食用菊とは
食用菊とは、食用に品種改良されているキクのことです。食用菊はキクの特徴的な苦みが少なく、花びらが大きくて食べやすくなっています。刺身に添えられている黄色いつま菊は、全国のスーパーや飲食店でも利用されており有名です。ほかにも、黄色い小輪種の阿房宮(あぼうきゅう)や赤紫色で中輪種の延命楽(えんめいらく)など、食用菊にはいくつかの種類があります。
食用菊の産地
食用菊の主な産地は、山形県や秋田県など東北地方です。ほかの地域では、愛知県でつま菊が生産されています。ところで、全国の6割以上の生産量を占める山形県では、延命楽は「もってのほか」とも呼ばれます。この名前の由来は、延命楽がもってのほかおいしいからだそうです。また、天皇家の御紋にも使われている菊を食べるとはもってのほかという由来もあるといわれています。
食用菊の栽培①植えつけ
食用菊の栽培は、種は販売されていないため苗から育てはじめます。苗の植えつけ時期は、4月中旬~5月(寒冷地では6月)です。地植えもできますし、プランターや鉢でも育てられます。春の植えつけ後、花が咲く9~11月が収穫の時期です。菊の花は、日照時間が短くなると開花する特徴があります。そのため、電照などで人工的に調整しなければ、日が短くなるのが早い北の方から旬をむかえます。
食用菊の植えつけ用土
鉢やプランターの場合
食用菊は、弱酸性の水はけの良い養分を含んだ土を好みます。菊専用の用土を利用すると、土づくりの手間をかけずに植えつけられます。さらに水はけをよくするため、鉢底石も使用しましょう。食用菊は根を深く張り背丈が高くなる特徴があるため、苗の植えつけには深さがある鉢やプランターを使用します。
畑や地植えする場合
畑や地植えするときは土づくりから始めることになりますが、そう難しい作業ではありません。
- 食用菊は弱酸性の土でよく育つため、まず、植えつける2週間前に苦土石灰で土の酸性度を調整する
- 植えつける1週間前に、元肥を土に混ぜ込む。元肥は、たい肥と化成肥料を利用する
- 畑の場合は土を盛り、畝を作る。食用菊は背丈が高くなる特徴があり、成長にあわせて根元の土を盛り上げ、苗が倒れないように気をつける
食用菊の植えつけ方
苗をポットから取り出し、根は崩さずそのまま植えつけます。何本か植えつけるときは、株間を20~30cmほどとりましょう。根元の土をしっかり押さえつけたほうが、苗が安定し根を張りやすくなります。
出典:写真AC