ヒゴタイとは?
学名 | Echinops Sechifer |
分類 | キク科 |
分布 | 朝鮮半島、日本 |
花色 | 瑠璃色 |
花言葉 | 実らぬ恋 |
草丈 | 約1m |
歴史ある花
ヒゴタイは、古くから日本に自生しているキク科の仲間です。その歴史は古く、江戸時代の学者である貝原益軒が出版したとして有名な、「大和本草」にも記されています。この著書は、明治時代までは最もよくできた生物学書でした。また、大陸系の植物であることから、日本が大陸から離れるよりも前から自生していた貴重な植物であることがわかっています。
ボタニ子
和名には「平江帯」「肥後躰」がありますが、これらは江戸時代の書籍に記されていたものです。
ヒゴタイの特徴
花の特徴
毬のような形をした花
手毬のようなまるまるとした形をした花が、ヒゴタイの特徴です。開花時期になると、紫色と青色が入り混じった瑠璃色をした花が、一株にいくつも咲きます。ひと目見ただけではわかりませんが、細長い形をしたちいさな花が中心から集まるように咲いていて、蕾は栗のイガのような形でかたいのが特徴です。
葉と茎の特徴
トゲトゲした葉と太い茎
1本の茎に、ちいさな葉がいくつもついており、根元には大きな葉がついていることが特徴です。葉の形は細長く、トゲトゲとしています。ヒゴタイの葉はかたいので、トゲトゲとした葉のふちを触ると痛いです。また、葉だけではなく茎もかたく太いので、風にも耐えられる力強さを感じます。
育ち方の特徴
数年かけて上に伸びていく
ヒゴタイは草丈が1mほどで、とても茎が長い植物です。多年草のため、種から芽吹いた1年目だけでは成長が終わることはありません。冬を越したあと、2年目以降にヒゴタイの平均的な草丈になります。1株につき、いくつもの茎が伸びていきますが、1本1本が長さや成長速度がちがうところが魅力です。
絶滅危惧種の花
ヒゴタイは古くから日本各地に広く自生していた花でした。しかし、採取されすぎたことや日本が発展したことによる環境の変化などが原因で、数がみるみるうちに減ったといいます。2007年からは絶滅危惧種に指定されており、保護や管理をされている地域以外の野生で見るのは、むずかしいです。
ヒゴタイの園芸品種
ルリタマアザミ
別名エキノプス
園芸品種であるルリタマアザミは、花や草丈などの特徴がとてもよく似ています。違いを見分けることが困難なこともあり、ヒゴタイとは混同されがちですが、こちらのルリタマアザミはヨーロッパが原産の品種です。栽培用として売られる際には、「エキノプス」という属名が使われていることもあります。
主な利用法は?
寒さや暑さにつよく、日本でも多湿などの管理に気を配ることで問題なくそだてることが可能です。たんぽぽのわたげのような形をした花が咲く園芸品種はめずらしく、また多年草なところも魅力といえます。このほか、ハンドメイドのような小物や贈り物用としてドライフラワーに利用されることが多く、切り花も人気です。
ボタニ子
これら2種類の花に咲き方などの特徴が似ている、「エリンジウム」という品種がありますが、こちらはセリ科なので仲間ではありません。
ヒゴタイの見分け方
ヒゴダイの見分け方には、葉で見分ける方法と花で見分ける方法のふたつがあります。
ヒゴタイの見分け方①葉
ヒゴタイかどうかを見分けるためには、まず葉をよく見てみましょう。前述したとおり、ヒゴタイの葉は細長くギザギザとしていて、ふちに触れると痛みを感じるほど鋭いです。かたくてしっかりしている触り心地をしています。ルリタマアザミは、たんぽぽの葉のように大きくギザギザしており、裏にはわたげが生えています。
ヒゴタイの見分け方②花
ルリタマアザミの花が平均3cmほどであるのに対し、ヒゴタイは5~8cmほど。わずかですが、ヒゴタイの花のほうが、少し大きめです。また、ヒゴタイの花には、瑠璃色しかないのに対してルリタマアザミには瑠璃色と白色の二色が存在しています。したがって、白い花が咲いていたらヒゴタイではありません。
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このほかの見分け方として、茎はルリタマアザミの方がやや細いことや、葉がやわらかいことなどが挙げられます。
ヒゴタイはどこに分布しているの?
