ひょうたん(瓢箪)の栽培後は加工しよう
ひょうたんを栽培して収穫ができたら、ぜひ加工にも挑戦してみたいものです。加工の方法は、まず穴を開けて水に浸して皮と果肉を腐らせます。次に種を出し、乾燥した後で装飾です。それぞれの工程について簡単にご紹介しましょう。
ひょうたんの種抜き
種抜きは、ひょうたん栽培で最も苦痛の伴う作業かもしれません。果肉が腐ったにおいはかなり強烈です。室内や住宅密集地で行うことは控えたほうがよいでしょう。しかし近年では「バイオひょうたんごっこ」のように酵素の力で果肉を分解する薬が市販されています。これを使うとにおいも少なく、短期間で加工が可能だそうです。穴を開ける道具、ひょうたんが全て水に浸かるだけの容器、ひょうたんが浮き上がらないようにする重し、棒、手袋などを用意しておきます。
ひょうたんの穴開け
まず、ひょうたんに種抜き用の穴を開けます。上に開ける場合は、つると同じ大きさの穴を開けるのが最適です。つるを残して下に穴を開ける場合は、おしりの真ん中に穴を開けます。種よりも小さな穴では種が抜けませんし、大き過ぎると見栄えが悪くなります。ドリルがあると楽ですが、焼いた火箸、錐(きり)、やすりなどを利用しても穴開けは可能です。穴が開いたら棒などで中身をつついて崩します。ひょうたんを壊さないように注意しましょう。
ひょうたんの水漬け
ヒョウタンを収穫
— ろふぃる(植物) (@rofil) September 17, 2018
穴開けてバケツで漬けてみました#ヒョウタン pic.twitter.com/mg6Vnokuc3
水漬けのときに身近なものでにおいを軽減するためには、塩素系漂白剤がよく使われます。塩素系漂白剤を加えた水を入れた容器を用意し、穴が開いたひょうたんにその水を満たしながら沈めていきましょう。水面から出ないようにして重しをします。少量ならば、丈夫なビニール袋の中でも水漬け可能です。2~3週間放置すると皮が剥がれ、中身が腐ってどろどろになります。「バイオひょうたんごっこ」などの酵素を使う場合には説明書に従ってください。
ひょうたんの種抜き
水漬けが終わったら、ひょうたんの外側を亀の子だわしなどでこすって皮を取ります。どろどろに腐った果肉と種は、先を曲げた針金などで全てかき出し、中をきれいに洗うのですが、手間がかかる作業です。すべりやすいため、落として割らないように注意しましょう。きれいな水に入れ替えて1週間程度漬け込み、腐敗臭を抜きます。来年まくための種をとることも可能です。しかし、同等の大きさと形のひょうたんができなかったり、発芽率が低かったりします。
ひょうたんの乾燥
におい抜きが終わったら、風通しのよい場所で陰干します。ひょうたんの口を下に向けて網袋に入れて干したり、細い棒に挿して立てたりするのが一般的です。乾燥に要する期間はひょうたんの大きさや厚さによって異なります。
ひょうたんの加工
乾燥させたひょうたんは、ぜひ加工して楽しみましょう。シンプルに飾りたい場合は、木を削って蓋をつけたり、座布団を作って据えたり、紐を結んだりする程度でも素敵です。もっと手を加えたい場合の加工の仕方をいくつかご紹介します。ご紹介する以外にも、いぶす、柿渋を塗る、藍や茶で染める、彫刻を施すなどの方法も人気です。
焼き絵を描く
肌がきれいにできたひょうたんは、肌を見せる装飾がおすすめです。こちらは、ウッドバーニングなどに使われる電熱ペンを使って焼き絵を施しています。熱くなったペンでひょうたんの表面を焦がしながら絵を描いていく方法です。ペンをゆっくりと動かすと焦げ目が濃くつき、軽く速く動かすと焦げ目は薄くなります。これを利用して濃淡をつけながら絵や文字を表現するのです。
アクリル絵の具で絵を描く
この画像のひょうたんは、リキテックスというアクリル絵の具で絵や文字を描いています。最初に全体を塗ってよく乾かせば、あばたになったひょうたんの肌も隠すことが可能です。仕上げには透明ニスを塗るとよいでしょう。
和紙を貼る
全体に和紙を貼るのも素敵です。和紙は、細かい柄の和紙を三角形に切って貼っていきます。三角形に切ると、ひょうたんの曲面にしわなく貼ることが可能です。画像のように、文字や和紙の模様を切り抜いて貼るのもよいでしょう。手前のひょうたんこけしは、幼稚園児の作品です。
研ぎ出しの技法
こちらはカシュー塗料を何色も塗り重ねて、研ぎ出しという技法で模様を作り出しています。カシューは、カシューナッツの殻から絞り出した油を原料とする油性塗料です。耐水性のやすりで研磨することで、下に塗った色の層が姿を現し、模様となるのです。この画像では研ぎ出しをした上からアクリル絵の具で鶴の絵を描いています。
ひょうたんランプ
こちらは、ひょうたんにドリルで開けた穴で模様を描いています。中にランプを灯すと穴から光が漏れて、やさしい和の照明となるのです。和風のお部屋はもちろん、洋風なお部屋でも心を和ませてくれるでしょう。
切って器として使う
ひょうたんの一部だけ、虫に食われたり割れたりすることもあります。そのようなときは、使える部分だけを使うことを考えてみましょう。こちらの作品は、割れた部分を切って作った吊り鉢です。水や酒を入れて使っていただけあって、植物を植えて水をやっても丈夫で長持ちします。雪のかまくらのような形に切って中に人形を入れるのもかわいいです。ちなみにひょうたんを花器として使った最初の人は千利休だといわれています。
まとめ
ひょうたんは縄文時代から日本人に栽培され、利用されてきました。大きなひょうたんは広い場所とつるを誘引する棚が必要ですが、千成ひょうたんならばベランダなどの狭い場所で育てることも可能です。ひょうたんの育て方は、水やり、つるの誘引、摘心、人工授粉、摘果などかなり手間がかかります。種抜きも大変な作業です。
しかし、ひょうたんは古来から縁起物とされてきました。ひょうたんは無病息災や子孫繁栄のお守りや、風水アイテムとして人気です。自分で育てたひょうたんを加工し家に飾れば、なによりも開運につながるかもしれません。ぜひ、ひょうたん作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
出典:筆者撮影