種なしバナナが増える原理
植物や果物は、種で数を増やしていくものが多くあります。しかし種なしバナナは、種がなくても増えていくことが可能です。ここでは、種なしバナナの増え方について見ていきましょう。ちなみに、種なし果実はバナナの実だけではなく、スイカなどほかの果物にも見られます。どのように種がなくても増えるのかというマメ知識を身につけておきましょう。
種なしバナナは三倍体
種なしバナナは、いわゆる「三倍体」といわれる種類の果物です。三倍体の果物は、子孫を残すための遺伝子を作ることが難しいため、種を作ることが困難です。「種を作ることができない=種ができない」ということで、最終的に種なしの果物が完成します。バナナのみならずスイカやミカン、パイナップルにぶどうなどの果物が、種なし果物として販売されています。
三倍体とは
三倍体とは、本来種を作る遺伝子が1本多い状態のことです。有性生殖によって増えていく生物(果物などはもちろん人間も含む)は二倍体といわれる遺伝子を持っています。これは親からの遺伝子を1つずつ引き継いで2つが1セットになっている状態です。種なし果物は突然変異や遺伝子操作などで、遺伝情報が1本多く3本で1セットになって三倍体の形をとっています。
種なしバナナの増やし方
果物を増やす際に必須ともいえる種が存在しない種なしバナナは、なぜ増やしていくことができるのでしょうか?種がなくても増やすことができる理由をご紹介します。種なしバナナがなぜできていくのかという原理を知って、バナナの知識を増やしましょう。自由研究などのレポートを作成する際にも、身近にあるバナナの知られざる増え方に触れるのもよいアイデアです。
バナナは吸芽を活用している
「吸芽」とは、大元となっている親株から生えてくる小さな芽を指します。吸芽を親株から切り取って、次世代の株として育てて種なしバナナを増やしているのです。吸芽を活用して数を増やしている果物に、バナナ以外にパイナップルが挙げられます。「吸芽」には水吸芽と剣吸芽があり、実りがよいのは剣吸芽とされています。そのほかの種なし果実は、株分けや挿し木や人工的な操作によって育てられているのです。
家庭でバナナを育てたい
家庭でバナナを育てることは可能なのでしょうか?いろいろな果実の苗が販売されているため、ぜひバナナにもチャレンジしてみたいという方もいるかもしれません。バナナの苗を育てるには、いくつかの条件をクリアする必要があります。日本全国、どこでも気軽に育てられる果物というわけではありませんが、育てる環境が整っているのであれば、チャレンジしてみるのもよいでしょう。
バナナを育てる環境が整っていれば可能
バナナの苗木を育てる場合、以下のような条件をクリアする必要があります。
- 豊富な太陽光
- 20℃~30℃の温度
- 草木が伸びても管理できる広めの空間
バナナは熱帯地方の植物のため、バナナの実を収穫して美味しく食べたいのであれば気温には十分な注意が必要です。低い温度でも枯れてしまうことはないのですが、結実は期待できません。寒くなる秋から冬に屋内で管理する場合は、バナナの苗を収納できる空間と可能な限り日光が当たる場所を確保しましょう。
まとめ
種なしバナナは、生活に溶け込んだ身近な食べ物です。改良をした種なしだから人体に影響があるというわけではないため、種なしバナナを食べても問題ありません。本来の野生のバナナは種がたくさんあるということや、バナナは吸芽で増えているといったこと意外な情報だったかもしれません。これを機に、食べ物としてだけではなく歴史や育成に関しても興味を持ってみるのもおすすめです。
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出典:写真AC