クレマチス・モンタナの基本情報
クレマチスは世界中に原種が300種類以上あるともいわれているつる性の植物です。イギリスでは「つる性植物の女王」とも言われており、多くのガーデニング愛好家に親しまれています。クレマチスには多くの系統が存在し、今回はその中でもモンタナ系の育て方や増やし方などについてご紹介します。
科属名 | キンポウゲ科センニンソウ属 |
形態 | 多年草 |
原産地 | 中国西部~ヒマラヤ地方 |
つるの長さ | 20~300cm以上 |
開花期 | 4月~5月頃 |
花色 | 白色、ピンク色 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 弱い |
モンタナ系の原種は中国西部からヒマラヤ地方の高山に自生していることから、耐寒性の強い特徴を持っています。花径は3~5cmと小さいために、一面に咲いても圧迫感はなく、他の花との調和がとりやすい種類です。
クレマチス・モンタナの種類
モンタナ系はクレマチスの中でも特に多くの花を付け、大変見ごたえがある品種です。蕾はうつむくような姿をしており、香りのよい品種も多くあります。その中でも代表的な3品種についてお伝えします。
エリザベス
エリザベスは、一輪の花の中でピンク色と白色の二色を楽しめます。8cmほどの花を咲かせ、モンタナ系の中では大輪の種類です。生育が旺盛でつるがよく伸びていくことから、他の植物と絡ませて楽しむことができます。また、バニラのよい香りがすることも特徴の一つと言えるでしょう。
ルーベンス
ルーベンスは花径6cmほどの淡いピンク色の花を咲かせます。モンタナ系の長所が集った代表的な種類で、その多花性ぶりは株の全てを花で覆い隠してしまうほどです。つるもよく伸び、強健で育てやすいことから大変人気があり、甘い香りを放ちます。
スノーフレーク
スノーフレークは花径が6cmほどで、その名前の通りの真っ白な花が咲き乱れます。株によって多少の白色に濃淡は出ますが、他の植物との組み合わせに悩む必要はないほどです。白色のモンタナ系の代表的な種類で、生長が早く育てやすいことから人気があります。
クレマチス・モンタナの花言葉
クレマチスの花言葉は「精神の美」「旅人の喜び」「策略」で、種類や色は問いません。「精神の美」は、クレマチスは多花性であることから、ツルの内側には生命のエネルギーが多く蓄えられていること、「旅人の喜び」は、丈夫なクレマチスのツルを縄や紐の他、ベッドのクッション代わりとして利用していたことから、宿屋の玄関先に植えていたこと、「策略」は、毒汁があるクレマチスの葉を物乞いがわざと自身の肌をかぶれさせ、他者の同情を誘ったことから生まれた言葉です。
クレマチス・モンタナの育て方
モンタナ系は鉢植えでも地植えでも栽培が可能な植物ですが、日本の高温多湿である夏の時期に枯れてしまうことが多く、寿命も3~4年と短いことで知られています。しかし、置き場所や夏場の管理方法などの育て方を工夫することで、長く咲かせることもできるでしょう。
水やり方法
クレマチス・モンタナの水やりは、鉢植えでは土の表面が乾いたら行いましょう。特に夏の時期は乾きやすいため1日に2回ほどの水やりが必要となってくる場合もあります。庭植えでは根が活着すれば水やりの必要はありませんが、長期間の晴天が続いた時や葉が萎れているような時には水やりを行いましょう。
肥料のやり方
真夏と真冬をのぞき、1~2ヶ月に1回は緩効性肥料を、月2~3回は液体肥料をやりましょう。クレマチス専用の肥料も売られています。
夏の管理方法
クレマチス・モンタナは高山に自生しているため、日本の夏のような高温多湿の環境には弱い品種です。土の鏡面が乾かないようこまめにチェックし、水やりを行います。直射日光や西日は避け、株元が半日陰となるよう工夫が必要となりますが、全く日が当たらないと日照不足となりますので注意しましょう。
冬の管理方法
