セントジョーンズワートとはどんな植物?
夏に黄色い花を咲かせる
オトギリソウ科の多年草植物。別名セイヨウオトギリソウ。 ヨーロッパやアジアでは自生する植物で、夏には黄色い花を咲かせます。花びらのふちに小さな黒い点があるのが特徴です。名前の由来は聖ヨハネの日(6月24日)の日に収穫される伝統があることからです。
魔除けの植物とも
葉のもつ香りを悪魔が嫌うとして魔除けの植物とも言われています。ハーブとして使用するのは花、葉、茎の部分です。また、可愛らしい花は観賞用としても楽しめ、染色にも使われます。
セントジョーンズワートの効能
セントジョーンズワートにはさまざまな効能があるとして注目され、乾燥ハーブ、オイル、サプリメントの形で市販されています。その効能から「ハッピー・ハーブ」、「サンシャイン・ハーブ」とよばれているセントジョーンズワートの効能について以下にご紹介します。
セントジョーンズワートは軽いうつ病に効能
セントジョーンズワートは軽いうつ病の治療に効果があるとされています。ハッピーハーブ、サンシャインハーブとよばれるゆえんはここにあります。うつ状態のときは、脳内の神経伝達物質・セロトニンが減少しているのですが、セントジョーンズワートを摂取すると、セロトニンの濃度が高まり、うつ状態が改善されるそうです。この有用性には反対意見もありますが、欧州では2000年以上前から薬効を認められ、使用されています。ドイツでは医療の現場で軽いうつ病患者に処方される医薬品です。
セイヨウハーブの抗うつ作用と医薬品との相互作用
セントジョーンズワートは脳の中の神経物質・セロトニンを増やす
セントジョーンズワートは更年期障害に効能
セントジョーンズワートは更年期障害をやわらげるとして、女性に人気があります。更年期障害による不安感やストレス、イライラ、気分の高ぶりや気分の落ち込みなどを緩和してくれるそうです。
女性の更年期障害は女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によっておこります。このエストロゲンの減少は脳内物質セロトニンを不安定にします。セロトニンの濃度を高めるセントジョーンズワートが有用にはたらくというわけです。
セントジョーンズワートは更年期障害や月経前症候群の症状を改善する効果
セントジョーンズワートは不眠症をやわらげる効能
セントジョーンズワートには夜眠くならなかったり、なかなか寝付けない人が摂取すると自然に夜眠くなることが期待できるとのこと。睡眠薬のように急激に眠くなるのではありません。夜眠くなるのはメラトニンというホルモンのはたらきなのですが、このメラトニンを生成するためには、昼間のセロトニンの分泌が必要です。 セントジョーンズワートは、セロトニンの濃度を高めるため不眠症をやわらげる効能があるということです。
セントジョーンズワートには不眠を解消する効果
セントジョーンズワートは日焼けあとの肌に効能
セントジョーンズワートのオイルを日焼けあとの肌に湿布すると、日焼けあとのトラブルケアができます。炎症に効果がある「ヒペリシン」を含んでいるので、軽いやけどにも有用のようです。セントジョーンズワートのオイルは市販されていますが、摘み取った植物(セントジョーンズワートの花、葉、茎)から自分で作ることもできます。(後述、セントジョーンズワートオイルのつくりかた)
セント・ジョーンズ・ワート・オイルは、日焼けした体を程よく冷まします。
セントジョーンズワートは痛み緩和に効能
セントジョーンズワートのオイルは筋肉痛、肩こり、神経痛、打ち身、リウマチなどの痛み緩和に効果があります。セントジョーンズワートのオイルを、痛みを感じる部分にマッサージするように塗りこむとよいでしょう。セントジョーンズワートに含まれる「ヒペリシン」の炎症を抑える効能で痛みや炎症がやわらぐようです。
セントジョーンズ・ワート・オイルは筋肉痛、肩こり、打ち身、坐骨神経痛、関節炎、ヘルペスなどの症状も緩和すると言われています。
セントジョーンズワートの副作用
多くの効能があるセントジョーンズワートですが、注意するべき副作用があります。 子供、妊婦、精神疾患の薬を服用している人は、使用しないか医師に相談のうえ使用するようにしましょう。また、セントジョーンズワートを摂取すると、まれに光に過敏になることがあるので、ハーブティーは日中に飲みすぎないように注意が必要です。 特にサプリメントで摂取する場合は量が多くなり、以下のように飲み合わせの副作用の問題が指摘されています。
