パッションフラワーとは?
パッションフラワーは特徴的な見た目をもつ花で、3つに分かれた雌しべが、花びらから突き出して咲きます。6~10月頃開花し、次から次へと花を咲かせ、花が咲き終わると実をつけます。また、世界中で広く栽培されていて、挿し芽で増やすことが可能です。
品種は?
原産国はアメリカの熱帯地域で、その品種は500種以上と言われています。栽培用の品種にも、実に様々な色や形の花があります。同属の別種であるクダモノトケイソウの実は、おなじみのパッションフルーツです。
パッションフラワー 名前の由来
パッションの意味は「キリストの受難」
パッション(Passion)と聞くと「情熱」を思い浮かべますが、この花の名前であるパッションの意味は「キリストの受難」の事です。受難とは、苦難を受けることを意味し、イエス・キリストが処刑された事を指しています。16世紀、パッションフラワーの原産国である中南米に派遣されたイエズス会の宣教師が、パッションフラワーの花を見た時に、キリストが最期に被っていた茨の冠の形に似ていると、ラテン語で「flos passionis」と呼んでいた事から、この名前になったと言われています。
日本での和名は「トケイソウ」
パッションフラワーは日本では「トケイソウ」と言われ、3つの分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針に似ている特徴的な花を咲かせることから時計草(トケイソウ)という和名が付きました。パッションフラワーの500種類以上の品種の中には、「チャボトケイソウ」という種類があります。チャボトケイソウは、薬効成分がとても高いといわれ、漢方などによく用いられます。
パッションフラワーの成分
パッションフラワーは鎮痛、鎮静作用の効果が高いといわれています。これは、パッションフラワーの主成分であるアルカロイド、グルコシド、フラボノイドという3つの成分が合わさった結果、発揮されるものです。花がとても特徴的な植物ですが、食用されるのは主に葉や茎の部分であり、葉や茎は、ハーブティーなどに使われます。
パッションフラワーの効果
パッションフラワーを摂取すると、体にはどんな効果や効能があるのでしょうか?パッションフラワーを摂取することで期待できる効果や効能は意外と幅広く、老若男女問わず身体によい効果が期待できます。
効果① メンタルから来る様々なダメージを改善、防ぐ
パッションフラワーに含まれる成分の、アルカロイドやフラボノイドがイライラしたり不安になる精神状態を鎮め、落ち着かせてくれます。不眠改善や、ストレスからくる不調にもはたらきかけてくれることから、ストレス性の神経性胃炎や、過敏性腸症候群も防いでくれると言われています。ストレス社会なので、疲れた時に摂取することでリラックスできそうですね。
鎮静作用のあるアルカロイドやフラボノイド類を多く含み、古くから”天然の安定剤”と呼ばれていたのがパッションフラワー。ストレスからくる不眠に効果がある事で知られ、神経系をリラックスさせるハーブティーとして用いられてきました。
効果② 女性特有の不調緩和
パッションフラワーには、生理痛の鎮痛や、PMS(月経前症候群)のイライラ、不快感を鎮める作用もあります。また、パッションフラワーには、ポリフェノールが豊富に含まれているので、肌の酸化を防ぐ効能もあります。酸化を防止する成分は老化を防ぎ美容にもとてもよく、女性に嬉しい効果が期待できます。
効果③ 高血圧や動脈硬化の予防
パッションフラワーの成分のひとつ、フラボノイドは血圧を下げる作用があるため、高血圧の予防になります。パッションフラワーは神経系をリラックスさせる効能があることから、特にストレス性の高血圧には効果が期待できます。アルカロイドの一部に、動脈を拡張するはたらきがあるため、動脈硬化などの予防にもなります。
パッションフラワーの摂取方法
