ツルニンジンとは
基本情報
学名 | Codonopsis lanceolata |
科名 | キキョウ科 |
属名 | ツルニンジン属 |
ツルニンジンは、つる性の茎と高麗人参によく似た根が特徴の多年草です。北海道から九州まで分布し、山や低地の林に自生しています。海外の分布地は韓国・中国など。茎は2~3mまで成長し、無毛です。側枝の先端に3~4枚の葉がまとまってつき、葉の形は縁がなめらかなものと少しギザギザしたものがあります。別名は「ジイソブ(爺ソブ)」です。
ツルニンジンの特徴
ツルニンジンの花・蕾
ツルニンジンは、側枝の先端に1~2個ずつ花を付けます。下向きに咲く釣鐘型の花は、先が5つに浅く裂けて少し反り返っています。萼片は5枚で雄しべは5本です。花の色は緑がかった白色で、内側に紫褐色の筋や斑の模様があります。なお、花が咲く前の蕾は、緑色でぷっくりと膨らんでおり、まるでホオズキのような形です。
ツルニンジンの果実・種子
ツルニンジンの果実は、緑色の蒴果で直径2~2.5cmほどです。中央が前に突き出た五角形をしています。果実が成熟すると、真ん中から裂けて種子が飛び出します。種子は、光沢のない淡い褐色で、片側に羽がついているのが特徴です。なお、後述しますが、ツルニンジンによく似た「バアソブ」との見分け方では、この種子がポイントの1つとなっています。
ツルニンジンの効能
ツルニンジンの根は、韓国では古くから健康によい食材として重宝されてきました。自生のものが少ない現代では、韓国で食用に栽培されています。炒め物・和え物・キムチの具・焼酎漬けなどにして食されることが多いようです。また、根や茎を切ると出てくる白い汁も、「羊乳(ようにゅう)」と呼ばれ健康によいとされています。
ボタ爺
ボタニ子
花だけでなく蕾や果実もかわいらしいツルニンジンですが、羊乳はとても青臭いにおいがするようです…。
具体的な効能
清熱解毒、滋補強壮作用があり、催乳、鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)、強壮薬として用います。
- 解熱や炎症を抑える
- 体を元気にする
- 母乳不足を改善する
- 咳をしずめ、喉にたまる痰を取り去る
ボタニ子
乾燥させた根を煎じて飲むとよいようです。なお、漢方では「四葉参(シヨウジン)」という名前で呼ばれていますよ。
ツルニンジンの見分け方
「ジイソブ(爺蕎)」と呼ばれるツルニンジン(上記写真)に対し、「バアソブ(婆蕎)」と呼ばれる植物もあります。どちらもキキョウ科ツルニンジン属の植物で見た目もよく似ています。それぞれ「お爺さんのそばかす」と「お婆さんのそばかす」という意味で、花に斑点があることから名付けられました。
よく似た植物「バアソブ」
上がバアソブの写真なのですが、本当にツルニンジンにそっくりですよね!そんな両者の見分け方のポイントは以下のとおりです。
バアソブとの見分け方
ツルニンジン(ジイソブ) | バアソブ | |
花の大きさ | やや大きい(3cm前後) | やや小さい(2cm前後) |
白い毛 | 生えていない | 全体に生えており、特に葉の裏側に多い |
種子 | 淡褐色で光沢はなく、羽がある | 黒色で光沢があり、羽はない |
花の大きさ・白い毛の有無・種子の3点がポイント!
まとめ
つる性の茎から、釣り鐘型の花やぷっくりとした蕾が垂れ下がるツルニンジン。自生のものは希少ですが、山林を散策する際にぜひ探してみましょう。運がよければ出会えるかもしれません。また、日本ではツルニンジンを食べる習慣はあまり一般的ではありませんが、上述したとおり、健康によい食材としてもおすすめです。
有名な韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」でも、食材として登場するシーンがあるのじゃよ。