クレマチス・モンタナは耐寒性の強い品種です。土の表面が乾いたら水やりを行い、鉢植えの場合は日当たりの良い場所に移動させましょう。
クレマチス・モンタナを植える場所
クレマチス・モンタナは高温多湿に弱いため、夏の時期に直射日光が長時間当たるような場所に植えてしまうと弱り、最悪枯れてしまうこともあります。半日陰での管理が理想ですので、庭植えの場合は夏の日射しや日照時間を考慮し植える場所を選定しましょう。鉢植えの場合は移動ができるので管理しやすいでしょう。
植える際の注意点
クレマチスはつる性の植物なので、這わせる支柱が必要です。つるが伸びてきたら這わせる作業をしましょう。しかし庭植えの場合は植え替えが難しいため、最初に植え付ける場所は慎重に選定しましょう。また、モンタナ系に限らずクレマチス全てに共通することですが、根が大変デリケートであるため、苗の一節目と二節目の間を土に埋めるようにすることで、特にモンタナ系は日光から遠ざける効果もあります。
鉢植えの場合
高温多湿により枯れることを防ぐために、鉢植えにすることもよいでしょう。鉢植えであれば、冬は日当たりの良い場所へ、夏は半日陰の場所へと移動させることができます。しかし先述の通り、つるを這わせる必要があります。大きく深い鉢に植え替え、大きめの支柱を立てることで華やかに見えるでしょう。
クレマチス・モンタナの増やし方
クレマチスの増やし方には主に、挿し木、種蒔き、つる伏せ、接木、株分けの方法があります。ここでは挿し木と種蒔きでの増やし方についてご紹介します。
挿し木で増やす方法
クレマチスの増やし方としては最も一般的な方法で、モンタナ系においては品種による難易度の差は特にありません。作業は5~6月に行い、今年出たつるの2節目を斜めに切り、発根促進剤に1~2時間浸けておきます。深さ15cm程度の鉢やプランターに通水性のある土を入れます(例:底から鹿沼土、パーライト、赤玉土)。鉢へ移したら10日は半日陰で底面給水し、2ヶ月後に一回り大きい鉢へ移します。根が定着していなければ枯れることもあるので注意しましょう。
種蒔きで増やす方法
クレマチスの基本的な増やし方です。10~11月の秋に種を採ったらすぐに蒔きましょう。深さ15cmの鉢やプランターに種蒔き用の土を入れ、種を蒔いたら1.5cm程の覆土をします。発芽するまでは鉢を半日陰に置き、土の表面が乾いたら水やりを行いましょう。初芽までは1~2年、開花までは2~3年かかります。
クレマチス・モンタナの剪定方法
クレマチス・モンタナは旧枝咲タイプの花です。去年のつるから花が咲きますので、つるの切り間違いには注意しましょう。剪定は冬の時期に行い、今年花が咲いたつるの花の下2~3節目を剪定します。春は花がらを積む程度にしておきましょう。夏以降に剪定してしまうと、翌春に花が咲かなくなる可能性がありますので止めておきます。何年も経ち風通しが悪くなるほどつるが伸びて込み合ってきた場合は、花後早めに上から2割程度を間引き剪定しましょう。
クレマチス・モンタナの仕立て方
クレマチスを上手に育てるためには上手な仕立て方が必要です。生長の過程でつるが絡まることがないよう、花がバランスよく咲くために行います。つるを日当たりのよい場所へ仕立てることで、株元を高温から守ることもできます。鉢植えの場合は、鉢にオベリスクを立てらせん状の仕立て方にすることで鉢の移動も可能です。伸び始めたつるが絡まらないようにばらけさせるような仕立て方にしましょう。
まとめ
クレマチス・モンタナは寒さに強く、小さい花をたくさん咲かせることで辺りが華やかになるだけでなく、香りも楽しむことができます。他の花との調和も取りやすく、ガーデニングを楽しめることでしょう。クレマチス・モンタナが苦手としている高温多湿の環境に十分配慮し、素敵な花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC