ツクシとは?
春先になると、日当たりのいい場所ににょきにょきと生えている植物があります。それがツクシです。ツクシはシダ植物の一種で、群生して生えているものもあれば、スギナと一緒に生えているところを見かけることもできます。
基本情報
学名 | Equisetum arvense |
分類 | トクサ科トクサ属のシダ植物 |
名前 | スギナ(杉菜)、ツクシ(土筆)、地獄草 |
分布 | 日当たりのいい場所 |
時期 | 2月下旬~5月 |
ツクシはシダ植物
ツクシは、スギナの姿から草本に間違えられることがあります。しかし、草本ではなくシダ植物です。トクサ科トクサ属に属しています。ツクシ・スギナはトクサ科の中では一番小さいシダ植物です。
ツクシの役目
ツクシは、胞子茎と呼ばれる茎の一種です。地下茎から胞子茎をのばし、繁殖のために胞子をまき散らすのが役目です。色は全体的に薄茶色で、袴と1本の茎のてっぺんに、胞子を含んだ穂があります。穂は、最初は硬い状態でしまっているのが特徴ですが、成長すると広がり緑色の胞子をまき散らします。
ツクシの胞子
胞子は丸いです。さらに、2本の紐のようなものが1か所から伸びています。紐は湿ると胞子に巻き付き、乾燥すると伸びる特徴があります。ツクシは胞子で増える植物なので花がありません。この胞子が他の植物での花の役割を持っています。
ツクシの袴
ツクシには、袴があります。袴というのは、茶色でわっか状の茎を覆っている葉のことです。この袴は、本来であれば穂先の保護としての使われ方をしているので、他の植物にあった場合残らないことが多いですが、ツクシの場合は成長しても残るのが特徴です。
ツクシが見られる時期
ツクシは、春の季節に土の中から顔を出します。といっても、春の季節といっても数カ月あります。その中でも早いところでは、2月下旬ごろの時期から見ることができます。たくさん見られるようになるのは3月~4月ごろの時期です。ただし、北海道では5月ごろの時期まで見ることができます。
ツクシの名前の由来
ツクシは漢字で書くと「土筆」です。「地獄草」という、ツクシの姿からは思いつかないような別名もあります。なぜ、このような名前になったのでしょうか。ここでは名前の由来と花言葉を紹介します。
ツクシの由来
名前がツクシとなった由来は諸説あるようです。その中でも、「スギナについている」ことから「スギナに付く子」になり、名前がツクシとなったとされています。
土筆の由来
ツクシは漢字で書くと「土筆」です。土筆という字があてられたのにも由来があります。ツクシは成長しきるまで先端が袴に覆われています。この袴は成長しても残りますが、袴に覆われたまま土からのびてくる姿が「筆」に似ているということが由来となり、「土筆」という字をあてられたといわれています。
地獄草の由来
ツクシには「地獄草」という別名があります。地獄草という別名がつけられたのは、根が深いことに由来しています。根は、地下茎で深く張り巡らされています。そのことが由来となり、別名で「地獄草」といわれるようになりました。
ツクシは根が深いため、駆除が困難な雑草としても知られています。
ツクシの花言葉
ツクシには花言葉があります。その花言葉とは「向上心」「努力」「意外」「驚き」といったものです。これらの花言葉は、ツクシの成長スピードとスギナとの姿の違いが由来とされています。日々、ぐんぐん成長を続ける姿から「向上心」「努力」とつけられ、スギナとツクシの姿の違いに「意外」「驚き」といった花言葉がついたとされています。
これらの花言葉はスギナではなく、ツクシにつけられているものであることも特徴です。
ツクシとスギナの関係
春先に生えてくる緑色をしたスギの葉のような植物を見たことはありますか?それがスギナです。ツクシはスギナの子供だというふうに聞いたことはありませんか?実は、ツクシとスギナは親子関係にはありません。ここでは、スギナの特徴とツクシとの関係性を紹介します。
スギナの特徴
スギナは栄養茎と呼ばれている茎の一種です。緑色で、姿はスギの葉に似ていることが特徴です。スギナは節で枝分かれをし、葉と思われている姿は葉ではなく、茎です。葉は、節の部分に袴として残っています。
スギナも春の季節から見られるようになりますが、ツクシが枯れたあとの時期からたくさん生えてきます。
スギナの役目
ツクシにも役目があったようにスギナにもツクシとは違う役目があります。それは、光合成を行うことです。スギナには全体に葉緑素があるので、どこからでも光合成を行えることが特徴です。
ツクシとスギナ
「ツクシはスギナの子」と思っている人が多いかもしれません。そのことから、スギナが親で子供がツクシであり、ツクシが成長するとスギナになると思われている方もいるかもしれません。しかし、ツクシはスギナの子供ではなく、成長してもスギナにはならないのです。
姿は違うけど、両方とも茎
スギナには、地上茎と地下茎があります。名前の通り、地下茎は土の中に埋もれています。では、地上茎はどれかといいますと、それがツクシとスギナです。地上茎は春の季節に、地下茎から胞子をまき散らす茎(ツクシ)と光合成を行う茎(スギナ)として伸びていきます。そのため、同じ地下茎から生えるため、親子というよりは兄弟に近い関係を持つのがツクシとスギナです。
地下茎は冬でも土の中で生きていることが特徴です。そして、翌年の春の季節にまたツクシやスギナが出てきます。
スギナの名前の由来
ツクシの由来が「スギナに付く子」「筆のように見えるから土筆」といったように、スギナにも「スギナ」という名前がつけられた由来があります。その由来も諸説あり、「姿がスギの葉に似ている」ということから杉菜、「節から抜いても継ぐことができる」ことからツグナそれが転じてスギナになったといわれています。
スギナも地獄草の別名で呼ばれています。
出典:写真AC