今ではあまり見慣れない花になってしまいましたが、昔の日本では、西日本や九州に広く分布していました。江戸時代の生物学書に記されていたことからも、現代よりも一般的な花であったことがわかりますね。ヒゴタイの仲間は海外にも多いですが、朝鮮半島の南部には日本のヒゴタイと同じ品種が自生しています。
もともとの自生地は西日本や九州
絶滅危惧種に指定されてしまうほど、現在ではとてもめずらしい花です。管理や保護活動が行き届いている地域や、公園のような場所にしか分布していません。「ヒゴタイを見におでかけしよう」と思わないかぎりは、見つけるのは困難です。九州の阿蘇山に近い草原では、自生していたものと種をまいて増やしたものが入り混じっています。
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九州地方に名所があり、西日本の一部(岐阜県、愛知県、広島県)にも分布しています。
ヒゴタイの開花時期はいつ?
その年や環境の違いにより多少のバラつきはあるものの、8月に入るごろから蕾が開き始めます。8月中旬ごろから9月にかけて満開になることが多いので、真夏の季節が見ごろです。開花しているヒゴタイの花はもちろん美しいですが、蕾もめずらしい形をしていて魅力のひとつといえます。
ボタニ子
観光スポット(ヒゴタイ公園など)によっては、開花状況を前もって確認できる場所もあります。
ヒゴタイのおすすめスポット
九州地方には、ヒゴタイの保護活動がおこなわれている地域も多く、道ばたに咲いている様子も見ることも可能です。「でもめずらしい花だし、せっかくだからたくさん咲いているところが見たい」と思う方もいるでしょう。そんな場合におすすめのスポットを、ご紹介していきます。
ヒゴタイのおすすめスポット①ヒゴタイ公園
ヒゴタイ公園の概要
ヒゴタイ公園は、熊本県の産山村にある施設です。限りなく自然に近い形でヒゴタイが見られるとして有名なスポットです。高原にあるので見晴らしのよい景色と、見渡すかぎりの自然を満喫できます。ヒゴタイ以外にも、秋の花であるコスモスなど、季節によってさまざまな花を楽しめる癒しのスポットです。
おすすめポイント
- 駐車場あり
- 宿泊施設あり
- 植物園、花に関する博物館あり
- ヒゴタイの開花状況をチェックできる
- あまり手が加えられていないので、自然を満喫できる
ヒゴタイのおすすめスポット②タデ原湿原
タデ原湿原の概要
タデ原湿原は、大分県の九重町にある湿原です。国際的に重要な湿原としてみとめられている観光名所です。整備された経路があるので歩きやすく、緑のなかに咲くヒゴタイの瑠璃色が映えます。周囲は山に囲まれた自然豊かな場所で、ヒゴタイのほかにもめずらしい植物が複数分布しているのも魅力です。
おすすめポイント
- 駐車場あり
- 湿原内を散策しながらヒゴタイを観賞できる
- バリアフリーあり
- 入口付近に、展望台付きの無料の施設あり
- 施設でヒゴタイの開花状況を確認できる
- ベビーカーや車いすが無料で借りられる
まとめ
大陸時代から日本に自生していた、貴重な存在である「ヒゴタイ」。絶滅危惧種に指定されてから数年経ったいまでも見られるのは、たくさんのひとの手によって守られつづけているおかげです。おすすめスポットもご紹介しましたので、不思議な魅力があるヒゴタイを見にぜひ足を運んでみてください。
出典:BOTANICA