オオバナノエンレイソウとは
オオバナノエンレイソウは北海道や東北地方の気温の低い地域に分布する山野草です。北海道ではオオバナノエンレイソウの群生を見ることができ、雪解けとともに咲く植物の総称である「春の妖精(スプリング・エフェメラル)」としても名前があげられます。
オオバナノエンレイソウの基本情報
科名/属名 | シュロソウ科(ユリ科)/エンレイソウ属 |
和名 | 大花延齢草 |
別名 | アマチャ(甘茶) |
学名 | Trillium camschatcense |
形態 | 多年草 |
草丈 | 20~30cm |
オオバナノエンレイソウはエンレイソウという山野草の一種です。エンレイソウの中でも「オオバナノ」という名前の通り、大きな花をつけます。多年草で山の湿った場所に自生しており、市販のものは山で採られた株が多く、栽培の難易度は高めです。
オオバナノエンレイソウの特徴
北海道が群生地のように、オオバナノエンレイソウは寒さには強い植物で、湿った場所を好みます。一方で、暑さと乾燥には弱いです。
開花時期 | 4~6月 |
実がなる時期 | 7月 |
花びら、萼、葉が3枚ずつある
エンレイソウの仲間であるオオバナノエンレイソウは花びらが3枚、花のまわりの萼(がく)が3枚、葉が3枚というのが特徴的です。春になると大きな花を上向きに咲かせます。花の色は白色で、花言葉には「奥ゆかしい美しさ」、「落ち着いた美しさ」があります。
ボタ爺
花が咲いたあとに実ができる
オオバナノエンレイソウは花が終わると花びらの間に実をつけます。形がソバの実に似ているのが特徴的です。実の色は緑色の他にも茶色の実もあり、萼の色にも緑や茶色や紫のように違いがあります。
寿命と開花までの時間が長い
オオバナノエンレイソウは発芽から開花までおよそ10年以上かかり、寿命も長いことが特徴的です。寿命は20年以上と推測されています。また一度開花してからは毎年花を咲かせてくれることが嬉しいです。
ボタニ子
「エンレイソウ(延齢草)」という名前は、寿命が20年以上と長いからなんですね。
オオバナノエンレイソウの育て方
種まき | 6月 |
植え付け・植え替え | 8~9月 |
肥料 | 10~7月 |
オオバナノエンレイソウの水やりから増やし方までの基本的な育て方についてご紹介します。種からは時間がかかるため、おすすめの育て方は苗から育てる方法です。
育て方①水やり
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら水やりします。もともと湿った環境に分布するオオバナノエンレイソウなので、土を乾燥させないようにしましょう。地植えの場合は、雨が降らない日が続いてしおれるようであれば、水やりをします。地植えの休眠中の水やりは特に必要ありません。
ボタ爺
休眠中も用土は乾燥させてはいけません。
育て方②置き場所
鉢植えで育てる場合、秋から春にかけての気温が低い時期には、日当たりのよい場所に置きます。暑さには弱いので、夏がくる前に日陰の涼しい場所へと移動させましょう。
育て方③用土
適した用土は水はけのよいものです。地植えの場合も今ある用土に腐葉土を混ぜるようにしましょう。鉢植えの場合は、深さのある鉢を選び、鹿沼土、赤玉土、腐葉土、軽石の割合を等分にした用土などを使用します。
ボタ爺
オオバナノエンレイソウの病気には軟腐病がありますので、用土の水はけはよくしておきましょう。
育て方④肥料
肥料は秋から春にかけては、2ヵ月に一回ほど緩効性の肥料を与えます。肥料は湿らせて発酵させてから施すとよいでしょう。また週に一回は液体肥料を薄めて与え、5月〜7月にかけての液体肥料はリン酸が入っているものを与えます。
育て方⑤手入れ
オオバナノエンレイソウの必要な手入れは害虫予防と支柱立てです。春先にアブラムシがつきますので、害虫予防をして取り除くようにしましょう。また茎や葉は柔らかいため、支柱立てして茎が折れないようにします。支柱は枯れるまで立てて問題ないです。
育て方⑥植え付け・植え替え
鉢植えの場合は、植え替えを2~3年に一回は行いましょう。植え付け・植え替えの時期は8月下旬〜9月上旬です。植え替えはなるべく早く行い、葉が倒れないようにします。地植えの場合は落葉樹の下などを選び、芽の先端が見えない深さまで植えましょう。
育て方⑦増やし方
発芽まで | 1年 |
葉が増えるまで | 5~6年 |
花が咲くまで | 10年 |
オオバナノエンレイソウには種まきと株分けの二通りの増やし方があります。難易度はどちらも高く、種からは時間がかかり、株分けは株が弱ることや根からの病気の原因になることがあるからです。種からの増やし方では開花まで10年以上かかります。
種まき後は土は乾燥させない
オオバナノエンレイソウは実の中に種があるので、実が柔らかくなったら採ります。種まき後は土は乾燥させないように管理しましょう。1年ほどで発芽し、1枚の糸状の葉を出してからは5~6年をかけて3枚の葉を出してくれます。肥料も同様に施しましょう。
秋に新芽をマルチングする
種を植えると秋ごろに新芽を出します。新芽は風で傷みやすいので、マルチングして保護するようにしましょう。マルチングとは植物の根元をビニールなどで覆うことで、気候の変化や乾燥から守る効果などがあります。その後、花が咲くまでの気温の低い秋から冬の間は、日当たりのよい場所に置きましょう。
ボタニ子
次のページからは北海道のオオバナノエンレイソウの群生地をご紹介します。
学名の「Trillium」は花びら、萼、葉を3枚ずつを持つことから名づけられたそうです。