ウンベラータってどんな植物?
ウンベラータは、正式にはフィカス・ウンベラータと言う熱帯アフリカ産の常緑高木です。おなじみのゴムの木やベンジャミンと同じクワ科フィカス属(イチジク属)で、おしゃれで育てやすい観葉植物として人気があるので、一度は見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。
ウンベラータの基本情報
学名 | Ficus umbellata |
科名 | クワ科 |
属名 | フィカス(イチジク)属 |
原産地 | 熱帯アフリカ |
樹高 | 原産地では5〜10m |
ウンベラータの性質
ウンベラータは、大きなハート型の葉が特徴的で、枝の先端にあるツンと尖った芽がパッと開いてその葉が展開します。観葉植物の中では成長が早い方で、1年で15cmほども伸びることもあります。そのため、鉢の中が根詰まりしやすく、適切な植え替えが欠かせない植物です。
ウンベラータの植え替えについて
植え替えに適した時期
成長が早めで、適切な植え替えが欠かせないウンベラータ。時期は、目安として桜が開花する頃(暖かくなってくる頃)から秋のお彼岸前後に行います。なかでも5月〜6月の成長期は植え替え後の根張りや回復がよく、ベストな時期です。
- 最適な月:5月・6月
- 可能な月:3月下旬・4月・7月・8月・9月・10月
- 避けたほうがよい月:11月・12月・1月・2月・3月中旬まで
なぜ植え替えに適期があるの?
植え替えなんて、いつでも大丈夫では?と思われるかもしれません。しかし、ウンベラータはもともと暖かい環境で育つ植物であり、苦手な冬や早春、晩秋の時期に根などへの負担を伴う植え替えを行うことは、株全体にとってダメージとなってしまうこともあるからです。
植え替えの目安
植え替えの重要性や、時期も大事だということがお分かりいただけたかと思います。それでは実際に、お手持ちのウンベラータが、植え替えの必要な状態にあるかどうかの目安をご紹介します。
- 鉢底の穴から根がはみ出している
- 水をあげてもすぐ鉢底の穴から流れ出してしまい、浸透していない
- 土がカチカチに固まっている
- 2、3年は植え替えをしていない
ボタ爺
これらが目安となるチェックポイントじゃ。どれかひとつでも当てはまったら、植え替えが必要じゃよ。
植え替えに必要なもの
- 土(ブレンド済みの観葉植物用の土がおすすめ。水はけがよく、根腐れしにくいようにブレンドされています)
- 植木鉢(現在植わっているものより一回り大きいサイズのもの)
- 鉢底石
- 鉢底ネット
- 移植ごてや小さいシャベル
- 新聞紙やブルーシート
- 割り箸などの棒
これらの道具がそろわないときは
上記の道具がそろわない、またはなるべく買わずに家にあるものですませたいという場合のために、代用品をいくつかご紹介します。まず、鉢底石がない場合は、粒の大きな赤玉土や、発泡スチロールをピンポン球サイズくらいに割ったものが利用できます。また、鉢底ネットの代用として、みかんやオクラ等の入っていたネットも利用できますよ。
ウンベラータの植え替え方法とコツ
ここまで、ウンベラータの性質や植え替えの予備知識についてお伝えしてきました。それでは、いよいよ手順や作業の内容などの植え替え方法やコツについて詳しくご紹介して行きます。
必要なものをすべてそろえておく
作業を始めて、手が土で汚れてから「あっ、あれが足りない」ですとか、根鉢を抜き取ってしまってから「あれを買っていなかった」とならないように、必要なものはあらかじめ全てスタンバイして、手際よく植え替えを進められるように準備しましょう。
ボタニ子
短時間でスピーディーに植え替えができた方が、植物への負担も少ないよね!
ウンベラータを植え替えてみよう
鉢底ネット、鉢底石、土を入れる
まず、ベランダや室内で植え替える場合は、床が汚れないように新聞紙やブルーシートを敷き、養生します。次に、新しく植え替える植木鉢の底穴に、鉢底ネットを穴が隠れるサイズにカットして敷きます(土の流出防止)。そして、鉢底石を鉢の高さの1〜2割程度敷き、水はけをよくしましょう(根腐れ防止)。鉢底石を入れたら、新しい土をその上に鉢の高さの4分の1〜3分の1入れます。
ボタニ子
植え替えって、ただ単に土を足せばよいんじゃないのね!
