カンアオイ(寒葵)とは?
カンアオイ(寒葵)は山里の樹林の下など、薄暗く湿った場所に自生する植物です。東アジアを中心に北半球に広く分布している多年草で60~100種が知られています。このうち日本でも個性的な花や葉をしたさまざまな種類が自生しています。そこで、カンアオイの特徴や名前の由来、家庭での育て方、カンアオイの仲間「ミヤコアオイ」との違いなど詳しく解説します。
基本情報
学名 | Asarum nipponicum |
科名 | ウスノスズクサ科 |
属名 | カンアオイ属 |
和名 | カンアオイ(寒葵) |
別名 | カントウカンアオイ(関東寒葵)、サイシン(細辛) |
形態 | 多年草 |
原産地 | 関東地方、東海地方東部・南部 |
草丈 | 5~20cm |
開花時期 | 10~12月 |
花色 | 暗紫色 |
名前の由来
京都三大祭りの1つ「葵祭」、この祭りの名前に使われている「葵」はフタバアオイの葉のことを指します。お祭りでは牛車や装束に葉を飾るため、見たことがある方も多いのではないでしょうか?カンアオイは、葉の形がアオイ(葵)の葉に似ていることから名付けられました。また、関東地方の山林でひっそりと自生していたことから「カントウカンアオイ(関東寒葵)」の別名でも呼ばれています。
ボタニ子
山野草
カンアオイは山野草の一つです。山野草は山や野原で自生している可憐な草花を指します。自然の中で健気に生きる美しさと素朴さがあり、登山愛好家を中心に人気があります。近年では品種改良されたものが流通しており、庭植えやミニ盆栽にも使われるようになりました。自然の空気を庭に取り入れることができるのも山野草の魅力といえますね。
カンアオイの特徴
カンアオイは秋から冬に、人里に近い野山の落ち葉の下でひっそりと開花します。卵のような形の葉が特徴で、その根元に花を咲かせるため、なかなか見ることができない貴重な花です。主に常緑性の種類が多いですが、落葉する種類もあり地域によってさまざまな種類が分布している個性豊かな植物といえるでしょう。
花
花は葉に隠れて見えないことが多いです。葉をかきわけ、落ち葉をどかしてみると地面に張り付くように暗紫色の花が咲いているのを確認できます。花びらが退化してなくなっており、先端が3つに裂け真ん中に穴が開いたような形をしています。10~12月に開花し、そのまま冬を越し春まで咲き続けます。
葉
葉は、ハートのような可愛い形で長さは6~10cm、幅は4~7cmほどの大きさをしています。色は濃い緑色で、表面に白い斑と産毛のような短毛が密集していることが特徴です。冬の間も常緑の葉をつけていることから「寒葵」と名づけられたといわれています。長い花期が終わり、花が枯れると新しい葉が生えて、古い葉と入れ替わります。
カンアオイの花言葉
個性的な花や葉をもつカンアオイには「秘められた恋」という花言葉がつけられています。葉の根元に、ひっそりと隠れるように咲く花の姿からつけられました。誰にも見つからないように思いを募らせている様子がうかがえますね。ちなみに、カンアオイは1月6日の誕生花です。寒さに耐える健気な花に、秘められた恋を感じますね。
ボタニ子
次のページでカンアオイの育て方と、カンアオイの仲間を説明します。
フタバアオイについては「カンアオイの仲間」でご紹介しますね。