甘茶とは
甘茶とは、ユキノシタ科のヤマアジサイの変種から作られるお茶のことです。その名の通り、とても甘いことが特徴で、お茶だけではなく天然甘味料や入浴剤、化粧品などさまざまなものに用いられます。仏教行事の「灌仏会」では、釈迦の像に甘茶をかける風習があります。これは、釈迦生誕の際に、天から9匹の竜が現れ、「甘露の雨」を降らせたという伝承が由来といわれています。
甘茶の歴史・風習
甘茶の歴史は意外と新しく、江戸時代ごろから民間薬として飲まれるようになったといわれています。江戸時代以前の灌仏会では、五色水と呼ばれる水を使用していたとされていますが、のちに甘茶を使用することが主流となりました。また、甘茶には防虫効果があるとも信じられており、炭に甘茶を混ぜてすったものを使用して、虫よけの札が作られていた、という風習もあったようです。
甘茶の原材料
甘茶は名前に「茶」と入っておりますが、一般的なお茶の原材料であるツバキ科のチャノキではなく、ユキノシタ科のヤマアジサイの変種である、「アマチャ」という品種が原材料です。このアマチャの若葉を発酵・乾燥させ、煮出し、お茶にしたものを甘茶と呼びます。そのため、甘茶の別名を「あじさい茶」と呼ぶこともあります。
甘茶の花はガクアジサイに似ている
甘茶の花は、中心に両性花、外側に装飾花がつくガク咲きの花で、見た目はガクアジサイとほとんど区別がつきません。開花時期は5~7月ごろです。花の色は、苗で出回るものは青色が多く、アジサイ同様、土の中の酸度によって白~赤紫色に変化します。以下より、飲み物の甘茶は「甘茶」と、植物のアマチャは「アマチャ」と表記いたします。
ガクアジサイとの見分け方
通常のガクアジサイとの見分け方ですが、葉がやや細めで、色味が薄く、光沢がないものがアマチャの特徴です。また、通常のアジサイには毒が含まれており、万が一摂取した場合は嘔吐や痙攣などの中毒症状を起こしてしまいます。アマチャとアジサイは非常に似ているため、自家製で甘茶を作る場合は、間違いに十分気をつけることが必要です。
出典:写真AC