ヤマモミジの育て方
ここからは、ヤマモミジの育て方を紹介します。ヤマモミジは日本の気候風土に合っている植物で、庭木のなかでも育てやすい部類です。よほどのことがない限り、失敗は少ないでしょう。しかし「木を美しく健やかに育てたい」「美しい紅葉を見たい」と望むなら、しっかりと育て方のポイントを押さえる必要があります。適切な管理で、ヤマモミジを最高の状態に育て上げましょう。
育て方のポイント①栽培環境
日当たりを好むが乾燥に弱い
ヤマモミジは日当たりのよい場所を好みますが、乾燥に弱いです。夏の直射日光のような強い日差しが当たると、葉焼けしてしまうため注意しましょう。特に木が若いうちは、半日陰で育てるのがおすすめです。また、きれいな紅葉を見るためには、日光と昼夜の温度差が欠かせません。冷暖房が充実している建物から離れた場所で栽培しましょう。
ヤマモミジはきれいな空気を好みます。住宅地で育てる場合は、自動車などが出す排気ガスにも注意しましょう。
土・用土
ヤマモミジが好むのは、水はけと水もちがよく、通気性にも優れた肥沃な土壌です。赤玉土(小粒)7:腐葉土1:黒土2の割合で混ぜた土を使いましょう。なお、盆栽を育てる場合は、赤玉土のみの使用でもOKです。
育て方のポイント②植え付け・植え替え
ヤマモミジの植え付けの適期は11月中旬~2月です。地植えの場合は植穴を大きめに堀り、植え付ける前に腐葉土や堆肥などの有機物を混ぜ込んでおきます。こうすることで、水はけと水もちがよくなりますよ。植え付けた苗がしっかり根を張るまでは、支柱を立てておきましょう。
鉢植えの植え替えの適期は?
ヤマモミジの鉢植えの植え替えは、2年~3年に1回のペースで行いましょう。植え替え作業の適期は1月~2月です。大きめの鉢やコンテナで栽培していて2m~3mに成長した場合は、支柱を立てると安定します。近年では、小さい鉢に植え付けて盆栽仕立てにするのも人気です。
育て方のポイント③水やりと肥料
水やりのタイミングは?
鉢植えは土が乾いたら水やりするのが基本です。ただし、ヤマモミジは乾燥を嫌うため、夏の水やりは注意が必要です。水切れ防止のために、夏は朝と夕方の2回水やりします。冬は2日~3日に1回でOKですが、霜防止のために朝か昼のうちに与えるようにしましょう。地植えの場合は基本的に水やりの必要はありません。
肥料の種類と適期は?
ヤマモミジは葉を楽しむ植物のため、基本的に肥料はそれほど必要としていません。2月に寒肥として油粕、あるいは緩効性化成肥料を与えればOKです。肥料成分が秋まで残っていると、紅葉に悪影響を与えてしまいます。肥料の与え過ぎに注意しましょう。
育て方のポイント④剪定
ヤマモミジの剪定の適期は10月下旬~12月です。この時期以外で剪定するのは控えましょう。特に年明け後は厳禁です。ヤマモミジは年明け後に活動し始めるため、この時期に木を切ると樹液が出てしまいます。ヤマモミジは基本的に自然な樹形を楽しむ植物のため、剪定は徒長枝や混み合った枝を整理する程度で十分です。コンパクトな樹形にしたい場合は、若木のうちから丁寧に剪定しましょう。
モミジ類の剪定は、プロの指標になっているくらい難しい作業なんだ。慎重に行おうね。
育て方のポイント⑤病気・害虫対策
要注意な病気
ヤマモミジで要注意の病気は、うどんこ病とすす病です。どちらも多湿な環境下で発生する可能性が高い病気のため、日当たりと風通しのよさを維持できるように注意しましょう。特に梅雨時は注意が必要です。ほかの予防策としては、定期的な薬剤散布もあります。用法・用量を守って散布しましょう。
要注意な害虫
ヤマモミジにつく害虫で要注意なのは、アブラムシ、カイガラムシ、ゴマダラカミキリ、ミノムシ、コウモリガなどです。アブラムシは新芽や若い葉に発生します。普段からこまめに観察し、発見次第駆除しましょう。また、ゴマダラカミキリの幼虫が株に侵入して食害すると大ダメージを受け、若木の場合は枯死する恐れがあります。5月中旬~8月は月1回のペースで株元にオルトラン粒剤、もしくはダイアジノン粒剤をまいておきましょう。
まとめ
庭木やシンボルツリーとして人気のヤマモミジは、鉢植えや盆栽、苔玉などでも楽しめる用途の広さを誇る樹木です。広い庭で大きく育てるのもよし、狭い場所でコンパクトに育てるのもよし、どちらでも健やかに育てることで、ヤマモミジならではの美しさを発揮してくれますよ。春の若葉、夏の深緑、秋の紅葉と、季節ごとの華麗なる変化を楽しんでくださいね。
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出典:BOTANICA