トリカブトの見分け方
見分け方としては、生息地や特徴、種類を把握する必要があります。ニリンソウと間違えやすいヤマトリカブトは、ある程度成長すると茎が縦に伸びていくため、茎の高さがポイントです。さらに、根の形も横に広がらずレモンのような形をしているので、草丈や根の形状をよく観察すると見分けがつけられます。
ポイント①におい
植物を見分けるときに大切なポイントとして、においの違いがあります。トリカブトは無臭のため、ニリンソウやヨモギなどを収穫するときに、においで判断が可能です。においを嗅いで判断するには、収穫したいもののにおいを覚える必要があります。慣れないうちは、植物に詳しい方に教えてもらうと安全です。
ポイント②葉っぱ
葉っぱの形で判断するのは大変難しく、素人には困難です。しかし、よく観察すると葉の切れ込み方の違いや班模様の有無などの特徴があります。北海道に自生しているエゾトリカブトの場合は、5角形のようなシルエットをしており、茎が弓場にしなだれているところがポイントです。種類によって葉の形が変わってくるため、形をしっかりと覚える必要があります。
ポイント③花
トリカブトの花は特徴的な形をしているため、ほかの花と間違える可能性は低いです。葉の形状が似ているニリンソウとの区別をつける方法として、花の色や形状を観察します。ニリンソウには白い花が咲きますが、トリカブトには薄紫~青紫色の花が咲くため、それぞれの特徴を覚えることが大切です。
ポイント④味
毒をもつ植物の特徴として、口に入れたときにピリピリとした刺激があります。少量でも死亡してしまうほどの毒をもっているので、味に関しての情報は未だ不明です。もし誤って口にしてしまった場合は、すぐに吐き出してから病院を受診しましょう。どんな味なのか気になったとしても、絶対に口にしてはいけない植物です。
トリカブトの種類
トリカブトにはたくさんの種類があり、生息地で名前が変わるなど、品種もさまざまです。ここでは、国内に自生している品種を生息地とあわせてご紹介していきます。またトリカブトという名前は、キンポウゲ科トリカブト属にあてはまる植物の総称です。誤飲事件が多い品種をはじめ、国内の高山に自生する品種にも触れていきます。
ヤマトリカブト
ヤマトリカブトは東北地方~中部地方の山や草原に自生しています。花は9月頃から咲きはじめ、茎の高さも1mを超えることから、春に比べて夏~秋が見分けやすい時期です。また、春先の芽生えたばかりのニリンソウやモミジガサ、ヨモギなどと間違えやすいと言われています。葉っぱに5~7裂の切り込みが入っているのが特徴です。
ハコネトリカブト
本州中部~関東地方、箱根の山岳が生息地のトリカブトです。ほかのトリカブトよりも小型で、直立する茎と深い切れ込み、固まって咲く花が特徴的な品種になります。ヤマトリカブトとほぼ同じ種類だという説もありますが、箱根の山岳でよく見られるためハコネトリカブトという呼び名で知られている品種です。
オオサワトリカブト
富士山で見られるトリカブトとして知られています。亜高山帯にある岩の多い草原などに自生していることが多く、茎の高さが30~60cmとヤマトリカブトよりも背が低い品種です。8月頃~9月頃に花が咲き、葉っぱには班模様が入っているものもあります。葉の形状が3深裂しており、葉っぱに特徴がある品種です。
キタダケトリカブト
北岳に自生しているトリカブトとして知られています。亜高山帯の岩が多い草原に生えており、草丈が20cmほどにしかならない品種です。国内に自生するトリカブトの中でも一番小さいと言われており、8月~9月頃に花を咲かせます。葉っぱには細かく切れ込みが入っているため、ほかのトリカブトよりも見分けがつけやすい品種です。
タイセツトリカブト
北海道の大雪山に自生するトリカブトとして知られています。草丈が30~70cmと、ヤマトリカブトよりも背が低い品種です。直立した茎が特徴的で、ほとんど枝分かれせずに生えています。7月~8月頃に花が咲き、葉っぱは5深裂で深く切れ込みが入っている形状です。
花の栽培について
植物全体に毒があり、神経質になりがちなトリカブトですが、園芸植物の中では比較的育てやすいと言われています。直接植物を口にせず、極力素手で触らないようにすれば、問題なく自宅で楽しめる植物です。花がつきやすい品種や場所をとらない小型の品種などさまざまな品種が栽培されています。また、暑さに弱く寒さに強い特徴があり、日陰でも育つ植物です。
園芸品種
園芸店で取り扱っているものには、オクトリカブトやヤマトリカブト、エゾトリカブトなどがあります。インターネットで購入できるので、お近くの園芸店で販売されていない方でも購入が可能です。ポット苗や種で販売されており、お好みの方法で栽培できます。トリカブトの仲間でもあるレイジンソウも出回っているため、さまざまな花色が楽しめます。
切り花を楽しむ
トリカブトは切り花でも販売されており、生け花や茶花などに利用されています。よく観賞用に使用されているハナトリカブトは、徳川時代に中国から渡ってきたもので、毒性が弱い品種です。しかし、毒があることにかわりはないので、小さなお子様やペットがいるご家庭は注意が必要になります。
まとめ
毒をもつ植物でも、しっかりとした知識や経験があれば安全に楽しめます。大切なのは、見分けのつかない植物は絶対に収穫しない、口にしないことです。事故を防ぐには、一人一人が知識や経験を積み重ねる必要があります。まだ自分で見分けるのが難しいという方は、ガイドさんや詳しい方に直接教えてもらう方法が一番です。
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