紙って何から作られるの?
紙は主に木材から作られる
紙は、主に自然素材である木材から大半が作られています。具体的な植物名としては、モミの木や松の木などの針葉樹や、ユーカリの木やポプラの木などの広葉樹が使われています。また、他にもサトウキビやワラ、竹などの食物繊維を原料としてできている紙もあります。
紙の種類
紙の種類はさまざまですが、身近なところだと、コピー用紙のような紙、習字で使う半紙、他には和紙などがありますよね。これらも全て、原料となるものは木材です。
紙の原料になるパルプとは?
紙の原料となる繊維をパルプといい、パルプは原材料によってその種類が分けられます。例えば、木材を原材料とするパルプは「木材パルプ」といいます。さらに、木材以外の植物からなるを「非木材パルプ」、その他にも、人工的につくられた「合成パルプ」などがあります。以下では、それぞれパルプの特徴をご紹介します。
木材パルプの特徴
木材パルプの特徴
木材パルプは、木の樹皮を取り除き、繊維だけを取り出して製造されるパルプです。木材をすりつぶしたり、薬品で溶かしたりする工程を経て、木材パルプとなりますが、比較的安いため、最も一般的に使われています。なお、木材パルプは、製法によって製紙用パルプや化学パルプ、セミケミカルパルプに分けられますが、ほとんどが製紙用パルプとして使用されます。
針葉樹と広葉樹の違い
木の種類には、針葉樹から作られたものと、広葉樹から作られたものがありますが、少しだけ違いがあります。針葉樹から作られたものは丈夫な紙になり、広葉樹から作られたものは、きめが細かい紙になるという性質があります。針葉樹では、モミの木や松の木、広葉樹では、ユーカリの木やポプラの木がよく使われます。
木材パルプの原料となる植物
①モミの木(針葉樹)
常緑針葉樹であるモミの木は、クリスマスシーズンにクリスマスツリーとして、よく見かけます。モミの木は、マツ科モミ属で、日本では、北は秋田県から南は屋久島まで幅広く自生している樹木です。モミの木の種類は世界中で約40種類あると言われています。
②松の木(針葉樹)
松の木は、松ぼっくりの木としてよく知られている木です。マツ科の裸子植物で、11属230~250種類もあり、ほとんどが高く大木となり、成木では約100mにも成長します。日本では、公園や海岸、お正月の門松などでも親しみのある樹木です。
③ユーカリの木(広葉樹)
常緑高木のユーカリの木は、フトモモ科ユーカリ属で、コアラの木として有名です。主な生息地は、オーストラリアやタスマニアでコアラの故郷です。種類も非常に多く500~1000種類もあるといわれています。葉もかわいく、香りも良いことから庭木としても好まれています。
④ポプラの木(広葉樹)
ポプラの木は、街路樹によく使われている樹木です。ポプラの木は、ヤナギ科の落葉広葉樹で、成長が早く、春には花が咲きます。別名西洋ハコヤナギともいわれています。
非木材パルプの特徴
非木材パルプの原料は、木材ではない植物から作られています。それぞれさまざまな特徴があり、その特徴に合わせた特殊な用途で使用されています。大量生産はされていないため、一般的に木材パルプより高価です。サトウキビやワラ、シリアル繊維、その他の原料に分けて紹介します。
非木材パルプの原料となる植物
①サトウキビ
サトウキビから砂糖を搾り取った、その残りかすからもパルプを作ることができます。それから作られたパルプをパガスパルプと言い、パガスとは、サトウキビの残りかすのことです。パガスパルプの生産量は、すべてのパルプの生産量の1.8%で、インドや中国、インドネシアなど、サトウキビの生産が盛んな熱帯地方で、よく生産されています。近年、環境の負担が少ない地球にやさしいパルプとして、注目を集めています。
②ワラ
ムギやイネのワラから作られるパルプです。材料が手に入る期間が非常に限られているという欠点がありますが、繊維が短く細いという特徴があり、印刷に向いた紙ができます。ファンシーペーパーや、証券用紙、高級和紙などに使用されています。
わら半紙
わら半紙は、かつては、ムギやイネのワラを原料として作られた紙でした。そのため、わら半紙と呼ばれていましたが、ワラの入手や管理が難しく、ワラを使用しなくなっていきました。ワラを使用しなくなった現在では、中質紙や下級紙、再生紙などを指す言葉となり、わら半紙という言葉が今も残っています。
③シリアル繊維
シリアル繊維とは、食品加工時に廃棄される不要物(表皮や繊維)シリアルを使用し、作られた非木材パルプです。主に小麦やトウモロコシ・コーヒー豆などが利用されています。シリアル繊維は、廃棄物を有効活用するため、エコフレンドリーな紙となります。
その他(非木材パルプの原料)
①~③以外の非木材パルプは、ケナフ(アオイ科ハイビスカス属の植物)や竹などがあります。他にも面白い素材として「ぞうの糞」からも紙が作られています。スリランカで初めて作られ、話題を呼びました。日本の動物園でもぞうの糞で作られた紙製品が人気を集めています。他にも牛やパンダ、コアラなどの、ほとんどの草食動物の糞からも紙が作れます。
合成パルプの特徴
植物でない原料を使った合成パルプ
合成パルプは、合成樹脂などを原料に作られたパルプです。合成パルプで作られた紙を合成パルプ紙と呼ばれでおり、一般に水に強く、破れにくいという性質を持っています。他にも、透明であったり、非常に薄かったりするなど、それぞれの合成パルプによってほかの紙にはない特徴を持たせた紙が作られます。
古紙パルプの特徴
リサイクルした古紙パルプ
古紙パルプとは、一度使われた紙(古紙)を原料として作られたパルプのことです。古紙を水でふやかし、脱インキ処理をして、古紙パルプができます。日本では、古紙回収率が世界の中でもかなり高く、50%を超えていて、中でも新聞紙の回収率がよく貴重な資源として再利用されています。
植物→パルプ→紙になる工程とは?
①植物→パルプ
- 植物である木材や植物から繊維を取り出すために高温高圧の鍋に薬品と一緒に入れる。
- 木に含まれる成分(リグニン)を溶かすために煮込み、繊維をばらばらにする。(リグニンとは、木の接着剤のような成分です)
- 漂白され、紙の材料のパルプとなります。
②パルプ→紙
- パルプを叩解(こうかい)する。(叩解とは、繊維と繊維が絡み合いやすいように機械で繊維を毛羽立たせることです)
- さまざまな薬品を入れ、パルプを硬くする。
- 繊維を均一に広げ、熱によって水分10%以下になるように乾かす。
- 下塗りをして表面を滑らかにする。
- 必要な大きさにカットして出来上がりです。
まとめ
紙について書かせていただきましたがいかがでしたか。紙を作るには、さまざまな原料の繊維を使用し、まずパルプをつくります。そして、そのパルプから紙になるのです。原料により、パルプの種類もさまざまですのでパルプについて詳しく紹介しました。