レインボーユーカリとは?
レインボーユーカリという木の名前を聞き慣れない方もいるでしょう。地球広しと言ってもここまで芸術的な樹木が他にあるでしょうか。レインボーユーカリの色の秘密を探る前に、まずは聞き慣れないであろう人のために自生地や大きさなどの基本的な情報からおさらいします。
レインボーユーカリの基本情報
名前 | レインボーユーカリ |
英名 | Rainbow eucalyptus, Mindanao gum, Rainbow gum |
属名 | フトモモ科ユーカリ属 |
原産地 | パプアニューギニア、インドネシアなど |
パプアニューギニア、インドネシア、フィリピンに自生
ユーカリと聞くとコアラがいるオーストラリアかと思ってしまう方もいるかもしれませんが、レインボーユーカリはパプアニューギニア、インドネシア、フィリピンの森に自生している北半球で見られる唯一のユーカリの木です。現在はハワイ、中国、南米などでも栽培されています。
日本でも育つ
最近ではレインボーユーカリの苗木や種も流通するようになってきました。熱帯原産なのでそれほど耐寒性に優れてはいませんが、関東以南の暖地では外で越冬できます。温度と湿度を調整することができれば、栽培はそれほど難しくありません。
レインボーユーカリの大きさは高さ70m、幹の太さ100cm超!
しかし、カラフルな色が見たいと軽い気持ちで植樹するのは注意が必要です。レインボーユーカリは一般的に成長が速いといわれているユーカリの中でも特に成長速度が速く、しかも大木になります。大きくなると高さは70メートルを超え、幹の太さも100cmを超えます。庭に植えるなら場所をよく考える必要があります。
なぜこんなにカラフルか
レインボーユーカリの概要がわかったところで、次はそのカラフルな幹について触れてみましょう。他の樹木では決して見ることのできないそのカラフルな色合いは、なぜ、どのような仕組みで芸術的な美しさとなるのでしょうか。
色付く仕組み
新しい樹皮は明るい緑色、古い樹皮は茶色
レインボーユーカリの樹皮は、一年に一度の不規則な時期に縦に長く剥けます。剥けたばかりのレインボーユーカリの樹皮は、きれいな明るい緑色をしています。この明るい緑色が、時間の経過とともに青→紫、そしてオレンジ→えび茶色、と化学反応を起こして変化していきます。つまり、樹皮を見ればそれがいつ頃剥けたものなのか、計算できます。木の樹齢が上がれば上がるほど、現れる色素も色鮮やかになっていきます。
紅葉と同じ原理
なぜレインボーユーカリがこのように色付くかというと、実は毎年秋に木の葉の色が赤や黄色に変化するのと同じ仕組みです。レインボーユーカリの樹皮は赤や黄色などの色素を持っていますが、始めはそれらの色素は緑色に隠れて目立ちません。それが時間の経過とともに緑色の色素が分解され、隠れていた別の色素が目立つようになるのです。
色付く条件
レインボーユーカリの樹皮は、若木のときは明るい緑色です。成長とともにさまざまな色が現れるようになりますが、きれいなレインボーが見られるのは最低でも幹の太さが80cm以上になったときです。成長が速いといっても、幹が80cmまで太くなるには長い年月が必要です。
レインボーユーカリの用途
カラフルな色合いがとても印象的なレインボーユーカリは、どのような用途で用いられることが多いのでしょう。その独特の色合いを生かした木材として利用されることもあるのでしょうか。
レインボーユーカリは製紙用パルプ材
レインボーユーカリは大部分が紙の原料とするためだけに栽培されています。もちろんその紙は真っ白になります。まれに観賞用に公園などに植林されることがあります。意外なことに、カラフルな樹皮はほとんど利用されることはありません。
木材としては?
使われることもあるが、カラフルな色は失われる
そもそもユーカリは紙の原料として利用されることがほとんどで、一部の重厚な種類のユーカリだけが木材として利用されているに過ぎません。レインボーユーカリも、まれに家具の材料となることがありますが、レインボーユーカリは樹皮にカラフルな色が見られるだけなので、残念ながら木材にした時にその色合いは大部分が失われてしまいます。
レインボーユーカリが見られる場所
日本でも苗木や種が流通するようになってきたとはいえ、高さや大きさなどの点から植えられる場所が限定されるのと、冬の耐寒性に弱く暖地でしか育てられないということから、レインボーに彩られた大木を見ることは残念ながらできません。実物のレインボーユーカリを見るためには海外へ行くしかありませんが、どこで見ることができるのでしょう。
レインボーユーカリを見るならもっぱらハワイ
ハワイのオアフ島やマウイ島で鑑賞することができます。フィリピンやインドネシアでもレインボーユーカリは栽培されていますが、これらは紙の原料として出荷するために栽培されているだけであり、観光のためではないので、写真を撮るなどするのであればハワイに行くのが望ましいでしょう。
まとめ
意外なことに木材としてはほとんど利用されないレインボーユーカリですが、それは裏を返せば、鮮やかな色彩は木がまさに生きていることの現れであり、生命力の証です。その地へ行かないと直接その芸術的な色合いを目にすることができないというほんの少しの不便さは、ますますレインボーユーカリの神秘的なイメージを増幅させ、人々の心を魅了し続けることでしょう。