輪作のローテーション
輪作を始める前に、まずは数年先までの作付け計画を立ててみます。植える作物のローテーションを組み合わせていきます。この時重要なのが、作りたい野菜が何科に属するのか、連作障害を考えてどのくらいの休栽期間が必要か、ということ以外に、植え付けと収穫の時期はどのくらいか、その作物が日光をどのくらい必要とするか、といったことも考慮することです。
輪作の基本的なこと
輪作の基本で一番重要なことは、同じ科の野菜は外すこと、育てる野菜の種子や苗を準備するよりも先に、野菜ごとの栽培期間の長さや、日光が当たる側で何を育てるか、といったことも考慮に入れながらローテーションを組み、菜園する上での計画を立てることです。
ノートを作ってみよう
ノートに自分の畑に見立てた図を描いて、何を作るか計画を練るとよいでしょう。ノートを作るのは、計画通りにいかなかったときや、失敗してしまったときに、反省点が分かりやすくなるという点でも意味があります。
ボタニ子
次のぺージでは、野菜ごとの具体的な輪作例をご紹介します。
おすすめの輪作例①じゃがいも
じゃがいもを育てたいなと思った時の輪作例を考えてみます。じゃがいもはナス科で、次にじゃがいもを作付けするまで、約2年ほど間をおかないといけません。じゃがいもの連作障害を防止するには、計画のローテーションからナス科の野菜を除外します。
ボタニ子
ちがう科の野菜から、ローテーションに入れていこう。
例えば、じゃがいもを作った次の年に、マメ科の枝豆を作ってみましょう。枝豆も約2年間は間を置く必要がある作物です。さらにその次は、ウリ科のかぼちゃを育ててみます。かぼちゃは比較的連作障害が出にくい作物です。
輪作例①じゃがいもを中心にしたローテーション
- じゃがいも→枝豆→かぼちゃ
おすすめの輪作例②じゃがいも(秋にも植え付け)
さらに秋冬にも野菜をつくろう
じゃがいもは秋に収穫を終えることができるので、じゃがいもを収穫した後、ねぎを作付けします。次の年には、ねぎと相性のいいかぼちゃを育ててもいいでしょう。かぼちゃも夏には収穫できるので、秋に白菜を植えます。その次の年の4月頃に枝豆を植え、枝豆も種類によっては夏に収穫できるので、9月から大根を植えます。
輪作例②じゃがいもを中心にしたローテーション(秋にも植え付けする場合)
- じゃがいも→ねぎ→かぼちゃ→白菜→枝豆→大根
ボタニ子
連作障害を防止しながら、3年で6種類の野菜が作れるね。
マメ科の作物には大気中の窒素を土中に固定する能力があるのよ。
ボタ爺
窒素は光合成に欠かせない養分なので、作物にとって重要じゃ。
おすすめの輪作例③トマト
家庭菜園でも人気の高いトマトを育てる場合を考えます。トマトは、次の作付けまで3~4年を必要とするので、その間に作る作物を考えましょう。トマトの次の年には、にらを植え付けます。にらはトマトと混作してもいい作物です。さらに次の年、約2年間の休栽期間が必要なマメ科のいんげんまめを育て、翌年、セリ科のにんじんを育てます。
輪作例③トマトを中心にしたローテーション
- トマト→にら→いんげん豆→にんじん
ボタニ子
にんじんは連作しても障害の出にくい作物だよ。
ボタ爺
にんじんのような根菜類は、根によって土をやわらかくする深耕効果があるのじゃ。
おすすめの輪作例④トマト(プランター栽培)
プランターで育ててみよう
トマトをプランターで育てる場合の輪作例です。支柱を用意し、高さを保って十分に日光を当てながら、最初の年にトマトを育てましょう。プランター栽培のときの2年目は、にらと同じユリ科のネギを育てます。さらに次の年、ウリ科のきゅうりを育てましょう。次の年には枝豆を作ります。プランター栽培に慣れてきたら、ほうれん草などの葉物野菜に挑戦してみるのもいいでしょう。
輪作例④トマトを中心にしたローテーション(プランター栽培)
- トマト→ネギ→きゅうり→枝豆→ほうれん草
おすすめの輪作例⑤ピーマン
ピーマンを育てたい場合を考えてみましょう。ピーマンも、トマトと同じく3~4年の休栽期間が必要です。翌年は、連作障害の出にくいにんにくを育て、にんにくの翌年には、これもまた連作障害の出にくいオクラを育てます。また次の年には、枝豆を作ってみましょう。
輪作例⑤ピーマンを中心としたローテーションの例
- ピーマン→にんにく→オクラ→枝豆
ボタニ子
輪作のローテーションを何パターンも考えてみるのも、楽しいね。
まとめ
輪作は、連作障害を防止するという意味を持っていますが、輪作について考えていると、より多くの野菜を作りたくなる人も多いのではないでしょうか。農地にいくつかの畝を作り、ひとつの畝で数種類の野菜を育て、毎年植える位置を変えることで、たくさんの種類の野菜を作ることも可能です。輪作は、栽培の可能性を広げてくれるという意味でも、優れた栽培方法といえるのではないでしょうか。
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出典:写真AC