シロザとはどんな植物か?
シロザという植物をご存知ですか?道端や畑など身近なところによく生えている雑草のひとつです。じつは食用にもなり、体に嬉しい栄養素も豊富に含んでいます。ここでは、そんなシロザの意外な魅力に迫ってみましょう。
シロザの基本情報
分類 | ヒユ科(以前はアカザ科)アカザ属 |
学名 | Chenopodium album |
形態 | 一年草 |
分布地域 | 全国 |
草丈 | 60~150㎝ |
花期 | 8~10月 |
花色 | 淡緑色 |
シロザの特徴と見分け方
身近なところによく生えている雑草
シロザは道端や、畑、海岸の砂地などごく身近なところに生えている植物です。8月~10月の花の咲く時期には草丈が60㎝から150㎝にもなります。このぐらい大きく育ったものは茎が固く、とても頑丈になり、昔は杖として利用したといわれています。
白っぽい若葉が特徴
シロザの一番の特徴は何と言っても先端の若葉が白っぽく見えることでしょう。白く見えるのは、葉に密集してつく白い粉状物によるものです。(上の写真はシロザの葉のアップです。半透明もしくは白くて丸い粒々が密集しています。)一説には紫外線から身を守るため、とも言われていますが詳しい理由はまだ解明されていないようです。
その他の見分け方
シロザは窒素分を好むので、畑など堆肥があるところに集まって生えていることも多く見られます。葉の形は、出たばかりでは三角形で、成長するとともに幅は狭くなり披針形になっていきます。葉の先端はとがっており、葉のふちにはぎざぎざの鋸歯がありますが、花序につく葉は鋸歯がない場合が多いようです。8~10月になると、茎の先や葉のわきに花序をだし、淡緑色から黄緑色の花が密集して咲きます。花のあとには五角形の果実をむすび、中には黒い種子ができます。
シロザとアカザの違いは?
アカザはシロザの変種
アカザという植物はご存知ですか?形はシロザとそっくりですが、名前の通り、シロザでは白く見える若葉の中心部分が、きれいな紅紫色をしている植物です。シロザは以前アカザ科に分類されていたため、アカザの変種がシロザだと思われがちですが、実は反対でアカザはシロザの変種だと言われています。
大きな違いは葉の色
シロザとアカザの違いといえば、その名の通り葉につく粉状物の色の違いでしょう。シロザには白い粉状物が葉に密集して付着しているのに対し、アカザの葉には赤い粉状物が付着しています。そのため、アカザの若葉の中心部分はきれいな紅紫色をしているのです。ほかに、アカザの葉はシロザに比べると薄くて、やや大きいようです。
シロザはよくみられるがアカザは数が減少
シロザ、アカザともに窒素分を好み、痩せすぎた土地はあまり好みません。好む生息環境は両者にほとんど違いはないと言ってよいでしょう。しかし、シロザはどこにでもよく生えていますが、アカザは道端などで見かけることはほとんどありません。アカザは葉の色が鮮やかなので、雑草に紛れて生えていても、見つけることはそれほど難しくはないでしょう。
シロザは食べられる?
じつはシロザは食用にできる雑草のひとつ。アクやクセがあまり無く、ふだん野草料理になじみがない人でも気軽に挑戦できる野草です。ここでは、そんなシロザの食べ方をご紹介します。(アカザもシロザと全く同じようにして食用とすることができます。)
シロザの栄養価
シロザには、ビタミンA、ビタミンCが豊富に含まれており、カルシウムもおおく含むと言われています。全体的に見た場合の栄養価はほうれんそうを凌ぐほどとも言います。春から初夏にかけての若葉の状態であれば、アクも少ないため、調理の手間もかからずおいしく食べることができます。ほうれん草の代わりとしても十分使えますよ。
シロザを食べる前の下準備
シロザを摘むのは春から初夏にかけて若葉が柔らかい季節が適しています。夏以降、大きくなってからでも摘むことはできますが、あくが強くなる場合が多いのでなるべく小さいうちに摘むことがおすすめです。かたくなった葉は摘まず、新芽のなるべくやわらかそうなところを摘むようにしましょう。
白い粉を洗い流す
摘んできたシロザはよく洗い、若葉についている白い粉もなるべく洗い流します。もむようにして洗うと、粉が取れやすいでしょう。お鍋にお湯を沸かし沸騰したら塩を少々入れて、洗ったシロザをさっとゆで、冷水にとり、水気をきります。ここまでが基本的な下準備です。
食べ方①おひたし
シロザの下準備ができたら、まずはシンプルにおひたしはいかがでしょう?水気をきって食べやすい大きさにカットしたシロザを、お醤油やだし醤油で和えるだけ。お好みですりごまやかつお節を加えるのもおすすめです。ほうれん草のおひたしをつくるのと同じ要領です。それぞれのご家庭の味付けで楽しんでみてくださいね。
食べ方②ナムル
材料
- シロザ
- 塩
- しょうゆ
- ゴマ油
- すりごま、またはいりごま
- ニンニクすりおろし(好みで)
作り方
- 下準備をしたシロザを食べやすい大きさに切る。
- ボウルにシロザ以外の材料を混ぜ合わせる。
- シロザを入れて和える。
こちらもほうれん草のナムルを作るのと同様に作ってみてください。人参やもやしを加えてもおいしく、いろどりもきれいになります。納豆と和えたり、お豆腐にのせたりとアレンジのきく一品です。
食べ方③その他アレンジ
野草の中ではクセの少ないシロザ。食卓に緑を添える名脇役です。他にこんな食べ方はいかがでしょう?
- マヨネーズ和え(ゴママヨネーズにしてもおいしいです。舌触りが気になるときにお勧めの食べ方)
- 炒め物
- てんぷら(この場合は洗って粉を落としたものにそのまま衣をつけて揚げます。)
- 汁物の青味
種の食べ方
秋になって花が咲いたあとにつく種。じつはこれも佃煮やふりかけにしておいしく食べることができます。プチプチとした食感が楽しく、ご飯が進みそうです。作り方は次の通りです。
シロザの種の佃煮
花が咲いた後、種をつけたシロザを摘んできたら、茎から種だけをしごいてとります。よく水洗いをして、さっとゆでてざるにあげ、水を切ります。水を切った種を鍋に入れ、だし汁(水でも)、しょうゆ、砂糖、みりんなど好みの調味料を入れ、水気がなくなるまで煮きったら出来上がりです。
シロザの種のふりかけ
茎からしごいてとった種をよく水洗いします。フライパンなどに油をあたため、種を炒めます。塩としょうゆで味付けして出来上がり。お好みでかつお節やいりごまなどを加えてみてください。
薬草としても使えるシロザ
シロザは薬草としての効能も持ちます。主な効能は次の通りです。
- 健胃作用
- 強壮作用
- 血圧降下作用
- 虫刺され
虫に刺されたとき、患部にシロザの葉をすりつぶして湿布をするとかゆみの緩和になったり治りが早くなるようです。また、若葉を摘んだものを水洗いしてから乾燥させてお茶にすると高血圧などに効果があると言われています。
※病気などの治療を目的とした記事ではありません。服用する場合にはご自身の責任でお願いいたします。
まとめ
身近なところに生えているシロザ。普段、気づかないうちに通り過ぎているかもしれません。けれど、栄養もあり比較的簡単にお料理することのできる草のひとつです。ぜひ、食卓に身近な自然の彩りを加えてみてくださいね。