬草としての特徴や栄養・効果・効能をご紹介!

アカザ(藜)とは?薬草としての特徴や栄養・効果・効能をご紹介!

アカザを見たことはあるでしょうか。昔は道ばたなどでよく見られました。栄養を豊富に含む薬草で、知れば知るほど奧の深い薬草です。今回は、アカザの生薬としての効能とその特徴、調理法やアカザに関する雑学など、盛りだくさんでご紹介いたします。

記事の目次

  1. 1.アカザとは
  2. 2.アカザの特徴
  3. 3.生薬としてのアカザ
  4. 4.アカザの仲間
  5. 5.アカザの調理方法
  6. 6.まとめ

アカザの仲間

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アカザには同じヒユ科の仲間が沢山います。ここで紹介するヒユ科の植物は、アカザのように薬草であり、生薬として効能のあるもの、食用にできるものを紹介します。

アカザの仲間①シロザ

シロザの漢名は白藜で、英名はchenopodium album L.です。ガチョウの小さい足という意味はアカザと同じです。ユーラシア大陸原産で高さは1~1.5m、葉はアカザと似た形で、白い粉がついてやや縦長の三角に近い菱形をしています。アカザと共通点の多い薬草ですが、生長し木質化してもアカザの木のように強くないため、杖には適しません。9~10月に開花します。シロザもアカザと同じように、食用として若葉をいただけます。生薬としての効能は、下痢止め・歯痛・虫刺され・胃を強くするなどです。

アカザの仲間②コアカザ

コアカザは漢名で小藜で、英名はficifolium smithです。原産国がユーラシア大陸の帰化植物です。アカザより葉が小さいためコアカザの名前が付きました。一年草で畑や荒れ地に育ち、6~8月に淡い緑色の丸く小さな花をつけます。アカザに似ていますが、草丈は30~60cmと小さめで、生長しても木質化しません。アカザと呼ばれますが、若葉の葉の根が白いためシロザに似ています。生薬としての効能は寄生性皮膚病・いぼとり・歯痛・虫刺されなどです。

アカザの仲間③キヌア

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疑似穀物に分類されるキヌアもアカザの仲間で、南米アンデス山脈の高地で栽培されています。近年では栄養素の高さからスーパーフードと言われ、食用としてとしての活躍はもちろん、病気の予防に役立っています。学名はchenopodium quinoaで、高さは1~2mです。

栄養価が高い

実は主に食用、葉は薬草として使われています。キヌアの実は価が高栄養いことで知られていますが、実はキヌアの実よりもホウレンソウに似た味の葉のほうが栄養価が高いのです。たんぱく質だけでも、実の約2倍含まれています。栄養価の高さや効能が注目され、NASAが宇宙食として採用したことでも話題になりました。

アカザの仲間④ホウキギ

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ホウキギは漢名は箒木と書きます。英名はsummer cypressで「夏の糸杉」という意味の一年草です。原産国はユーラシア大陸の乾燥地で、枯れた後の枝は束にして箒を作れるのです。草丈は30cm~1.5mで、近年日本で人気があり、「コキア」と呼ばれています。コキアという名は、実在したドイツの植物学者の名前(Joseph Koch)にちなんで付けられました。春は青く、9~10月にかけて紅葉し鮮やかな赤色をしています。

ホウキギの実の効能

実は加熱して食べられます。実の大きさは2cmほどで、小さく丸い黒色の実は「畑のキャビア」や「陸のかずのこ」と言われており、プチプチとした食感です。秋田では「とんぶり」と呼ばれ、食物繊維のほかに、葉酸・カリウムを含む栄養価の高い植物です。生薬としては、利尿・強壮剤として服用されます。生薬としての歴史は長く、日本では平安時代に貴族の間でもてはやされていました。

