ナズナ(薺)とは?
ナズナは道端や畑などに生えている可愛らしい植物です。ぺんぺん草という愛称で親しまれており、誰もが1度は目にしたことがあるのではないでしょうか。まずは、そんなナズナの特徴や名前の由来を詳しくみていきましょう。
基本情報
科目 | アブラナ科 |
属名 | ナズナ属 |
形態 | 越年草 |
開花時期 | 3〜6月 |
分布 | 日本全土 |
特徴
自家受粉をする
ナズナは自ら雌しべに雄しべをくっつけて種を作る自家受粉をします。虫に頼らないことで、確実に種を作り子孫を残すことが出来るのです。
葉の形が変化する
ナズナは成長過程によって葉が変形します。初めはさじ形の葉をしていますが、次第に切れ込みが入り、開花する時期には、深い切れ込みのある葉へと変化します。同じ植物だとは思えない変貌っぷりに驚かされますよ。
ロゼットで越冬する
冬の時期になると、ナズナはロゼットという地面に葉を平らにした状態になります。ロゼットになることで、冬の間にエネルギーを蓄え、春になったらしっかりと開花できるよう備えているのです。
ハート形の実
ナズナの実をよく見ると、ハートの形をしています。左右の実の中にはたくさんの種が入っており、刺激を受けると実が開いて中の種が落ちていきます。最終的には左右を仕切る中央の膜だけが残ります。
ナズナに似た植物との見分け方
イヌナズナ
イヌナズナはナズナと見た目が似ていますが、花と実に違いがあります。ナズナの花は白色ですが、イヌナズナの花は黄色です。また、実もハート形のナズナに比べて、イヌナズナは長楕円形の実がなっていますよ。
グンバイナズナ
グンバイナズナは花もナズナと同じ白色で、とても見分けにくいです。しかし実をよく見ると、先が少し窪んだ丸い形をしています。
マメグンバイナズナ
グンバイナズナよりも小ぶりな見た目で、ナズナと同じ白い花が咲きます。しかし、ナズナと実の形が違い、先が窪んだ楕円形をしています。
ナズナの由来
ナズナは「薺」の他に「撫菜」とも書きます。元々その姿からかわいくてなでたくなるという意味で、撫でるという漢字の「撫菜」と名付けられました。その後、それが転化しナズナという名前になったと言われています。
ぺんぺん草(ナズナ)とは?
ナズナは別名「ぺんぺん草」とも呼ばれています。小さい頃にぺんぺん草で遊んだことのある方もいるのではないでしょうか。ここからはぺんぺん草という名前の由来や、ぺんぺん草の音の鳴らし方などを詳しくご紹介します。
ぺんぺん草の由来
ナズナがぺんぺん草と呼ばれる由来は、はっきりとは分かっていませんが諸説が2つあります。1つ目は、ナズナの実が三味線のばちに似ている形だからです。また2つ目は、ナズナの特徴でもあるように植物から「ぺんぺん」という音がなるからです。
ぺんぺん草の鳴らし方
ぺんぺん草の鳴らし方は、とても簡単です。実の茎を太い茎からちぎれない程度にはがしてから、太い茎を持ってくるくる回転させると、ぺんぺんと音が鳴ります。
ボタニ子
ぺんぺん草を鳴らすときは、でんでん太鼓を鳴らすイメージで振るといいですよ!
「ぺんぺん草も生えない」の意味
ぺんぺん草は比較的どんな環境でも生えるため、土地が荒廃した様子を指して「ぺんぺん草が生える」と言います。しかし、そんなぺんぺん草すらも生える環境ではないことを、何ひとつ残っていない状態という比喩表現で「ぺんぺん草も生えない」と言います。
ナズナの食べ方
ナズナは古くから食用としても重宝されてきました。しかし、ナズナを食用として普段からよく食べるという方はあまり見かけません。そこで食用のナズナの効能やおすすめの食べ方についてご紹介します。
ボタニ子
ナズナを食用として収穫するときは、動物の糞尿や排気ガスなどに汚染されていないような、きれいな場所で採るようにしてくださいね!
効能
ナズナは日々の健康を保つのにおすすめの食品です。
- お腹が重いと感じる
- 体がむくんでしまう など
おすすめの食べ方①七草粥
七草粥は1月7日、お正月明けで胃もたれした時期に、1年間の無病息災を願って食べる習慣があります。中には春の七草と呼ばれるセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロが入っています。春の訪れを感じる七草粥でナズナを味わってみてはいかがでしょうか。
ボタニ子
春の時期になると、スーパーで春の七草がセットで売られている場合ありますよ!もし手に入れるのが難しい場合は、他の青菜で代用してくださいね。
材料(2名分)
- 春の七草
- 米 0.5合
- 水 600〜900ml(基本は0.5合に対して600mlですが、好みに合わせて調整してください)
- 塩 少々
手順
- 鍋にご飯と水を入れて煮立たせます。煮立ったら、弱火で煮てください。
- 別の鍋で七草の葉をさっと茹でます。スズナやスズシロの実は食べやすい大きさに切って茹でてください。
- 七草が茹で上がったら、冷水につけます。冷めたら軽く絞って、食べやすい長さに切ってください。
- お粥が出来上がったら、塩と茹でた七草を加えます。全体を軽く混ぜたら完成です。
おすすめの食べ方②お浸し
ナズナはお浸しであっさり食べるのもおすすめです。茹でたナズナはあっさりとした味わいなので、揚げ物などがっつりしたメインの付け合わせにぴったりですよ。
材料(1名分)
- ナズナ 2束
- だしの素 ひとつまみ ①
- 醤油 小さじ1 ①
- みりん 小さじ1 ①
- 炒りごま 少々
- 鰹節(お好みで)
手順
- ナズナをさっと茹で、冷水で冷まします。
- 冷ましたら軽く絞って、食べやすい大きさに切ります。
- ナズナをボールに入れて、①を加えたら、10分ほど浸します。
- 全て皿に盛り付けて、最後に炒りごまと鰹節をまぶしたら完成です。
おすすめの食べ方③天ぷら
ナズナは天ぷらでさっぱり食べるのもおすすめです。他の野菜と組み合わせて、かき揚げにしても美味しいですよ。
材料
- ナズナ
- 薄力粉 適量
- 片栗粉 適量
- 水 適量
- 塩(お好みで)
ボタニ子
ふわりと軽い仕上がりよりも、サクサクとしっかりとした仕上がりがお好みであれば、小麦粉7:たこ焼き粉3の天ぷら液で揚げるのをおすすめします!
手順
- 薄力粉と片栗粉を混ぜ合わせて、天ぷら粉を作ります。
- ナズナを水洗いして、油が跳ねないように水気をキッチンペーパーで拭き取ります。
- ナズナを天ぷら液につけて、170度程の油で揚げます。
- 揚がったら、塩をお好みでふりかけて完成です。
ボタニ子
ナズナの天ぷらは、大根おろしとポン酢で食べるのもおすすめです。さっぱりと食べれて、箸が止まらなくなりますよ〜!
ボタ爺
わしは明太子とマッシュポテトを混ぜ合わせたマッシュ明太子がおすすめじゃ!アクセントが効いて絶品じゃぞ〜!
まとめ
ナズナは誰もが1度は見たことがあるような、身近に生息する植物です。古くから音を鳴らして遊んだり、薬用や食用として親しまれてきました。もしまだ遊んだり食べたりしたことがない方がいれば、ぜひ自分の身の回りのナズナを探して、手に取ってみてくださいね。
出典:写真AC