ムギワラギク(麦藁菊)とは?
ムギワラギクは、オーストラリア原産のキク科の植物です。オーストラリア全土からタスマニアの広範囲に分布し、乾燥した日当たりのよい場所に自生が見られます。ムギワラギクの歴史は古く、イギリスに導入されたこの花は、1800年代にはヨーロッパ全土に普及しました。明治初期には日本にも導入され、春~夏にかけて人気の一年草として栽培されています。
ムギワラギクの基本情報
和名 | 麦藁菊(ムギワラギク) |
学名 | Helichrysum bracteatum(ヘリクサム) |
別名 | 帝王貝細工(テイオウカイザイク) |
分類 | キク科ムギワラギク属の草花 |
花言葉 | 「永遠の思い出」「ずっと続く喜び」「不滅の愛」 |
草丈 | 40~120cm |
ムギワラギクの特徴
ムギワラギクの特徴のひとつに、カサカサと乾いた感触の花びらがあげられます。花びらのように見える部分は、実は「総苞(そうほう)」と呼ばれる部分で、花序を包んでいた葉が変化したものです。「ケイ酸」を含んでいるため、金属のような光沢と硬さを持っています。
花の特徴を生かした活用法
ムギワラギクの花色は、白、黄、オレンジ、橙、ピンク、赤紫、赤など豊富です。いっせいに花を咲かせるため見ごたえがあり、摘んだ後も美しい光沢が長持ちするため、切り花や花束、仏花としても利用されます。もともと花に水分が少ないため乾燥させるのに時間がかからず、ドライフラワーに最適です。また、ムギワラギクの花をより長く観賞できるハーバリウムは贈り物にしても喜ばれるでしょう。
開花時期
ムギワラギクの開花時期は、5月~9月です。花期は種まきの時期によって異なり、秋まきの場合は5月~6月、春まきの場合は7月~9月に迎えます。
名前の由来
ムギワラギク(麦藁菊)という名前にピンとこない方でも、「ヘリクサム」という学名は聞いたことがあるかもしれませんね。ヘリクサムとは、語源となるラテン語で「太陽の黄金」を意味します。ムギワラギクの花特有の金属質の光沢があることに由来しています。また「帝王貝細工」という別名もあり、こちらは硬い花びらを貝細工にたとえたものです。
ムギワラギクの育て方
ムギワラギクは、耐暑性や乾燥には強いのですが、耐寒性に弱い性質があります。日本では一年草の扱いなので、植え替えや特別な夏越しの必要はありません。ただし、ムギワラギクは品種によって草姿がさまざまなので、目的にあった草丈のものを選んで育てましょう。
育て方①栽培環境
ムギワラギクの好む環境は、原産国に似た「日当たり・風通し・水はけ」のよい場所です。もともと風通しのある乾燥した土壌に自生していた花なので、多肥多湿を嫌います。また、花つきが悪くなるので肥料は少なめで育てるよう注意しましょう。
育て方②用土
ムギワラギクは中性に近い土壌を好みます。植え付け前には、庭の日当たりのよい場所に植え穴を掘り、苦土石灰で中和しておくことをおすすめします。また、植え付け時には、腐葉土と堆肥をすき込んで水はけを改良しておくのもポイントです。鉢植えは、赤玉土と腐葉土を2:1の割合で混ぜた用土、または市販の草花培養土を用いてください。
育て方③種まき
ムギワラギクは寒さに弱い性質があるので、春か秋の種まきがおすすめです。発芽適温は20℃で、種は微細ですが発芽率は良好です。培養土を入れた育苗箱にバラまきして、軽く覆土してください。発芽するまでは保湿しながら育て、発芽後は日向に置いて管理します。種が腐る原因になるので過湿に注意してください。本葉が4枚位になったら鉢上げして育てましょう。
育て方④植え付け
種まきから育てたときは、本葉が5~6枚になって株が充実したら、定植してください。春先に多く出回るムギワラギクのポット苗を購入して植え付けると時短になります。植え付けの際に、窒素分が少なめの緩効性化成肥料を元肥として施しておけば、追肥は必要ありません。
地植えのポイント
風通しをよくするために、株間を大きく取って植え付けましょう。水やりは、定植後は降雨にまかせてかまいません。ただし、ムギワラギクは茎が弱いので、成長して草丈が伸びてきたら支柱を立ててください。
鉢植えのポイント
