ロウバイ(蝋梅)とは?
ロウバイ(蝋梅)は、厳寒の咲く花が少ない時期にすっきりとした甘い香りを漂わせる花として知られています。庭木に利用している方も多いでしょう。こぶりなかわいらしい黄色い花と香りで、人の目と花を楽しませてくれます。
名前の由来
ロウバイは花びらがロウ細工に似ているから「蝋梅」ではないかという説が知られています。旧字体で「臘梅」とも表記されることもあります。旧暦の12月に開花するので、12月の異称の「臘月」から取られて臘梅とされたのではないかという説もあります。
「老梅」の表記は間違い
花や苗を扱う店で「老梅」という表記を見かけることはありませんか。実は間違いです。「老梅」ですと、年数が経った梅の木という意味となるので、全く別の花を指すことになります。
花言葉
花言葉のうち「慈愛」「優しい心」「愛情」については、花の種類が少ない寒い時期に開花して、人々の心を温かくさせることからといわれています。花を下に向けてうつむき加減に開花するので、「奥ゆかしい」という花言葉もつけられています。「先見」や「先導」という花言葉もあり、春になる前に先駆けて開花することから由来すると考えられています。
ギフトに利用するなら
ロウバイは1月2日と1月21日の誕生花です。気の置けない人がその日に生まれたなら、誕生日のギフトに利用するとよいでしょう。「慈愛」や「優しい心」「愛情」という花言葉から、いつも自分を見守ってくれる大切な人への贈り物として利用するのもおすすめです。
飾り方
こぶりな花は和室にも合うので、床の間に飾ってもすてきです。早く咲く品種であれば、お正月の飾りと一緒に花瓶に挿して玄関先に活けるのもおすすめですね。掛け軸や手ぬぐいなどの和のタペストリーと合わせても、邪魔をせずに互いを引き立たせ合うでしょう。
ロウバイ(蝋梅)の特徴
ロウバイは「クスノキ目ロウバイ科ロウバイ属」の落葉低木で、半透明でロウ細工のような質感でツヤのある花が咲き、果実の形はかりんに似たような楕円形をしています。花は一見小さな黄色の梅のように見えますが、梅は「バラ目バラ科」に属すため遠い関係です。ロウバイの詳しい特徴を見ていきましょう。
特徴①中国原産
ワロウバイ(和蝋梅)という種類もありますが、実は中国原産の植物です。日本に伝来したのは江戸時代1600年代で、後水尾天皇が在位している時期と伝えられています。中国から来た梅ということで、「唐梅」(カラウメ)、「南京梅」(ナンキンウメ)という異名もあります。
特徴②甘い香り
最も特徴的なのは、花のよい香りでしょう。果物のような甘さを感じさせながら、すっきりと透明感があります。「ロウバイ」と名のついた香水もありますが、実際には香り成分を大量に取るのが難しいです。調香師が複数の植物の精油をかけ合わせて、実際の香りに近い香水を作っている場合もあります。
特徴③黄色の梅のような花
基本的な種類のロウバイは、花の中心部が紫で周囲を取り囲む部分が黄色です。花のサイズは、実際に開花した梅と比べるとロウバイの方が小さいでしょう。園芸品種ですと、中の芯の部分まで黄色一色の花もあります。茶褐色や白色の花にロウバイとついている場合は近縁の科の品種であることが多いです。
特徴④薬にもなる
花やつぼみを乾燥させて抽出されるエキスを「蝋梅油」と呼びます。蝋梅油は抗菌作用があることから薬にも利用されていて、火傷や鎮痛剤、解熱剤、咳止め薬として使われることもあるようです。
特徴⑤毒も含む
ロウバイの花には有毒成分が含まれていません。そのため、少し触れただけでは毒が回るということはほぼありません。しかし、開花後に春になってつく実には毒が含まれています。かりんの実に似た、さや状の物を割ると、小豆くらいの大きさの楕円形の実が出てきます。この小さな実に強い有毒成分があります。
どのような毒か?
実の有毒成分はアルカロイドの一種カリカンチンで、近縁の科に属するクロバナロウバイなどの実にも入っています。口に入れると中毒症状を起こし、最悪の場合は呼吸困難で死に至る可能性もあるとされています。自宅の庭や散歩している最中に、小さな子供やペットが口にしないように注意しましょう。
特徴⑥開花時期は冬
ロウバイの開花時期は早いもので12月に、最も遅いもので2月です。開花とともに春が近づいているのを知るという方もいるでしょう。蝋梅は「雪中四友」(せっちゅうのしゆう)の中の1つで、山茶花(茶梅)、梅(玉梅)、水仙とともに雪の時期に咲く4種類の花として知られ、日本画の画題にも選ばれます。
「雪中四友」と呼ばれるのは、雪の中や厳寒の時期という花にとっては厳しい季節なのに、花を開いて芳しい香りを漂わせるからだといわれています。
ボタニ子
次は、種類や近縁種、育て方を紹介します!