ガマが由来になっているもの
古くから日本人の身近にあったガマは、さまざまな形で利用されてきました。現代では普段の生活で意識することはあまりありませんが、実は「蒲」と言う漢字を使う言葉の多くは、ガマが由来になっているものが多いのです。
ちくわ・かまぼこ
魚をすり身にして、ガマの穂のような形に棒に塗って焼くと、ちくわの出来上がりです。しかし、現在「ちくわ」と呼ばれているこの食べ物が、実は昔は「かまぼこ」と呼ばれていました。かまぼこを漢字で「蒲鉾」と書くのは、この名残とも言えます。
板かまぼこの普及で名前が入れ替わってしまった
魚のすり身を、棒を使わず板に塗って蒸して作られたのが、板かまぼこです。ところが板かまぼこが普及するにしたがって、やがてこちらが普通の「かまぼこ」になってしまいました。一方ガマに似たかまぼこは、「ちくわ」と別の名前で呼ばれるようになったのです。
蒲焼き
うなぎや穴子でおなじみのかば焼きも、漢字で「蒲焼き」と書きます。つまり、こちらの名前の由来も、ガマです。昔は、うなぎを筒状のまま串に挿して焼いていました。その様子がガマの穂に見えることからがま焼きになり、やがてなまって「かば焼き」になりました。うなぎの骨はそのまま食べるには硬いため、現在では開いて焼いています。
ふとん
ふとんは、「布団」と「蒲団」という二通りの漢字表記があります。古くは、ガマを織って現在で言う座布団に近いものが作られていました。これが「蒲団」です。やがて時代が進むにつれて綿が普及し、寝具としての「布団」が登場しました。「布団」は布と綿で作られガマが使われていませんから、「布団」表記のほうが主となったのです。
ガマの利用方法
ガマは、古くから日本人の生活に役立ってきました。乾燥した花穂を蚊取り線香のかわりにしたり、綿毛を着火のための火口(ほくち)に利用したりしていました。現在でも数こそ減りましたが、やはりさまざまな形で利用されている植物です。
花粉が漢方薬になる
ガマの花粉は、古くから止血作用があることが知られていました。これは、ガマの花粉にはフラボノイドと脂が多く含まれるためです。フラボノイドが血管を収縮させて出血を抑え、更に脂が傷口を覆うことで自然治癒を促します。現在でも、夏の黄色い花粉が「蒲黄」という名前で漢方薬の材料となっています。
若い芽や穂は食べることができる
楽しかった、美味かった!写真はガマの新芽、甘い筍のようで美味。 pic.twitter.com/p2u3l018jH
— Oizumi (@bushnblade) June 13, 2013
フランクフルトのように見えるガマの花穂は、夏の間に焼くことで食べることができます。地下茎も美味しそうに見えますが、こちらはやや固く食べるのは難しいです。しかし、オーストラリアでは、叩いてペースト状にすることで食べていたそうです。最も美味しいのは新芽の部分で、細いたけのこに似た風味と甘さを持っています。
ボタニ子
そういえば、庭用の大きな鉢が余ってるんだった。あれにガマが育てられないかな。次のページで育て方を見てみようっと。
出典:写真AC