植木鉢やプランターでムギワラギクを育てる場合は、底に鉢底石を敷き水はけに注意してください。風通し対策として株間をあけて植え付けるのも大切なポイントです。ムギワラギクの苗は、プランターなら3~4株、植木鉢なら5号鉢に1株を目安に植えるようにしましょう。
育て方⑤水やり・肥料
水やりは庭植えは定植後は必要ありません。鉢植えは表面の土が乾いたらたっぷり与えてください。植え付け時に、適量の緩効性化成肥料を元肥として株もとに与えますが、市販の草花培養土を使用するときは必要ありません。
育て方⑥花がら摘み・摘心
ムギワラギクの花がらを小まめに摘むことは、見栄えをアップするだけでなく、風通しをよくしてカビの発生を予防します。また、ムギワラギクは摘心することによって枝を増やし、花数を増やせます。摘心を繰り返すことで2番花、3番花と次々と花があがってきて、長い期間花を楽しめますよ。
育て方⑦病害虫
ムギワラギクは、病害虫の発生はほとんど心配ありません。ただし、密植して風通しが悪くなると、立ち枯れ病になる恐れがあります。株間をとって植え付け、花がら摘みを小まめにしましょう。また、ムギワラギクの苗にナメクジがつくことがあります。発見したら捕殺するか、専用の誘引殺虫剤を夜間に使用してください。高温で乾燥が続くとハダニが発生することもあるので、夏の水やりの際には葉水をして予防しましょう。
育て方⑧増やし方
増やし方1:種まき
ムギワラギクの増やし方は、簡単で確実な「種まき」がおすすめです。寒冷地では「春まき」で対応してください。秋になって株を処分してしまう前に種を採取しておきましょう。ムギワラギクの種を収穫したい場合は、咲いた花をそのまま放っておくとよいですよ。春4月頃なら「直まき」もできます。
増やし方2:挿し木
ムギワラギクは、挿し木で増やすこともできます。時期は、真夏と真冬を除けばいつでも行えますが、梅雨時は避けたいので5月がおすすめです。茎を清潔なハサミで10cm位にカットし、上の葉2~3枚を残してあとは取り除いてください。赤玉小粒を入れた育苗ポットなどに、水切りした切り口を挿して、風通しのよい半日陰で管理します。発根して十分根が張ったら鉢上げして育てましょう。
ムギワラギクの種類
ムギワラギクの種類はとても豊富で、花色や形状もバラエティに富んでいます。草丈50cm以下の矮性種から100~120cmほどの小低木まで、大きさもさまざまです。シルバーリーフのような葉を持ったムギワラギクもあり、寄せ植えにおすすめです。
種類①矮性品種
鉢植えには、小ぶりな矮性種の方が管理がしやすいのでおすすめです。ムギワラギクには30cm以下のコンパクトな矮性品種がたくさんあります。発色も鮮やかで草丈30cm矮性「ブライトビキニ」は、発芽率もよく育てやすい品種です。草丈15cmほどの超矮性「チコミックス」はデージーの小花に似ています。
種類②高性品種
庭植えには、高性種のムギワラギクのほうが高低差を楽しめるでしょう。草丈80cmにもなるダイナミックな「モンストローサ」は、大輪の花を咲かせ、開花期を迎えると外側から徐々に花が開いていく「ポンポン咲き」が圧巻です。すらりと直立した花姿や硬い茎は、切花に最適でしょう。また、風通しのよい場所に逆さ吊るしに飾っておくだけで、自然にドライフラワーにもなるのでチャレンジしてみてくださいね。
種類③人気の園芸品種
ムギワラギクの園芸品種は、形状だけでなく花色も豊富に揃っています。赤や赤紫、ピンクなど色鮮やかな花色の「ブライトビキニ」、薄桃色が可憐な印象の「かんざし姫」、高い草丈に白い花をたくさんつける「ルビークラスター」、大輪の鮮やかな「モンストローサ」などが人気があります。
ムギワラギクを育てて「ずっと続く喜び」を体験しよう!
ムギワラギクの花言葉には、長く継続することを喜ぶようなポジティブな意味合いのものが少なくありません。この花の持つ神秘的な生命力や、摘んだ後も変わらない花色にちなんでいるのでしょう。また、ムギワラギクは摘心をすることで、2番花、3番花と次々に美しい花を咲かせ続けてくれます。お好みのムギワラギクを育てて「ずっと続く喜び」を味わってみてくださいね。
出典:写真AC