葛とは
子供のころ風邪をひいたらお母さんが葛湯を作ってくれた思い出がある方も少なくないのではないでしょうか。お腹が痛いときにもとろりとしてほんのり甘い葛湯は弱った体をやさしくあたため、労わってくれるかのような食べ物です。そんな葛についておいしい食べ方や利用法について詳しく見ていきましょう。
基本情報
科 | マメ科 Fabaceae |
属 | クズ属 Pueraria |
学名 | Pueraria lobata |
英名 | Kudzu |
和名 | 葛(くず) |
別名 | ウマフジ、クツバカズラ |
生薬名 | 葛根(かっこん)、葛花(かっか) |
分布 | 東アジアの温帯地域 |
形態 | つる性多年草 |
名前の由来と歴史
かつて大和国と呼ばれた現在の奈良県吉野川上流、国栖(くず)という土地が葛粉の産地だったことに由来します。漢字では葛をいう字を当て「かづら」とも読みます。吉野ではおよそ450年前から良質の水と寒冷な気候を活かして葛の生産を行っています。
葛の特徴
花と葉の特徴
葛は日当たりのよい山野に生育し、夏の終わりごろには赤紫色の花をつけ甘い香りが漂います。葉は3出複葉、裏面に密生する白い毛でヨモギを見分けられます。10m近くもつるを伸ばし地面を這い、大きな三枚葉が一帯を覆いつくすほどの繁殖力で他の植物を圧倒するため、雑草として扱われることもあります。
果実と根の特徴
花が終わると長さ6~8cmの茶褐色のさやの中で果実が実ります。秋が深まるころには根元が木質化し始め、長芋に似た肥大した塊根にたっぷりとデンプンを蓄えるのが特徴です。長さは約1.5m、径は20cmほどになるものもあり、根をかむと少々苦みを感じます。
葛の効能
葛に含まれる栄養
葛の根には大豆にまさるイソフラボンが含まれ、体温を上げることにより発汗を促して熱を下げる、消化を活性化する、痙攣を鎮めるなどの効能が期待できるといわれています。
葛が活躍するとき
風邪かなと感じたら
トロリとした葛湯は喉の痛みを伴う風邪のときにも飲みやすいものです。風邪かなと思ったら早めにあたたかい葛湯で一息ついて、体を休めてあげましょう。
お腹の調子が悪いとき
葛のデンプンは消化がよく、胃腸に負担をかけることなく、栄養がとれます。体をあたためてゆっくりと休養をとりましょう。
ぐっすり眠りたいときに
葛が体をあたため安眠に導いてくれます。特に寒い冬の日には寝る前のリラックスタイムに葛湯でこわばった首や肩を解きほぐしてあげましょう。
次のページでは、葛のおいしい食べ方をご紹介します。
出典:写真AC