斑入り観葉植物とは
斑入り観葉植物とは、文字通り「斑(ふ)」と呼ばれる白または黄色い模様が葉に入っている観葉植物のことです。緑一色の基本種よりも明るくおしゃれな雰囲気から、グリーンインテリアとして人気があります。人気の高さから、美しい斑入り園芸品種も多く生み出されました。観葉植物ではポトス、オリヅルラン、サンセベリアなどが有名です。
斑入り観葉植物ができる理由
斑入りは葉や植物組織内の葉緑素が全部、もしくは一部失われることで起こる現象です。葉緑素が全部失われた場合、葉緑素以外の色素が表れます。斑入り部分の色が白、黄色、ピンク色と、いろいろな種類があるのはこのためです。一方、一部の葉緑素が失われた場合は、緑色の色素がわずかに存在するため、黄緑色または淡緑色といった薄い緑色になります。
葉緑素は光合成を行う重要な色素です。斑入りの植物は光合成をする力が低いぶん、基本種に比べると性質が弱くなってしまいます。
斑入りが出る原因については、劣性遺伝やウィルスなどいろいろな説が出てるけど、完全に解明されていないんだ。今後の研究に期待しようね。
斑入り植物人気に貢献した日本人
今ではグリーンプランツとして珍重されている斑入り観葉植物ですが、かつては「奇形」と呼ばれ避けられていた品種でした。斑入りの評価を変えたのは江戸時代の旗本、水野忠暁(みずのただとし)という人物です。忠暁は植物の奇品愛好家として有名で、当時は人気がなかった斑入りの植物を栽培し、研究しました。彼の研究をきっかけに斑入りの価値が高まり、人気品種となったのです。
水野忠暁は大変な植物好きでした。斑入り観葉植物のなかでも、特にオモト(万年青)を好んでいたそうですよ。
忠暁は文政12年(1829年)に「草木錦葉集」という本を出版しているんだ。斑入り観葉植物について解説した本だよ。
斑入り観葉植物の斑模様が消える理由
斑模様が消える理由①光量不足
斑入り観葉植物の斑模様が消える原因として、真っ先にあげられるのは日照不足です。光合成は植物の葉や茎に存在する葉緑素によって行われるため、葉緑素がない斑入りの部分では光合成ができません。日光が十分に当たる環境なら、斑入り品種の光合成力でも栄養不足におちいることはないでしょう。しかし日光が当たらない場所だと、斑入り観葉植物の光合成力では栄養が足りません。
日照不足になった斑入り観葉植物は、光合成力を高めるために斑入り部分に葉緑素を集めます。その結果、斑入り模様が消えるのです。
だからといって、斑入り観葉植物を夏の直射日光みたいな強過ぎる光に当てると、葉焼けを起こしてしまうんだよ。栽培環境には注意してね。
斑模様が消える理由②先祖返り
日照量に問題がなくても、斑入り観葉植物の斑模様が消えることがあります。原因は先祖返りです。先祖返りとは、親に出なかった先祖の特徴が子に出る現象をいいます。人間でいえば隔世遺伝と似たようなものでしょう。斑入り観葉植物は、もともと基本種が何らかの原因で葉緑素を失った変異種です。このため先祖返りで突然、緑色の葉が生えてくることがあります。
現在流通している斑入り観葉植物のほとんどは、斑入りが固定化され繁殖している園芸品種ですが、先祖返りを起こすことがあります。
先祖返りで緑一色になった葉を放っておくと、どんどん増えて斑入り模様が完全に消える場合があるから、注意してね。
斑入り模様を復活させる方法は?
一度消えた斑模様は復活しません。また、緑色の葉を放置していると、どんどん増えて斑入り模様が完全に消えてしまいます。緑色の葉を見つけたら、すぐに茎ごと切りましょう。早急に切り落とせば、新しい芽が斑入りの葉に成長します。美しい斑入りの葉を維持するために日頃からこまめに観察しましょう。
斑入りの品種は、油断していると斑模様を維持できません。光量不足や先祖返りで斑模様が消える恐れがあるからです。
美しい葉を維持するために、斑入り観葉植物は日頃からこまめに観察して、緑色の葉が出たらすぐに除去しようね。
ボタニ子
次は「斑入り観葉植物の育て方」だよ。
観葉植物以外にも、斑入りの植物はあります。でも観葉植物は葉の美しさを楽しむ植物であるため、斑入りの葉の価値がとても重要なんですよ。