シキミ(樒)の歴史・言い伝え
鑑真和尚(がんじんおしょう)は西暦688年に唐に生まれ、14歳で仏門に入りました。唐の僧侶でしたが西暦742年に日本からやってきた僧侶たちに懇請され来日し、日本の律宗の開祖となった人物です。この鑑真和尚が花の形が青蓮華(しょうれんげ)にシキミの花が似ていると日本に持ち込んだとされる言い伝えがあります。日本でシキミは宗派を問わず仏教とつながりの深い樹木とされています。青蓮華とは青色の蓮華のことで、仏や菩薩の目にたとえられています。
ボタニ子
生まれが西暦688年…?!来日が西暦742年…ってことは、かなり古い歴史があるんだね!
ボタ爺
言い伝えではあるが、古くからシキミが仏教に関わりがあることは明確じゃの。鑑真和尚は日本へお香の文化なども伝えたとされるんじゃよ。
シキミの歴史・言い伝え
- 鑑真和尚が持ち込んだのがはじめといわれている
- 青蓮華に花の雰囲気が似ているため持ち込まれたとされる
シキミ(樒)とサカキ(榊)の違い
榊の概要
名 | 榊(サカキ) | 科名 | ツバキ科サカキ属 |
形態 | 常緑樹 | 学名 | Cleyera japonica |
樹高 | 10m~12mほど | 原産地 | 日本 |
耐寒性 | 普通 | 耐暑性 | 普通 |
開花期 | 6月~7月ごろ | 花の色 | 白 |
榊(サカキ)は、一見、シキミと似た葉のように思えますが、よく見ると榊のほうが葉が平べったく楕円形をしており、色も気持ち濃い緑色をしています。シキミはマツブサ科シキミ属ですが、榊はツバキ科サカキ属の常緑樹です。榊に毒性はありません。榊は神道の神事に使われ、用途としては神棚や祭壇に供えることが一般的です。榊を庭木として植える家庭もあり、シキミに比べると耐寒性に優れているため、剪定をしっかりすれば生け垣として利用も可能です。
ボタニ子
榊とシキミって似たイメージがあったけど、全然真逆の用途なんだね。
ボタ爺
2種類とも古くから日本にある樹木じゃが、用途も異なるし、榊は神道、シキミは仏教と覚えておくとわかりやすいぞ。
神棚に飾られる榊
ボタニ子
神棚に供える榊って、確か決まりがあるんだよね?
ボタ爺
そうじゃな、神棚の榊は左右に1本ずつ供え、毎月1日と15日に交換するのが一般的じゃよ。地域によって若干の違いがあるかもしれんな。
仏壇に供えられるシキミ
ボタニ子
シキミはお墓とか、お仏壇に供えるイメージがあるね!これは何でだろう?
ボタ爺
仏壇は仏様をお祀りする場、ご先祖様の家というような意味合いがあるんじゃ。それで仏教ではシキミを仏壇に供えるんじゃよ。
榊(サカキ)とシキミの違い
- 見分け方は葉の形状、色を見るとわかる
- 榊は神道、シキミは仏教
- 榊には毒性はない
ボタニ子
次は、シキミを仏事以外に使う用途を紹介するよ!
シキミ(樒)その他の用途
シキミ(樒)の用途① 線香・抹香
シキミの葉を乾燥させ、粉末にしたものは線香や抹香(まっこう)の原料になっています。線香は他の植物や樹木も原料になることがありますが、抹香はシキミの葉や樹皮が原材料とされ、古くは仏塔で蒔く用途に使われましたが、現代では焼香用に用いられます。
ボタニ子
抹香…?あまりなじみがないかもしれない。焼香ってお葬式のかな?
ボタ爺
そうじゃな、仏教の葬儀で順番に焼香するじゃろ?あれに使われてるのが抹香なんじゃよ。線香でやる場合もあるそうじゃがな。
シキミ(樒)の用途② 生け垣
シキミは病害虫に強く、成長はゆるやかなので生け垣に利用することもできます。基本的には日当たりのいい暖かい場所を好みますが、耐陰性があるため日陰でも育てることができます。常緑樹のため、季節問わずきれいな緑色が保たれ、春にはかわいらしいきれいな花が咲きます。シキミはクリーム色の花が定番ですが、赤い花が咲く品種もあります。
赤い花を咲かせる「アカバナシキミ」
ボタニ子
わあ!鮮やかできれいな赤だね!!印象も全く違うし、生け垣にすると華やかになりそう!
ボタ爺
シキミは成長もゆるやかじゃし、剪定をしっかりすれば、葉も密集して見た目もきれいなんじゃよ。花色は好みで決めるのもアリじゃな!
シキミの苗木
【5本セット】 シキミ 樹高0.3m前後 10.5cmポット しきみ 樒 櫁 苗木 植木 苗 庭木 生け垣
参考価格: 2,080円
まとめ
いかがでしたか?シキミといえば、日本では仏事のイメージが強いですが、古くから日本でなじみがあり、歴史ある樹木でしたね。仏事以外に線香や抹香の原料として使われていたり、葉の密生度から近年では生け垣としてもシキミを使うことがありますが、栽培する際はシキミの強い有毒成分に気をつけましょう。似た八角との実との見分け方など、ぜひ参考にしてくださいね。
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出典:写真AC