セントジョーンズワートは服用している薬の薬効を弱める
セントジョーンズワートを長期摂取していると、服用している薬の薬効を弱めることがあるようです。長期摂取で肝臓のある種の薬物代謝酵素の割合が増加します。その酵素で代謝をうける薬(経口避妊薬、精神安定剤ほか多数)の代謝速度が速まり、薬の効果が低下します。これは、それほどお酒に強い人でなくても日々お酒を飲み続けていると、お酒に強くなる原理と同じです。アルコール代謝酵素の割合が増加してお酒の効果が弱くなり、お酒に強くなっているというわけです。
セントジョーンズワートを長期間飲用しますと(中略)薬の効果が低下します。
セントジョーンズワートは服用している薬の薬効を強める
逆に、セントジョーンズワートは服用している薬の薬効を強めることもあるようです。セントジョーンズワートといっしょに摂取すると脳内のセロトニンが増えすぎて、効果が強くなる医薬品があると指摘されています(うつ病の薬、偏頭痛治療薬そのほか多数)。効果が強くなると、吐き気や強い眠気などにおそわれる副作用がでることもあるとのこと。
薬効を弱めるだけでなく、のみ合わせによっては強めてしまうケースもある。
セントジョーンズワートの副作用への対処
服用している薬がある場合は、薬剤師や医師に相談するようにしましょう。現在服用している薬がない場合も、お薬手帳にセントジョーンズワートを使用していることを記載しておくことがおすすめです。セントジョーンズワートは日本では健康食品ですが、欧州では医薬品です。またサプリメントの摂取は薬の服用から3〜4時間あけると安心のようです。
処方されている薬がある人は、どう健康食品とつきあっていけばよいのだろう。
セントジョーンズワートの摂取方法
セントジョーンズワートの摂取方法は、サプリメントやハーブティーがありますが、ここではハーブティーについて紹介します。
セントジョーンズワートのハーブティー
リラックスするためのハーブティーです。ハーブティーには生と乾燥のハーブのどちらも使えますが、乾燥の方が味、香り、そして薬効も強く、生のほうはまろやかです。風味の特徴は、乾いた草の香りと土っぽい香り、ほのかな甘みです。風味の特徴を活かすために、レモンバーム、レモンバーベナとのブレンドもおすすめです。
<一人分>
ティーポットに小さじ山盛り2杯(約5グラム)の乾燥ハーブと1カップの熱湯を注ぎ、蓋をして約10分浸出させます。生のハーブの場合は約15グラムが標準量です。特徴のある風味が気になる場合は、はちみつを加えるとよいでしょう。
セントジョーンズワートの保存方法
収穫したハーブは、ドライハーブにしたり、オリーブオイルに漬けてハーブオイルなどにして保存できます。ドライハーブは上手に保存すれば保存期間は1年ほどです。ハーブオイルは冷暗所に保存で数年もちます。古くなると香り、味、薬用効果が弱まります。
セントジョーンズワートオイルのつくりかた
さいごに、セントジョーンズワートを使用したオイルの作り方をご紹介します。
密閉できる透明のガラス瓶を用意!
密閉できる透明のガラス瓶を用意し、瓶を煮沸消毒します。摘みたてのセントジョーンズワートを瓶の4分の3ほどに詰めます。セントジョーンズワートが完全に浸かるようにオリーブオイルを加え、暖かい日のあたる場所に1ヶ月間おきます(この間毎日瓶をふることを忘れないようにします)。
赤い色が「ヒペリシン」
1ヶ月ほど経つとオイルの色が褐色に変わるので、濾して保存瓶に入れます。できあがったオイルは冷暗所に保存してください。黄色い花のオイルは長時間紫外線に当てることで赤い色に変わるのですが、この赤い色が有用成分の「ヒペリシン」です。
まとめ
セントジョーンズワートってどんなハーブ?
- 別名セイヨウオトギリソウとよばれる植物
- 気持ちを明るくする「サンシャイン・ハーブ」
- 軽いうつ病に効能
- 不眠症をやわらげる効能
- 筋肉痛や日焼けあとの肌に効能
- 服用している薬との飲み合わせの副作用に気をつける
続いて、セントジョーンズワートの摂取方法を紹介