「もみじ」「カエデ」の違いとは?2つの違いをわかりやすく解説!

「もみじ」「カエデ」の違いとは?2つの違いをわかりやすく解説!

もみじやカエデといえば、紅葉の立役者です。手のひらのような形で赤や黄色に色づく葉は、もみじでもカエデでも美しさに違いはありません。今回はこのもみじとカエデの違いについてわかりやすく解説し、あわせて代表的な品種や見分け方を紹介します。

記事の目次

  1. 1.日本人に愛されている「もみじ」と「カエデ」
  2. 2.「もみじ」と「カエデ」の違いは?
  3. 3.「もみじ」の代表品種
  4. 4.「カエデ」の代表品種
  5. 5.もみじとカエデの違いを知って紅葉を堪能しよう!

日本人に愛されている「もみじ」と「カエデ」

Photo byaimnotboy

日本人は古くから紅葉を愛しみ、庭木に植栽したり唄に詠んだりして親しんできました。現在も紅葉シーズンになると、人々が美しい景色を楽しむ様子がニュースなどでも話題になります。このように日本人が愛してやまない紅葉の主役は、もみじやカエデなどと呼ばれている色づいた樹木の葉です。人や地域によっては同じ葉を指して、もみじともカエデとも呼ぶことがあります。

ボタニ子

ボタニ子

もみじとカエデには違う特徴もあれば、同じ特徴もありますよ。

「もみじ」と「カエデ」の違いは?

違い①分類

Photo by ftomiz

もみじとカエデには、分類的な違いはありません。すべてのもみじとカエデはムクロジ科カエデ属に分類されています。植物学上では、もみじとカエデを区別する定義はありません。カエデ属のなかで、赤や黄色に色づく種類だけもみじという名がついているのは、日本特有の考え方です。

ボタニ子

ボタニ子

モミジ科とかモミジ属があるのかと思った~!

ボタ爺

ボタ爺

「カエデ」という大きな属のなかの一部が「もみじ」だということになるんじゃよ

英語では?

カエデは英語でmaple(メープル)、もみじはjapanise maple(ジャパニーズメープル)といいます。つまり、世界的にももみじは「日本のカエデ」として認識されているわけです。

違い②名前の由来

Photo byHeungSoon

もみじとカエデは名前の由来に違いがあります。ともに、万葉集や古今集にその言葉を見つけられます。古くから日本人が紅葉に魅了されていたことも、数々の句から伝わってくるでしょう。

紅葉した様子から名づけられた「もみじ」

日本には、古語として「もみづ」という動詞がありました。これは「紅葉づ」と書き、秋になって木の葉が赤や黄色に色づくことを意味しています。この動詞「もみづ」から名詞「もみぢ」が派生し、紅葉した葉を総称して「もみじ」と呼ぶようになりました。

ボタ爺

ボタ爺

古今集に「雪降りて年の暮れぬる時にこそつひにもみぢぬ松も見えけれ」というステキな歌があるんじゃよ。「もみづ」の活用じゃな。

「雪が降って今は年も暮れたけれど、そのような中でやっと紅葉しない松の存在感を意識できるものだ」というような意味ね。

ボタ爺

ボタ爺

紅葉は、いにしえの時代から親しまれてきたんじゃな

葉形から名づけられた「カエデ」

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カエデは、カエデ属の樹木の葉がカエルの手の形に似ていることから「カエル手」となり、「カエデ」に音が変化したものと考えられています。万葉集にのっている大伴田村大嬢(おおとものたむらのおおいらつめ)の和歌にも「かえるて」という表現が確認できます。

ボタ爺

ボタ爺

大伴田村大嬢は「わがやどにもみつかえるてみるごとにいもをかけつつこひぬひはなし」と詠んでおる。「もみつ」「かえるて」だから「紅葉したカエデ」を意味しておるぞ。

やっぱりこの句でも「もみつ」という動詞が使われているのね。「もみつかえるて」とは、もみじそのもののことね!

違い③葉の形

フリー写真素材ぱくたそ

植物分類上は同じものですが、盆栽では切れ込みが5裂ある葉をもみじとよび、カエデと区別していることもあります。葉の切れ込みが深い形はもみじ、切れ込みが浅い形をカエデだとする説も挙げられます。もみじとカエデの呼び方の違いには諸説あるようです。

「もみじ」の代表品種

Photo byHeungSoon

日本においてカエデ属のなかでもみじとして認識されているのは、大きく分けると「イロハモミジ」「ヤマモミジ」「オオモミジ」の3種類です。この3種から、園芸品種が数多く作られています。

イロハモミジ

出典:写真AC

イロハモミジは、モミジの代表ともいえる落葉高木です。本州(福島県以西)と四国、九州の山地に自生しており、イロハカエデとも呼ばれています。条件が整えば平地でも美しい紅葉がみられるため、庭園や公園、住宅の庭木としても人気の高いもみじです。葉の長さは3.5~6cmほどで、深い切れ込みが3~7裂しています。葉の縁に、重鋸歯(じゅうきょし)と呼ばれるのこぎり歯のようなギザギザがあるのが特徴です。

ボタニ子

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イロハモミジの育て方を知りたい方はこちらの記事をご覧ください!

