月桃の概要
月桃は、沖縄などに自生する多年草です。沖縄では「サンニン」とも呼ばれ、庭や畑の周りに植えられることも多いメジャーな植物です。近年ポリフェノールが多く含まれることが注目を集めており、抗菌・防虫作用などでも知られます。葉っぱや繊維の用途も広いため、有用な植物として栽培もされています。
月桃の基本情報
分類 | ショウガ科ハナミョウガ属(アルピニア属) |
学名 | Alpinia zerumbet (以前はAlpinia speciosaとされていた) |
原産地 | 沖縄 |
草丈 | 約2m~3m |
花期 | 5月~6月 |
花色 | 白、唇弁(中央の1枚)は黄と赤 |
香り | 花と葉に甘く深い芳醇な香り 根茎にショウガに似た香り |
耐寒性 | やや弱い |
耐暑性 | 強い |
特性 | 常緑性 |
月桃の効果・効能
月桃には、ポリフェノールが多く含まれています。また、そのほかにも、健康を保つのに役立つ成分が含まれており、毎日の健康維持におすすめです。月桃の持つ成分についての研究は、日本では1914年から始められており、近年ではその文献などから海外でも月桃の効果・効能が注目されています。
ボタニ子
ポリフェノールは数千種類もあるとされ、人が摂取したときに期待できる働きもそれぞれ違います。
①抗酸化作用
月桃のポリフェノールの主な効能は、活性酸素の働きを抑える抗酸化作用です。また月桃のファイトケミカルのうちポリフェノール以外の数種類も抗酸化作用を持っています。抗酸化作用によって活性酸素による体へのダメージを防げるため、さまざまな疾病の予防につながるといわれています。
ボタニ子
ファイトケミカルとは植物栄養素とも呼ばれ、植物が有害なものから自分を守るためのものです。人が摂取すると健康維持にさまざまな効果が期待できます。
②生活習慣病の予防
月桃の葉っぱを料理などに使うと、生活習慣病の予防になるとされています。生活習慣病の原因のひとつは、過剰な活性酸素による酸化刺激が体に負担をかけることです。月桃の葉っぱには活性酸素の働きを抑える効能があるため、生活習慣病の予防に効果的といわれています。
③アンチエイジング効果
月桃にはアンチエイジング効果があるとされています。肌のシワ・たるみなどのエイジングは、加齢による自然老化で体内のコラーゲンが減少すること、紫外線による光老化でコラーゲン分解酵素が増えることが主な原因です。月桃のファイトケミカルには、コラーゲンを作り出す線維芽細胞を増やすもの、コラーゲン分解酵素の働きを阻害するものが含まれます。また、目の光老化を防ぐルテインも含まれています。
化粧品の成分にも使用される
月桃の葉から抽出したエキスは抗老化成分として化粧品に使われています。成分表示には「ゲットウ葉エキス」と書かれていることが多いです。近年では手作りコスメ用にエキスのみでも手に入ります。化粧品の材料に使われているものには、月桃葉エキスのほか、月桃蒸留水、月桃精油などがあります。
④抗菌作用
月桃には抗菌作用が期待できます。特に効果があるのが月桃の葉っぱで、食べ物を包むと傷みにくいことが古くから知られていました。月桃の葉っぱに含まれる揮発性の精油成分のうち、オレンジや柚子にも含まれているリモネン、クミンやタイムといったハーブに含まれるp-シメンなどに抗菌作用があるためです。
⑤防虫効果
月桃の葉っぱには防虫効果があるとされます。主に精油成分に含まれるカンファーによるものです。カンファーはクスノキにも多く含まれる成分で、日本では古くから樟脳(しょうのう)として防虫剤に利用していました。月桃の自生地では、生の葉っぱを置いておくだけでも虫よけになるといわれています。
出典:写真AC