グロリオサの育て方
グロリオサの栽培カレンダー
切り花市場には、温室やビニールハウスで育てたグロリオサが通年出回っています。ここでご紹介するのは、一般的な露地(庭)栽培のカレンダーです。春に球根を植え、開花後に球根を太らせ、晩秋に掘り上げて冬越しするサイクルになります。
育て方①芽出し
確実に発芽させるためには、植える前に芽出しをしておくといいでしょう。1cmほど芽が出たら植え付けます。(芽出し作業は省略してもかまいません。)
暖地での芽出し
植え付け前(4月~5月)に、球根を袋から出してザルやプランターの受け皿などに並べます。温かくて雨に濡れない場所(窓際など)に置いておくと、球根の先が赤くなって芽が出てきます。
気温が低い時の芽出し
湿らせたパーライトに球根を埋め、ビニールをかけて保温しておくと芽が出てきます。水やりは不要です。
育て方②庭植え
植える場所は日当たりがよく、フェンスがある場所や支柱を立てられる場所がいいでしょう。じゃがいもなどと異なり、発芽点が一か所しかないので、傷つけないように気を付けましょう。株間は20cm程度空けます。
- 植え付け2週間前に20cmほどの深さに耕す。
- 緩効性の有機肥料を施しておく。
- 5~10cmの深さに棒状の球根を横にして植える。
家庭菜園と混在しないように!
- 間違えないように、イモ類とは隣り合わせに植えない。
育て方③鉢植え
球根は横にして植えますが、横幅の狭い鉢なら縦や斜めに植えてもかまいません。どちらの場合も、芽の出る方(丸みをおびている)を、深さ5cmの位置になるように植えます。鉢の目安は5~6号鉢に1球根で、横長プランターや大きな鉢に並べて植える場合は、発芽点の間隔を10cm程度空けましょう。
- 野菜・草花用培養土か、赤玉土6:腐葉土3:ピートモス1の割合でブレンドした土に緩効性有機肥料を混ぜておく。
- 底に軽石などの鉢底石を敷いてから、土を入れる。
- 発芽点が5cmの位置に浅植えする。
2~3年に1度植え替える
土の中に新しい球根が育ってきます。数年に1度は掘り上げて分球し、土を新しくして植え直しましょう。
育て方④仕立て方
支柱を立てる
自立が難しい植物です。茎の成長は早いので、早めに支柱を準備しておきましょう。途中で分岐して左右に枝を伸ばしますので、格子状に組むといいですね。まっすぐ育てることにこだわらなければ、縦の支柱だけでも構いません。巻きひげを伸ばして、自らを支える姿も魅力的な花です。
フェンスやラティス、ネットに絡ませる
支柱の他に、庭のフェンスやラティス、キュウリやエンドウに使う園芸ネットに絡ませるのもいいですね。絡みつかれてもかまわない高さのものがあれば、それを利用してもいいでしょう。
あんどん支柱
鉢植え栽培には、アサガオなどに使うあんどん支柱が便利です。とくに誘引しなくても自然に絡まってくれます。高さが足りない場合は長い支柱を立てます。
育て方⑤水やり・肥料
水やり
庭植えは、根が張れば基本的に水やりは必要ありませんが、晴天続きの時には水切れしないように注意します。鉢植えには、表面が乾いたらたっぷり水やりします。秋になって葉が黄色くなってきたら、水やりは必要ありません。
肥料
植え付け後から9月末まで、2週間に1度追肥します。緩効性化成肥料を土の上に置き肥するかばらまいて、肥料を切らさないようにします。
育て方⑥花がら摘み(球根を育てる)
花が咲き終わった後は、球根を太らせます。光合成を行うため、花がら摘みの時には株元で切り取らず、葉を多めに残しておきます。
育て方⑦病害虫対策
病気には強い植物です。ごくたまにアブラムシやハダニが発生することがありますので、早めに見つけて水で吹き飛ばします。
育て方⑧冬越し
熱帯系のグロリオサは、耐寒性の弱い植物です。地植えの場合は、冬前に球根を掘り上げて冬越しさせましょう。暖地ならば、株元を腐葉土や落ち葉などで覆って霜よけをすれば、掘り上げなくても大丈夫です。
鉢植えの冬越し
鉢植えは、葉が黄色くなったら水やりを止め、株もとで刈り込みます。土を乾かしてからそのまま室内や軒下などに取り込んで越冬させます。
育て方⑨球根の掘り上げ
10月下旬~11月上旬の晴天の日に、傷つけないように掘り上げます。スコップで広めに掘るといいでしょう。掘り上げた球根は、日陰で2~3日乾かし、パーライトに埋めるか新聞紙などに包んで5~10度の気温が保てる場所に保管しておきます。春に分球し、再び植え付けます。
食用のイモ類と間違えないように「グロリオサの球根(食べると猛毒)」と書いたラベルを張っておくといいですね。
グロリオサの増やし方
増やし方①分球(球根の切り分け)
グロリオサは地下茎が養分を蓄えて肥大した球茎で増える植物です。花後に養分を地下茎に集中させると、V字の形に子球ができます。V字の接合点で2つに切り分け、切り口が乾いてから植えます。あまり太っていなければ切り分けずに植えて、もう一度太らせます。
増やし方②種の採取
咲き終わると、花びらは子房と雄しべを包むように垂れてきます。交配ができていたら、緑色の子房が大きくなりやがて黒く結実します。中に赤い種がいくつかできています。
種まきで増やすのは手間がかかる
種まきから開花まで2~3年かかり、品種によっては先祖返りする(原種の花が咲く)場合もあります。手間がかかるので増やし方としてはおすすめしませんが、種の採取はガーデニングの楽しみの1つでもありますね。発芽適温は20~25度です。赤玉土かバーミキュライトに蒔き、高温多湿状態にすると発芽しやすくなります。
球根か種か、どちらかを選ぼう!
- 養分が分散するので、種を付けると球根は太りにくい。
- 球根を育てる場合は、花がらを摘み取る(種を採取しない)。
グロリオサの花言葉
花言葉①栄光
グロリオサの花言葉でもっともポピュラーなのは、花の名前にもなっている「栄光」です。輝かしい花色や形はぴったりですね。また、花びらや雄しべが天に向かって反り上がっている姿も、栄光という花言葉にふさわしいといえます。
花言葉②情熱
「情熱」という花言葉も、花色と形から来ています。赤と黄色の花びらが、燃える火のようで情熱的ですね。白など様々な花色の品種が誕生していますが、この花言葉もグロリオサ全品種に適用されます。
花言葉③勇敢
グロリオサには「勇敢」という花言葉も与えられています。寄りかかるものを見つけて自らを支えようとする葉の巻きひげの姿は勇敢です。何もない時には、隣り合った茎同士で葉の蔓をしっかり結んで支え合い、地に伏した状態でも花を咲かせます。
まとめ
グロリオサの独特の花の形は躍動感とエネルギーを感じさせます。寄りかかりながらエネルギッシュというのも素敵ですよね。ポジティブな花言葉は花束として贈りやすく、喜びの席を彩ってくれます。花束にする時に葉の巻きひげが絡みついてしまったら、鋏で葉の形に添ってヒゲを切り取るとまとめやすくなりますよ。ぜひ、育ててみてはいかがでしょうか?
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筆者撮影