ザクロ(柘榴)とは
科名 | ミソハギ科 (Lythraceae) ザクロ属の1種 |
別名 | 石榴【せきりゅう】 |
英名 | pomegranate |
学名 | Punica granatum |
特徴 | 落葉小高木 |
原産地 | 中近東 |
開花季節 | 5月下旬〜7月 |
赤くつややかな実がぎっしりとつまったザクロは古代から果樹として栽培されてきた落葉樹です。歴史はながくペルシャ(イラン)原産で各地へと伝わり5000年以上前の旧約聖書にも登場しているほどです。イランではポピュラーな果物で現代でもよく食べられています。日本には平安時代シルクロードをこえ中国経由で入ってきたとされています。
スペインとザクロに秘められた歴史
フラメンコの発祥の地として名高いスペインはアンダルシア地方の都市グラナダ(Granada)、スペイン語で「グラナダ」とはザクロの実を意味します。スペインの都市グラナダのシンボルもザクロです。お店や街灯、石畳にいたるまでザクロの硬い果皮がむけ果実が中から見える模様がよく描かれています。
果皮がむけたザクロをシンボルにした歴史的な意味
スペインの歴史を紐解くとイスラム教徒に800年間占領された時代がありました。そのあとキリスト教徒達が苦境を乗り越え硬く強固な城壁を打ち破りイスラム教徒たちからアルハンブラ宮殿含め、都市グラナダを奪還できたことを記念して、ザクロの硬い果皮がむけている絵をシンボルとして使うようになりました。
ザクロ(柘榴)の特徴
ザクロは1本の木でも実がつく自家結実性の果樹です。果皮は赤く先端がとがっていて秋の季節に実が熟してくると硬い果皮がだんだんと裂けるという特徴があり種や新苗から育てた場合、花は咲かせても実がなるまでには3〜5年程度の歳月がかかります。
ザクロの効能
ザクロは花と果実の両方で珍重されている果樹です。 果実には抗酸化作用が高く、抗炎症作用、記憶力の向上など健康効果に期待ができます。樹木として素晴らしいところは、じょうぶで他に何も育たないような痩せた土地でもたくましく成長をすることです。ザクロは古代ローマの多くの媚薬レシピでも言及されてきました。
ザクロ(柘榴)の種類
ザクロの種類は大まかにわけて果実をつけて食べることが目的の「実ザクロ」と花や実を鑑賞用として楽しむのが目的の「花ザクロ」の2つの種類に分類されます。また一回り小さな花やぷっくりとしたこぶりな実を盆栽仕立てや庭木として観賞用に楽しむヒメザクロのような矮性の品種もあります。
ザクロの品種
日本では食用としてのザクロ栽培が非常に少なく、一般的に市場に流通しているのは輸入品のアメリカ・カリフォルニア産、チリやイラン産が多いです。輸入品種は果肉が大きくジューシーで酸味の中にも甘さが強いのが特徴です。輸入されるザクロの収穫時期は9月〜11月頃にあたるため国内では秋の季節に見かけることの多い果物です。
カリフォルニア ザクロ
アメリカのカルフォルニアで品種改良され生産されている実ザクロです。よくスーパなど市場で出回っている品種で日本のザクロに比べ倍の大きさのサイズです。実が大きく酸味より甘味の強いものが多く生食やジュースに最適です。完熟すると果皮も中の実も真っ赤に色づきます。最近では庭木として栽培を楽しむ人も多くなり人気の品種です。
ペルシャブラック
めずらしい品種で果肉は濃い黒又は紫色の宝石のような実ザクロです。味にはコクがあり甘く濃厚でジュースや果実酒としても最適です。比較的に実が結実しやすく庭木として初心者にも育てやすい品種です。12月もしくは2〜3月ごろの冬場の季節が苗の植え付け適期です。
大甘ザクロ
数少ない日本産の実ザクロとして定番の品種が大甘ザクロです。日本では庭木としても家庭果樹栽培に適した甘酸っぱい果樹です。国内の果実の旬の収穫時期は9月〜11月頃です。果実が熟すと果皮の裂け目から真っ赤な実が見えるようになります。
ザクロ(柘榴)の花言葉
ザクロには花と実の両方に、それぞれ謎めいた花言葉がついています。花は鮮やかな赤橙色でルビーのように輝く赤い果実は神話の世界にも語り継がれ神秘的な果物として扱われてきました。長い歴史のなかで親しまれ栽培されてきたザクロならではの花言葉の深い意味や由来をご紹介します。
ザクロの花言葉:花
花言葉は「成熟した優雅さ」
ザクロの花言葉は「成熟した優美さ」です。あでやかなオレンジ色の花びらをまとい優美に咲きほこる姿や果皮の中には成熟した赤く多汁な果実がぎっしりとつまった様子はまさに輝く宝石のようでぴったりの花言葉です。
ザクロの花言葉:実
ザクロの実の花言葉は「愚かさ」と「結合」
ザクロの実の花言葉は「愚かさ」と「結合」です。「愚かさ」の意味はギリシャ神話にさかのぼり、女神ペルセポネーが、冥王ハーデースによって冥界へ連れ去られ誤って冥界の果物であったザクロの実6粒をうっかり食べてしまったことに由来します。また、ぎっしりと実がつまったザクロは多産と豊穣の象徴とされています。
ザクロ(柘榴)の開花時期
ザクロの開花期は初夏5月下旬~7月です。春に伸びた枝先に一般的にオレンジ色の花びらを一重に付けます。現代では品種改良により八重咲きや、花色もバリエーションが増えました。一重咲きの花は秋に結実し果実が付くため「実ザクロ」、花びらを重ねて咲く八重咲きの花は結実しないので「花ザクロ」と区別しています。
まとめ
かつて王族の果物と考えられていたザクロ(柘榴)は、豊穣・繁栄の象徴としてエキゾチックな庭園を彩っていました。美しく華やかなオレンジ色の花は観賞目的に、そして秋には装飾的な果物になり一年中楽しめる果樹です。ザクロの魅力を知ったならば、お庭のシンボルツリーとしてぜひ栽培してみてはいかがでしょうか。