ヤマモミジの概要
ヤマモミジはイロハモミジの変種で、カエデ属の落葉高木です。ヤマモミジやイロハモミジなどのモミジと呼ばれる樹木たちは、秋に紅葉する木の代表的存在で、日本では約30種類が分布しています。ヤマモミジの自生種の多くは日本海側の山地に分布し、秋には見事な紅葉を見せてくれます。
ヤマモミジの紅葉というと赤い葉のイメージが強いですが、黄色く変わる場合もあります。
庭木・シンボルツリーにおすすめ
ヤマモミジは、庭木やシンボルツリーとして大人気です。その理由は、春や夏は若々しい緑色、秋は紅葉し、美しい赤や黄色のグラデーションを見せてくれることにあります。また、もともと日本で自生している樹木のため、日本の気候風土に適しているぶん、管理が楽だという点も見逃せません。ヤマモミジは成長すると15mにも達する落葉高木ですが、うまく剪定すればコンパクトな樹形をたもてます。
ヤマモミジは広い和風庭園の庭木というイメージが強いですが、剪定次第でコンパクトに育てられるため、花壇や鉢植えでも大丈夫ですよ。
モミジ類には海外産の園芸品種もあるんだ。白い斑入り品種や、紅葉の時期になると葉がピンク色に変わる品種もあるんだよ。
ヤマモミジの基本データ
学名 | Acer palmatum var.mastumurae |
科名 | ムクロジ科 |
属名 | カエデ属 |
原産地 | 日本(本州日本海側、主に秋田県~石川県) |
樹高・草丈 | 12m~15m |
開花時期 | 5月~6月(見頃は紅葉する10月~11月) |
特性・用途 | 庭木、鉢植え、公園樹、盆栽、苔玉 |
ヤマモミジの特徴
特徴①一年中楽しめる葉
ヤマモミジの最大の特徴といえば、秋に紅葉することですが、春~夏の緑色の葉も美しいです。春は新緑の爽やかな色が楽しめます。夏は生い茂った緑の葉が涼しい木陰を作ってくれるため、清涼感にあふれた空間を演出できるでしょう。切れ込みが入った独特の形状の葉が垂れ下がっている姿も、風情があって美しいです。まさに一年中楽しめる樹木といえるでしょう。
特徴②さまざまな用途がある
ヤマモミジは、本来は12m~15mにまで成長する高木です。一般には広い和風庭園の庭木として利用されています。しかし、上手に剪定すればコンパクトな樹形を維持することが可能です。そのため狭い庭や花壇の庭木、盆栽、苔玉にも利用できます。この用途の広さも人気の理由でしょう。
コンパクトな樹形をたもつコツは、木が若いうちから将来の樹形を考えて剪定していくことだよ。
日頃から丁寧に管理することで、美しく健やかな木が作られます。これはヤマモミジだけではなく、すべての植物栽培にいえることですね。
特徴③赤い花をつける
ヤマモミジは5月~6月に赤い花をつけます。とても小さな花で、花径4mm~6mmほどです。新芽の下に、ぶら下がるようにして咲く特徴があります。また、ヤマモミジは「雌雄同株」といって、雄花と雌花が1つの株に咲く樹木です。ところが、雄しべと雌しべの両方を持つ両性花も咲くことがあるという、少し複雑な特徴を持っています。
ヤマモミジの見分け方
ヤマモミジはイロハモミジの変種ということもあって、イロハモミジとよく間違われています。また、モミジという植物自体が、カエデとよく混同されます。ここからはヤマモミジとイロハモミジとの見分け方と、モミジとカエデの見分け方について紹介しましょう。
ヤマモミジとイロハモミジとの見分け方
見分け方①葉の大きさ
前にも触れたように、ヤマモミジはイロハモミジの変種です。そのため見た目は非常によく似ており、プロでも見分けるのが難しいといわれています。両種の見分け方のポイントとしては、葉の大きさがあげられます。葉の形はとてもよく似ていますが、ヤマモミジの葉のほうが、イロハモミジの葉と比べると少し大きいです。
見分け方②自生種の分布地域
見た目の区別が難しいとされているヤマモミジとイロハモミジですが、自生種の分布地域は、はっきりと分かれます。前述したようにヤマモミジは日本海側に自生していますが、イロハモミジは太平洋側に自生しています。ちなみに学名も異なっており、ヤマモミジは「Acer palmatum var.mastumurae」ですが、イロハモミジは「Acer palmatum」です。
ヤマモミジとカエデの見分け方まとめ
- 見分け方①:ヤマモミジの葉のほうが少し大きい
- 見分け方②:ヤマモミジの自生種は日本海側、イロハモミジの自生種は太平洋側に分布している
モミジとカエデの見分け方
植物学上は同じ植物
じつはモミジとカエデは植物学上は同じ植物とされており、明確な区別はありません。ただし、園芸業界では葉の切れ込みの深さと数で区別しています。葉の切れ込みが深く、切れ込みの数も5つ以上あるものをモミジ、切れ込みが浅くて数も少ないものをカエデと呼びます。
モミジとカエデの見分け方
- 植物学上は同じ植物であり、明確な区別はない
- 園芸業界では、葉の切れ込みが深く数が多いものをモミジ、葉の切れ込みが浅く数も少ないものをカエデと呼んでいる
出典:BOTANICA