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ヤマモミジ

出典:写真AC

ヤマモミジは、北海道と青森県~福井県の日本海側の山地で、やや湿度の高い場所に自生しています。葉の長さは5~10cmほどで、7~9裂になった先端が細くとがっています。葉柄の上部に溝があることが特徴です。葉の縁は不規則な鋸歯が生じていて野趣があります。赤、オレンジ、黄色のグラデーションで染まる見事な紅葉は、庭園や公園、庭木としてだけでなく、盆栽でも人気があります。

ボタニ子

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ヤマモミジについて詳しく知りたい方は下の記事をご覧ください!

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オオモミジ

出典:写真AC

オオモミジは、北海道と本州から九州にかけて太平洋側の山地に自生している落葉高木です。葉は7裂が基本ですが、5裂や9裂も見られます。葉の長さは7~12cmで、イロハモミジやヤマモミジより大きいサイズです。葉の縁は細かく揃った鋸歯になっていて、整った印象を与えます。葉が大きいため美しい紅葉の時期は存在感がありますが、赤くならず黄色で落葉することもあります。

モミジ3種の見分け方

Photo by s.sawada

イロハモミジ、ヤマモミジ、オオモミジの葉形はとてもよく似ています。特にヤマモミジは、専門家でもイロハモミジやオオモミジと区別が困難なことで知られています。3種の違いを認識すると、紅葉狩りがさらに楽しくなるでしょう。

3種の葉の比較

  イロハモミジ ヤマモミジ オオモミジ
分布 北海道、本州~九州の太平洋側 北海道、青森~福井県の日本海側 北海道、本州~九州の太平洋側
葉の大きさ 3.5~6cm 5~10cm 7~12cm
葉の裂 3~7裂 7~9裂 5~9裂
葉の縁の形 二重鋸歯 二重鋸歯 単鋸歯

切れ込みの数や縁の形、葉柄の溝を観察して見分けてみたいわ!

「カエデ」の代表品種

Photo byHeungSoon

カエデ属は世界に128種類ほど存在していますが、日本に自生しているのは28種ほどとされています。園芸種としても数多くの品種があり、街路樹や庭園、庭木として植栽されています。

サトウカエデ(砂糖楓)

Photo byMabelAmber

サトウカエデは、北アメリカ原産の落葉高木です。カナダを代表する木で、カナダ国旗にはサトウカエデの葉がデザインされています。またカナダ王室造幣局が発行しているメープル金貨のデザインもサトウカエデです。樹液はメープルシロップとして有名で、堅くて丈夫な樹木はメープル材として、家具などにも利用される人気の材木です。紅葉も美しく、日本では街路樹として広く植栽されています。

イタヤカエデ(板屋楓)

出典:写真AC

イタヤカエデは、北海道や東北の山地を中心に全国で自生しています。秋に黄色く紅葉するカエデの代表で、葉の長さは7〜15cmほどあります。5〜7裂している葉は、円形で縁にギザギザがありません。大きな葉がよく茂り、板葺きの屋根のように見えることから、イタヤカエデと名付けられました。カエデ木材のほとんどはイタヤカエデで、建材、フローリング、こけし、楽器、家具などの材料に使われています。

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トウカエデ(唐楓)

出典:写真AC

トウカエデは、北海道~九州まで幅広く分布する落葉高木です。葉は浅い3裂で、裏面に白い粉があります。トウカエデは「唐楓」と書くことからもわかるように、中国が原産です。耐寒性が高く、日本では庭木や街路樹としてよく用いられています。東京の浜離宮恩賜庭園に植栽されているトウカエデは、中国から伝わった第1号のトウカエデとされています。

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トウカエデ(唐楓)は街路樹や公園樹として、私たちがよく目にしている背の高い樹木です。3つに割れた葉はかわいらしく、紅葉もとても美しいです。「楓」の字の付く名前も人気です。そんなトウカエデの特徴や名前の由来と歴史、利用の仕方をご説明します。

もみじとカエデの違いを知って紅葉を堪能しよう!

Photo by けんたま/KENTAMA

もみじとカエデは植物学上同じ分類です。それを葉の形で分けたり、色づく様子で分けたりする日本人は風情がありますね。紅葉の季節は、紅葉スポットの見事さに目を奪われがちです。しかし、足元にひらひらと舞い落ちてきた一枚の葉にも心を向けてみましょう。「これはイロハモミジだな」などと判別できたら、紅葉シーズンが一層楽しくなりますね。

ぽんた 
ライター

ぽんた 

植物からたくさんのパワーをもらっています。 特に、日陰でひっそりと咲く花々に心奪われます。 みなさまにも、さまざまな植物の魅力をお伝えします。

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