ワルナスビとは
悪茄子は毒なすび
ワルナスビ(悪茄子)は一見、可愛い可憐な花ですね。野山で見かけて可愛いからと持ち帰って庭に植えたりするかもしれません。しかし実際は、見た目に反して、強い繁殖力をもった毒性のある外来種の毒なすびで、駆除すべき雑草なのです。それではその名前の由来や特徴を詳しくお伝えしましょう。
名前の由来
ワルナスビの名前をつけた由来は、植物博士の牧野富太郎先生によるものです。牧野氏は自宅でワルナスビを栽培しました。その結果、切っても根っこを刻んでも再び生えてくる、トゲがあり花もさほど美しくもなかった上、毒なすびで本当に悪い雑草だ、ということが由来で、悪い茄子、ワルナスビと命名したそうです。
ワルナスビの基本情報
ワルナスビは繁殖力も強いため、一面にワルナスビが咲いていることもあります。ワルナスビは原産地では別名「悪魔のトマト(devil's tomato)」や「ソドムの林檎」といった名前で呼ばれています。それほど厄介な雑草なのです。
ワルナスビの基本情報
学名 | Solanum carolinense |
門 | 被子植物門 |
目 | ナス目 |
科 | ナス科 |
属 | ナス属 |
和名 | ワルナスビ(悪茄子) |
英名 | Carolina horsenettle |
原産地 | アメリカ合衆国南東部(カロライナ周辺) |
ワルナスビはナス科の多年草で草丈は30~50cmです。日本に来たのは明治時代です。
ワルナスビの特徴
ワルナスビの特徴①白い花が咲く
ワルナスビは春先に芽を出し、葉や茎にはトゲや星状の毛がついています。初夏に茄子やジャガイモに似た、白色や淡紫色の花が咲きます。花が終わると、秋ごろミニトマトの様な緑の実がつき、やがて熟すと橙黄色になり、実から種が出来てきます。
ワルナスビの特徴②葉や茎にトゲがある
ワルナスビの葉や茎の両面にはトゲが生えています。葉っぱの特徴は、形が卵形で少し切込みが入っており、茎に対して互い違いに生えています。一見すると柔らかそうな面持ちですが、触ると痛い目にあいます。
雑草のワルナスビを抜く前に気をつけて欲しい特徴があります。それは、ワルナスビの葉にも茎にも強固なトゲがついているという事です。気がつかずにこれを抜くと、非常に痛い目にあいますから、抜く時は気をつけて抜いて下さい。
ワルナスビによく似た雑草
ワルナスビによく似た、イヌホオズキという名前の雑草があります。花径は約1cmで、白色又は紫の花を咲かせます。実は6~7mmの丸型で、熟すと黒色になります。そしてやはり毒草で、食べると嘔吐や下痢や呼吸麻痺を起こしますため食べてはいけません。似ていますが、ワルナスビより小さめで、1年草なので駆除はしなくてよいでしょう。
ワルナスビの繁殖力
ワルナスビは繁殖力がとても強く、根茎が横の方向に伸びながら地中に繁殖する雑草なので、周りの草花を枯らしてしまう事もあります。
表面だけでは駆除しきれない
ワルナスビは繁殖期が6月~9月で、種からも地下茎からも増えていきます。繁殖力が強いため、特に地下茎は小さな根っこの断片からでさえ再生できるといわれています。つまり、地上部の見えている所を刈り取っただけでは死滅しないという事です。
ワルナスビはどこでも繁殖する
ワルナスビは日本全国で繁殖していて、育つ場所もあまり選びません。少しばかりの土と水があれば、荒地などでも繁殖しています。それほどしぶとく丈夫な雑草なのです。
種の脅威
ワルナスビは幾つもの実をつけますが、その1つの実から何十個もの種をつけます。この種は長い期間(約1世紀)たった後でも、条件がよければ芽が出て育ちます。その種がどんどんワルナスビの育つ場所を広げて行くので、ワルナスビの種ができる前にどうにか処分したいものですね。
ボタニ子
次ページからはワルナスビの繁殖力についてさらに迫っていきます。
ソドムとは、旧約聖書に出てくる「滅びた都市」あるいは、裁きによって滅ぼされるべきものといった意味があります。