ボタ爺
観葉植物は、水はけのよい環境作りが大事じゃ。鉢底石や、観葉植物向きの土を使うことがコツじゃぞ!
古い鉢から抜く
新しい鉢側の準備がととのったら、古い鉢からウンベラータを引き抜いて植え替えていきます。片手で鉢を、もう片方の手で幹の根元をしっかり持ち、急に飛び出さないように小きざみに揺らしながらそっと引き出すのがコツです。根詰まりして取れない場合は無理に引っぱらず、鉢の縁を木槌などで軽く叩いて鉢の縁に空気を入れ、引き抜きましょう。
新しい鉢へ植え替える
取り出した根鉢は、黒く根腐れした根があれば清潔な園芸バサミで切り落とし、さらに軽くトントンと叩いて余分な古土とこまかい古根を落とします。グルグルととぐろを巻くほど根が伸びすぎている場合は余分なものは切り落とし、用意した新しい鉢に植えつけます。
土を足し、水をあげて完了!
株を新しい鉢に据えつけたら、土を入れていきます。割り箸などの棒でつつきながら、まんべんなく土が入るようにしましょう。土の深さの目安としては、水やりをしたときにあふれ出ないように「ウォータースペース」が鉢の上部2割程度できるくらいがよいです。しっかり土が入ったら、じょうろで静かにたっぷりと水を与えましょう。これで植え替えが完了です!
こんな時は?植え替えの疑問点
時期外れだけど植え替えしたい
はじめに、植え替えには適期があるとお伝えしましたが、買ってきたウンベラータがあまりに根詰まりしていたり、水やりをしても染みこまない、鉢のサイズが植物に対して極端に小さすぎるといった場合は植え替えをしてしまいましょう。その場合、次のことに注意します。
根っこをいじらない
植え替えの適期以外の時期に植え替えをする方法としては、古い鉢から抜き取った根鉢を崩さずそのままの形で植え替えるやり方をとると安全です。根の間に多少の古土や古根が残っていても気にせず、黒く根腐れした根だけをとりのぞいて、前述の方法で移植してしまいましょう。といっても冬の寒さには弱い植物です。真冬の植え替えは我慢して、春・夏・秋のいずれかに行いましょう。
植え替えたら元気がない
せっかく植え替えたのに、葉が黄色くなったり、落ちたりすることもあります。ウンベラータは、鉢内外の環境が変わったりした時、葉を落として余分な蒸散を防ぎ、その身を守ることがあります。極端に根を切りすぎたり、水やりの過不足があったわけでもないのにそうした事象が見られても、新芽がちゃんとついていれば大丈夫です。
植え替え後の管理方法
植え替えた直後の植物は、デリケートな状態になっています。なるべく穏やかな環境をつくり、植物に負担をかけないように管理をすることが大事です。次の事に注意して、植え替え前よりのびのびと健康に育つようにしましょう。
植え替え後の水やり
植え替え後の水やりは、通常の水やり同様土が乾くのをしっかり確認してから行いましょう。土がまだジメジメしているのに水やりをすることは根腐れの原因となります。特に植え替えてしばらくは、新しい土に根っこがしっかり張っておらず、多少のダメージも受けている状態のため、水分の調整機能が十分でなく根腐れしやすい状態にあるといえるので注意が必要です。
植え替え後の肥料
無事に植え替え作業が終わったから、元気に育つようにさっそく肥料をあげよう!と思われる方も多いかもしれませんが、それは危険です。植え替えをした直後は、根がとてもデリケートな状態です。液体肥料や固形肥料を与えるのは、根が落ちつく植え替え後2〜3週間後からにしましょう。寒い時期には肥料は必要ありません。
まとめ
ウンベラータについて、とくに植え替え時期や手順について詳しく解説してきました。ウンベラータは丈夫な観葉植物なので、適切に管理をすれば年々大きくなり、おおらかな姿を楽しませてくれます。ぜひ本記事をご参考に、グリーンのある暮らしを楽しんでくださいね。
出典:写真AC