スイートアリッサムの概要
地中海沿岸やアジア西部原産のアブラナ科の植物です。本来は多年草ですが、日本では主に一年草として扱われています。背が低く地面を這うように育つので、グラウンドカバーや花壇の前方、寄せ植えなどに使いやすい植物です。白、ピンク、紫、赤、アプリコットなどのさまざまな色で、4弁の小さな花が丸く集まって咲き、ほんのりと甘い芳香を漂わせます。
基本データ
学名 | Lobularia maritima |
和名 | 庭薺(ニワナズナ)、匂薺(ニオイナズナ) |
英名 | Sweet alyssum,Sweet alison |
別名 | アリッサム、ロブラリア |
科名 | アブラナ科 |
属名 | ニワナズナ属(ロブラリア属) |
原産地 | 地中海沿岸、アジア西部 |
分類 | 一年草(多年草) |
草丈 | 10~15cm |
花期 | 2~6月、9~12月 |
色 | 白、ピンク、紫、赤、アプリコットなど |
スイートアリッサムの特徴
ホームセンターや園芸店でも扱われているので、ガーデニングの好きな方なら、一度は見かけたことがあるかもしれません。ここでは性質や特徴などを3つに分けてご紹介します。
日本では主に一年草
地中海沿岸やアジア西部原産のため、蒸し暑い夏や凍るような寒さが苦手で、日本では主に一年草として扱われています。しかし、蒸れないように梅雨前に刈り込んで夏越しさせると、秋になってまた元気な姿を見せてくれることもあります。また、冬は強い霜が当たらない場所に移動させるか、マルチングなどの防寒をすると長く楽しめます。
どんな植物とも合う名脇役
葉も花も小ぶりでカーペット状に低く広がり、主役級の派手さはないもののどんな植物とも合わせやすい名脇役といえます。寄せ植えにした鉢からこぼれるように咲く様子もかわいらしく、レンガの隙間などのちょっとしたスペースに植えるのもよく似合う、ナチュラルな雰囲気づくりがとても上手な植物です。また、スイートアリッサム一種類を群生しても見事な光景を作り上げます。
甘い芳香
「スイート」という名の由来は、ほのかに香るはちみつのような甘い芳香です。小さな花から精一杯に甘い匂いを放つ健気さもまた、愛らしさを引き立てます。疲れを癒してくれる芳香は、お手入れのときの楽しみのひとつでもあります。
スイートアリッサムの花言葉
「優美」
小さな花が丸く集まって咲く様子は強さよりも優しさを感じさせます。また、はちみつのような優しい芳香があることから「優美」という花言葉がつけられました。
「美しさに優る値打ち」
見た目がきれいなのはもちろんですが、それに加えて丈夫で育てやすく芳香もあるという、魅力がいっぱいのスイートアリッサムにふさわしい花言葉です。
「飛躍」
寒い冬を耐え暖かい春がやってくると、一気に成長のスピードが速まります。どんどん葉を広げ、次々に花で埋め尽くされていく様子はまさに「飛躍」を感じさせるでしょう。
「奥ゆかしい美しさ」
主張が強くないので、どんな花にも寄り添い引き立ててくれます。控え目でありながらも存在感が光るスイートアリッサムにマッチした花言葉ですね。
スイートアリッサムとアリッサムの違い
スイートアリッサムは、略して「アリッサム」とも呼ばれますが、実は学名も属名も異なる植物です。2つの異なる点についてくわしく見ていきましょう。
スイートアリッサム | アリッサム | |
学名 | Lobularia maritima | Alyssum |
科名 | アブラナ科 | アブラナ科 |
属名 | ニワナズナ属 | ミヤマナズナ属 |
分類 | 一年草 | 多年草 |
花期 | 2~6月、9~12月 | 3~5月 |
色 | 白、ピンク、紫など | イエロー |
色の違い
スイートアリッサムが白、ピンク、紫、赤、アプリコットなどたくさんの色があるのに対して、アリッサムは鮮やかなイエローのみです。スイートアリッサムにはない色なのですぐに見分けられます。
花期の違い
スイートアリッサムの花期は長く、真夏や真冬以外は咲き続け、アリッサムは春のみ花を咲かせます。スイートアリッサムは花の少ない冬にも咲くため、使い勝手のよさが人気です。
育ち方の違い
スイートアリッサムは一年草扱いですが、アリッサムは多年草です。そのため、「宿根アリッサム」という名で流通しています。植えっぱなしで毎年芽を出し、鮮やかでかわいらしい花が春を知らせてくれる楽しみがあります。
スイートアリッサムの種類
たくさんの種類がありますが、ここでは一般的に販売されているものや、ちょっと珍しい品種、暑さ寒さに強く丈夫なスーパーアリッサムなど6種類をまとめました。
①アフロディテ(アフロディーテ)
苗では「レモン」や「アプリコット」があり、白、紫、ピンクなどがミックスされた種も流通しています。アフロディテは草丈10cmほどで、乾燥気味に管理すると株張りしよく育ちます。株が埋め尽くされるほどの花つきです。
②イースターボネット
「ピーチ」「レモネード」「ラベンダー」「バイオレット」「ディープピンク」「ディープローズ」など、色が豊富な早生品種です。コンパクトでシリーズ間の株の形がそろうので、整形式ガーデンの縁取りにも向いています。
③スノークリスタル
極端な暑さ寒さは苦手ですが、花も株もやや大きめの多花性品種です。純白の花が株を埋め尽くすように咲いた姿はとても見応えがあります。苗が小さいうちから花をつけ、咲き続けながら成長するので長期間楽しめます。
④ハッピーポンポン
斑入りの葉に紫色の花をつけるとても珍しいスイートアリッサムです。気温が高いときは薄紫で、気温が低くなるにしたがって濃い紫に変わります。耐暑性と耐寒性が強く、一般的なものよりも丈夫で育てやすい品種です。
⑤スーパーアリッサム「スノープリンセス」
耐寒性と耐暑性を兼ね備えた栄養系のスイートアリッサムです。夏は35度を超える関東でも夏越しでき、真夏以外は花を咲かせるとても丈夫な品種です。風通しと水はけがよい環境で育てると大株に育ち、とても見応えがあります。
栄養系とは
- 植物には「種子系」と「栄養系」があり、種子系は文字通り種から育てたもので、性質にばらつきが出ます。一方、栄養系は性質の優れた親株から挿し芽や挿し木で増やすため、親株の性質を引き継いだクローン体として、どの苗も安定した性質を備えています。
⑥スーパーアリッサム「フロスティーナイト」
スノープリンセスと同じ栄養系で、暑さ寒さに強くとても丈夫で、明るい緑色の葉にクリーム色の縁取りが入る、スーパーアリッサムの斑入り品種です。葉がきれいでカラーリーフとしても利用できます。スノープリンセスより生育は控えめなので、寄せ植えにもおすすめです。
まとめ
スイートアリッサムはかわいい姿と優しい芳香が印象的な植物です。繊細な見た目ですがとても丈夫で、さまざまな植物とも相性がよく、お庭の雰囲気づくりにとても役立ちます。色も豊富で、整形式ガーデンやナチュラルガーデンにも、コンテナや寄せ植えにも似合う万能なスイートアリッサムを、ぜひお庭に取り入れてみてはいかがでしょうか。
出典:写真AC