ノビルとは
ノビル(野蒜)は、ヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属の植物です。北は北海道から南は沖縄まで、全国の道端や河川敷などさまざまな場所で見つけられます。見た目はまるで細ネギかアサツキのようですが、内側が中空ではなく、ずいが詰まっているのが大きな違いです。また、ニラに似た独特な匂いがあります。
基本情報
学名 | Allium macrostemon |
和名 | ノビル |
草丈 | 20~30cm |
分布 | 北海道~沖縄・東アジア各地 |
いろいろな場所に生えている雑草
ノビルは主に、日当たりのよい場所に自生しています。丈夫で子孫が増えやすい植物で、公園やブロック塀の隙間など、さまざまな場所で見つかります。特に、周りに背の高い草があまりない場所を好むため、人間が手入れをしている土手や畑のそばなどで大きな株が見つかるでしょう。
花言葉は「タフなあなたのことが好き」
花言葉は「タフなあなたのことが好き」です。ノビルは人間が暮らしている場所の近くならばどこにでも生え、根・種・ムカゴの3種類の方法で繁殖する、とても生命力の強い植物です。だからこそ、このような花言葉がついたのでしょう。また、「胸のたかなり」や「よろこび」といった花言葉も持っています。
特徴は丸い球根
ノビルの大きな特徴は、球根です。真っすぐ伸びた葉の根元に、白くて丸い球根がついています。地上部がよく似ているタマスダレやスイセンは、球根が茶色でへん平型のため、ノビルとこれらの植物を見分ける大きな手がかりです。香りはほかの部分に比べると控えめですが、ラッキョウやエシャロットのような風味を持ちます。
毒性はない
ノビルには毒性がありません。一方、栄養価は高く、球根を乾燥させたものが薤白(がいはく)という名前の漢方薬として利用されています。主に、胸や気道の圧迫感似効果があるとされます。ただし、外見がよく似ているタマスダレやスイセンは強い毒性を持つため、採取する際には注意が必要です。
おいしい野草として人気
ノビルの主な利用用途は、食用です。おいしい野草として知られており、球根・葉・茎など場所によって違う風味と食感が楽しめます。万葉集にも歌われるほど古くから親しまれてきました。また、ネギ・ニラ・ラッキョウ・ニンニクとともに五葷(ごくん)と呼ばれています。五葷は肉や魚のように強い効能を持つため、精進料理では使用できません。
ノビルのとり方
ノビルは、道端や植え込みの中でよく見かけられるおいしい野草です。ネギやニラと同じ食べ方ができるため、とり方を知っていればノビルのシーズンにはまるで野菜のような感覚で利用できます。ただし、どうしてもニラのようなにおいが付いてしまいます。気になる人は軍手や使い捨て手袋を使ったほうがよいでしょう。
根本からそっと引き抜く
ノビルをとるときには、強く引っ張ってはいけません。ノビルの葉はちぎれやすく、力を込めるとぷつりと切れてしまいます。もちろんちぎれた葉もおいしく食べられますが、ノビルは球根まで食べられるため、できれば全体を採取するのがおすすめです。また白くて丸いノビルの球根は、ほかの植物と見分けるのにも役立ちます。
スコップを使う方法もある
地面が硬いときやノビルがまだ細いうちは、スコップを使ってとるとよいでしょう。真下を掘ろうとすると球根まで切ってしまいます。周りからすくい上げるように掘りすすめましょう。園芸用の小さなスコップで十分のため、一つあると便利ですよ。
ボタニ子
葉が柔らかくてとてもおいしそうなノビルがたくさんとれたわ。これからどうやって食べようかしら。
ボタ爺
においのとおりニラによく似た風味じゃから、ニラとよく合う料理ならたいがいのものはおいしくなる。次のページで確認してみるか。
出典:写真AC