カンアオイの育て方
カンアオイは、渋い花やユニークな葉を楽しむ植物です。土の中では、堅いしっかりとした地下茎が這うように成長し、わき芽で増えていきます。その成長は、とてもゆっくりです。徐々に増えていく緑の葉が、冬の庭に力強さを与えてくれることでしょう。カンアオイの育てる時の環境や増やし方など育て方について解説します。
環境
カンアオイは日陰でもよく育つ植物です。地植えの場合は、少し明るい日陰か、他の樹木の根元などがおすすめです。鉢植えの場合も一年中、日陰または半日陰になる場所に置きましょう。特に夏の直射日光が当たると「葉焼け」をしてしまうため、80~90%遮光する必要があります。冬は落ち葉を掛けておくと日差しを遮ることができます。
水やり
カンアオイは、湿り気のある土を好みます。多少の乾燥には耐えることができますが、乾ききった状態は避けたほうがよいでしょう。土の表面が少し乾いてきたら、たっぷり水を与え湿気のある状態にします。
用土と肥料
水はけのよい土を好みます。鉢植えの場合は、赤玉土6、鹿沼土3、軽石1の割合で混ぜ深い鉢に入れるとよいです。また肥料を与える時期は、3~6月と9~10月です。この時期は2週間に1回、リン酸、チッ素、カリ等が含まれている液体肥料を与えましょう。合わせて緩効性化成肥料を土の上に置くことで、さらに元気に成長します。
増やし方
カンアオイは挿し木による増やし方はむいていません。茎を切っても根が生えてこないため、挿し木にすることができないためです。株分けや種まきによって増やすようにしましょう。
株分け
鉢植えの場合は根が発達するため、根詰まりを起さないように1年に1回は植え替えをします。この際、芽が増えているものを株分けして増やします。芽の位置から根をたどり、長い根が3本以上ついていれば株分けすることができます。節の部分をハサミで切り植えつけます。
ボタニ子
種まき
種まきをすると増やすことができます。4~6月に培養土に種をまき、軽く土で覆うようにしましょう。半年~1年経つと芽が出てきます。芽が出るまで日陰に置き、乾燥させないようにすることが大切です。焦らずじっくり待ちましょう。
カンアオイの仲間
カンアオイは日本各地にさまざまな種類が分布し、地域によって変わった形のものも多く見られます。しかし、人里から近い野山に生えているため、建物の開発に伴い森林が多く伐採されたことや、マニアによる乱獲で激減してしまった種類もあります。
ミヤコアオイ
カンアオイとの違いは?
ミヤコアオイは近畿地方から島根県、四国地方西部に分布しています。常緑の多年草で、葉の形や斑模様がカンアオイとよく似ていますが、カンアオイに比べると葉が薄く、光沢がありません。日本特産の美しい蝶々「ギフチョウ」の食草として知られ、蝶好きの人による乱獲で四国では絶滅危惧種になっています。
オナガカンアオイ
宮崎県の一部だけに自生している珍しい種類です。ガクの3片がひものように長く伸び、不思議な形をしています。山野草マニアによって激しい乱獲にあい、現在は絶滅危惧種になっています。栽培が難しいため、現存する株は数十個といわれています。
タイリンアオイ
カンアオイの中でも、葉も花も大型の種類で中国地方西部から九州地方中部に分布しています。斑模様のある葉が長いハートの形をしており、大きな濃緑色の花を株元に咲かせます。ガク筒に強いクビレがあることが特徴です。
フタバアオイ
徳川家の家紋「三つ葉葵」のモデルにもなり、葵祭にも使われる有名な種類です。東北地方南部から九州地方にかけて広く分布しています。春にかわいい花を下向きに咲かせ、地下茎を匍匐(ほふく)させて広がります。冬には葉を落とす落葉品種です。
まとめ
カンアオイは暗紫色の渋い花と、ハートの形をした葉を楽しむ植物です。濃い緑の葉は冬越しできる強さをもっているため、少し寂しくなる冬の庭に活力を与えてくれるでしょう。種類によっては絶滅危惧種とされる貴重な植物です。大事に育てて、控え目な花を愛でてみませんか?
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真夏以外であれば、いつの時期でも植え替えをすることができます。