カラスウリ(烏瓜)とは
カラスウリという植物を知っていますか?名前にカラスと入っていますが、真っ赤に実ったカラスウリの実はとても苦く、カラスでも食べないといわれています。そんなカラスウリの特徴や育て方、食べ方などをご紹介します。
カラスウリ(烏瓜)の基本情報
科名 | ウリ科 |
属名 | カラスウリ属 |
原産地 | 日本、中国 |
性質 | つる性 |
耐寒性 | 強い |
耐暑性 | 強い |
カラスウリ(烏瓜)の特徴
カラスウリは花も実も個性的な形や色をしている植物です。秋の歌として知られている「真っ赤な秋」という歌の中にも「真っ赤だな、真っ赤だな、カラスウリが真っ赤だな」という歌詞があり、秋の風物詩としても知られています。そんなカラスウリの花や実の特徴をご紹介します。
カラスウリ(烏瓜)の花
カラスウリは特徴的な形の白い花を咲かせます。しかしカラスウリの花は夜中に咲き始め、日が昇るころには花が終わってしまうため、あまり見る機会がないかもしれません。レースのように繊細なカラスウリの花は、とても神秘的な美しさがあります。
カラスウリ(烏瓜)の実
カラスウリの実はツヤがあり、真っ赤な色をしているのでとてもおいしそうに見えますが、実は苦味が強く、おいしく食べることは難しいといわれています。トマトのようにも見えますが、野生の生き物や虫が実を食べることはあまりないので、実が腐ってしまい地面に落ちていることも多いです。
カラスウリ(烏瓜)の見分け方
カラスウリによく似た「キカラスウリ」という植物もあります。キカラスウリは漢字で「黄烏瓜」と書く通り、黄色い実のなる植物です。その他にもそれぞれ特徴があるので、カラスウリとキカラスウリの見分け方ご紹介します。
カラスウリ(烏瓜)とキカラスウリ(黄烏瓜)
カラスウリの見分け方は以下の通りです。
カラスウリ | キカラスウリ | |
実の色 | 赤色 | 黄色 |
花の形 | 全てが糸状 | 先端だけ糸状 |
葉の色 | 濃い緑色 | 黄緑色 |
葉の表面 | 毛がありザラザラ | 毛がなくツルツル |
カラスウリ(烏瓜)の名前の由来
カラスウリは名前から想像すると、カラスが食べるウリなのかな?と思うかもしれませんが、そうではありません。真っ赤でおいしそうな実が秋まで残っている様子をみて、カラスの食べ残したウリだと考えられたところから、カラスウリという名前がついたそうです。
カラスウリ(烏瓜)の花言葉
カラスウリには「男嫌い」という花言葉がついています。夜にひっそりときれいな花を咲かせ、誰にも知られず夜明けには花を終わらせてしまう様子からついた花言葉です。カラスウリの特徴的な花の咲き方に由来している変わった花言葉がついています。
カラスウリ(烏瓜)の育て方
カラスウリは丈夫な植物なので、初心者でも簡単に育てることができます。つる性の植物のため、ネットや支柱で誘導し、グリーンカーテンのように仕立てる育て方もおすすめです。自宅で育てるカラスウリの育て方を説明していきます。
置き場所
カラスウリは、太陽の光がたっぷりと当たる場所で育てるとよく育ちます。また、風通しの良い場所で育てると、害虫被害を受けにくくなるのでおすすめです。カラスウリはつるを、ネットや支柱で誘導しながら育てます。
種まき
カラスウリは発芽率が低いので、種をまくときには多めにまいておく方が安心です。種まきは1月〜4月の間に行います。ポリポットなどに1粒ずつ種を入れて、たっぷりと水やりをして発芽を待ちます。土が乾いてしまうと上手に発芽しないので、水の管理が重要です。
苗植え
ポリポットで育てたカラスウリが発芽したら、5月〜6月に苗植え作業を行います。カラスウリは縦にも横にも大きく育つので、苗と苗の間は70cm〜100cmほど余裕をもたせて植えるのがポイントです。グリーンカーテンのように仕立てる場合には、根元にネットや支柱を立て、それに這わせるように育てます。