アカザの仲間⑤オカヒジキ

オカヒジキは日本の日当たりのよい海岸の砂浜に育つ一年草です。見た目がヒジキに似ていることからオカヒジキとつけられました。英名はJapanese saltwortで、soltwortの意味はミルナです。ミルナはオカヒジキの別称で、海藻のミルに似ていることから付けられました。漢字では水松菜と書きます。草丈は10~40cm、小さく淡い緑の花を7~10月に咲かせます。

オカヒジキの効能

山形県地方の伝統野菜で「陸の海藻」とも呼ばれ、栄養が豊富です。旬は4~5月です。薬草と言われていますが、食用として野菜のような感覚でおひたしなどにして食べるとよいでしょう。効能はβ‐カロチンを含み、呼吸器系・皮膚や髪の健康を守ってくれます。また骨を丈夫にするカルシウム・鉄分・ミネラル・マグネシウムを含んでいます。高血圧の予防にも効果的な薬草です。

次にアカザの調理方法をご紹介します。

アカザの調理方法

アカザは食用として栽培されいていたため、家庭菜園で作って食べられます。ホウレンソウの仲間で味が似ており、若芽や若葉を摘んで食べます。いずれ木質化する植物であるため、生長して大きくなった葉は硬くなり食べづらいです。シュウ酸を多く含み、あくが強いため生食には適していません。おひたしなどの和え物・汁物・炒め物・天ぷらなどにして食べられます。あく抜きをしてから調理しましょう。

アカザの栄養素

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アカザはミネラルが豊富に含まれており、ホウレンソウを上回る栄養価で、ビタミンA・B・Cが含まれています。食用野草の観点からも、ほかの野草の群を抜いて優れた栄養素を誇っているのです。このほかにロイシンやベタインが含まれています。ロイシンとベタインは筋肉をつくる上では欠かせない栄養素です。

アカザは優れた栄養があるけれど、食べるときの注意点があるよ。これから説明するね。

アカザを食べるときの注意点

  • アカザを食べると、人によっては中毒疹を引き起こす可能性があります。これは、アカザを食べた後に強い日光に当たることで起こるもので、局所的に発赤やむくみなどの症状が現れます。
  • 食べる量に気をつけましょう。多量の摂取は、中毒疹を引き起こす原因になります。
  • 調理するときは、アカザについている粉をしっかりと流水で落としましょう。
  • 飼育しているペットなどには与えないようにしましょう。

食べるときの注意点を理解した上で調理しましょう。以下の簡単レシピを参考にしてみてくださいね。

アカザの胡麻和え

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アカザの若葉を人数分用意します。調味料は、醤油・みりん・きび糖・すり胡麻です。鍋にお湯1リットルを用意し、塩小さじ1を入れて、アカザをサッと湯がきます。葉がしんなりとしたら、あくを抜くために流水で洗いましょう。ボールに醤油・みりん・きび糖・すり胡麻を適量入れたところに、よく水気を絞ったアカザを加えます。しっかり和えたら完成です。

このほかにも、アカザはさまざまな場面で人々の暮らしに寄り添ってきました。そのお話を紹介します。

救荒野菜としての役割

第二次世界大戦のさなかに、食糧不足を補う野菜としてアカザは夏の七草に推薦され、人々の胃袋を満たしました。救荒野菜といわれ、栄養豊富なアカザが食卓によく登場した時代です。当時は大量に食べ過ぎて、中毒疹になる人がいました。夏の七草は他に猪子槌・莧・滑莧・白詰草・姫女菀・露草があります。

まとめ

遠い昔から、アカザは人々の暮らしに馴染み、愛されてきました。畑や道端でよく見かけたアカザは今ではあまり見かけなくなったようです。存在を知られずにひっそりと生えていることもしばしば。よく目をこらして畑や川沿いを歩いてみると、忘れられつつあるアカザを見つけられるかもしれません。ぜひ、野に咲くアカザを探してみてくださいね。
 

はなねこ
ライター

はなねこ

動植物が大好き。お花を見るときが幸せな時間♪

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