では、実際パッションフラワーはどのようにして摂取するのが良いのでしょうか?ハーブティーにして飲む方法や、美味しい飲み方、漢方薬やサプリで飲む方法など、すぐ実践できる手軽な方法を簡単にまとめてみました。
ハーブティーとして摂取する方法
パッションフラワーはハーブティーとして飲む事が一般的です。ハーブティーは、ティーパックや葉で売られているものなど様々ですが、パッションフラワーのハーブティーは、ブレンドされたものをよく見かけます。ハーブ専門店などでは調合してくれるお店もあるので、是非覗いて見てください。飲み方によっても効果の出方も違います。
ハーブティーの飲み方
リラックスした眠りにつきたい場合、おすすめの飲み方は、”寝る前に暖かいハーブティーを飲む”という方法です。暖かいハーブティーを飲むことで、体が温まります。血行が良くなることでリラックスし、より深い眠りにつくことができます。他のハーブとブレンドされた物もあります。適量のハーブをカップに入れ、お湯を注いで3~5分ほど蒸らせば完成です。パッションフラワーの効能を高めるため、暖かいハーブティーを摂る、というところがポイントです。体を温めることで血行促進にも繋がり、とてもリラックスできるのでこの方法が効果的です。
効能を高めるハーブティーの飲み方
- ティースプーン小さじ2杯ほど、ティーポットに入れる
- ティーポットにお湯を注ぎ、3~5分ほど蒸らす
- 暖かいうちに飲む
パッションフラワーと相性の良いハーブ
パッションフラワーと相性の良いハーブティーの組み合わせと作用
- 良質な睡眠・・・・バレリアン
- 気分を明るくさせる・・・セントジョーンズワート
- 穏やかな気分にさせる・・・リンデン+ジャーマンカモミール
- リラックス、安眠・・・ラベンダー
漢方薬やサプリとして摂取する方法
パッションフラワーの中でも、チャボトケイソウは薬効成分が高いため、漢方やサプリに用いられるのは「チャボトケイソウ」表記のものが多いです。効能としては緊張、不安、不眠に用いられることが多いです。漢方の粉末タイプと、サプリなどのカプセルや錠剤タイプでは飲み方や副作用の出方も変わります。
チャボトケイソウの薬効分類
チャボトケイソウの薬効分類は、「睡眠鎮静薬」です。チャボトケイソウの茎および葉が薬用部位といわれ、神経の興奮や緊張緩和を期待し配合されます。生薬成分のみからなる鎮静薬でも、複数の鎮静薬の併用や長期連用は避けます。
漢方で摂取する際の副作用
神経性からくる不調にもいい作用を促すパッションフラワーは、摂取していくことで副作用が出る事があります。適量を守らずに過剰摂取してしまうと、異常にイライラしたり、攻撃的になる恐れがあるため、必ず適量を守りましょう。体質によっては、眠気や吐き気など不快感があらわれる事もあるため、副作用を感じたら使用を中断しましょう。血圧を下げる効能もあるため、低血圧な方や持病があり服薬中の方は、必ず医師に相談の上、利用するようにしましょう。
ハーブティーの副作用
ハーブティーは漢方やサプリに比べたら、作用が緩やかですが、飲み続けることで副作用を起こす可能性があります。運転前に飲んでしまうと眠くなってしまうという方もいますし、パッションフラワーに含まれるアルカロイドは、子宮を刺激する作用があるため、妊娠中の摂取は控えましょう。ハーブティーはブレンドされているものが多いので、妊娠中の女性は特に注意が必要です。
パッションフラワーを摂取する際の注意事項
- 適量を守る
- 副作用や違和感を感じたら使用をやめる
- 服薬中の方や低血圧な方は医師へ相談する
- 妊娠中は摂取を控える
まとめ
いかがでしたか?日本の庭先でも見かけるパッションフラワーの名前の由来も意外なところから来ていて、興味深いですよね。チャボトケイソウは、体の不調に効果てきめんですが、飲み方や摂取方法を間違えてしまうと副作用が起こる事もあるので、気をつけたいですね。ハーブティーは夏の時期はアイスティーにしても美味しいですが、常温や暖かい方がからだには優しいので、飲み方も工夫し積極的に取り入れていきましょう。
出典:写真AC