水やり
カラスウリは水を好む植物です。たっぷりと水やりをするのがポイントで、表面が乾いてしまう前に水やりをするようにします。葉の色が黄色くなっているのは、水が足りないサインなので、しっかりと水やりをしないと枯れてしまう恐れがあるため注意が必要です。
肥料
開花期が7月から9月なので、その時期に半月に1度液体肥料を与えると、きれいに花を咲かせることができます。また、化学肥料を苗植えを行なったあとから、2ヵ月に1回の割合で与えるのも効果的です。
害虫対策と病気対策
実が苦く、鳥でも食べないカラスウリは害虫がつくことも少ないため、害虫対策は必要ありません。アブラムシやハダニなどの対策をしなくていいので、初心者でも気軽に育てることができます。また、カラスウリは黒点病やうどんこ病などの病気にかかりにくいという性質も魅力です。
カラスウリ(烏瓜)の食べ方
カラスウリの実はツヤがあり、真っ赤でとてもおいしそうな見た目をしています。しかし真っ赤に熟した実は苦味が強く、おいしく食べるのは難しいといわれています。カラスウリの実は、緑色のときに早めに収穫して食べる方が、苦味が強くないのでおすすめです。
カラスウリ(烏瓜)の浅漬け
カラスウリは、実がまだ緑色をしているときに食べるとあまり苦味が強くないので、おいしく食べることができます。緑色のカラスウリの実を、食べやすい大きさに切ってから塩もみをして、塩昆布とあえたら完成です。他にも麹漬けにしてもおいしく食べることができます。
カラスウリ(烏瓜)のジャム
カラスウリの真っ赤な実はとても苦味が強く、食用には向いていません。しかし、その苦味の原因であるタンニンをアルコールを使って飛ばし、はちみつ漬けにしたり、砂糖と一緒に煮詰めたりするとカラスウリのジャムができます。苦味は多少残ってしまいますが、体にいいので健康のために食べるというのもおすすめです。
カラスウリ(烏瓜)の活用方法
カラスウリは食用にはあまり向いていませんが、生薬やベビーパウダーとして活用されている魅力的な植物です。他にもカラスウリのつるを伸ばして成長していく性質を生かし、エコなグリーンカーテンとして利用することもできます。そんな活用方法をいくつか紹介していきます。
生薬
カラスウリの種を乾燥させたものは「カロニン」という名前の生薬として利用されています。カロニンは、呼吸機能の改善や便秘に効果的です。また、母乳不足にも効く生薬なので女性にも広く利用されています。
ベビーパウダー
天花粉という言葉を聞いたことがありませんか?この天花粉は、主にベビーパウダーの原料として使われているものです。実は天花粉はカラスウリの根から採取されています。成分はでんぷんで、カラスウリの根をすりおろし、水につけて下に沈んだでんぷんを天花粉として利用しているのです。
グリーンカーテン
カラスウリはつる性の特徴をもつ植物です。夏場につるを長く伸ばして成長するので、その性質を生かし、グリーンカーテンとして利用することができます。カラスウリの根元にネットや支柱を立てるだけで、自然とカーテンのようにつるが伸びて成長するので、初心者にも簡単です。
金運のお守り
金運アップのアイテムとしても人気があるカラスウリの種。これはカラスウリの種の形が、打ち出の小づちに似ているからです。カラスウリの種を乾燥させ、金運アップのお守りとして財布の中などに入れている人もいます。
まとめ
カラスウリの特徴や育て方、キカラスウリとの見分け方などをご紹介しました。カラスウリは私たちの身近なところでも、幅広く利用されている植物です。育て方も簡単で、カラスウリには害虫があまり付かないので害虫対策も必要ありません。ぜひカラスウリのレースのように神秘的な花や、真っ赤な赤い実を楽しんでみてはいかがでしょうか?
出典:写真AC