栽培中のマリーゴールドが枯れた
マリーゴールドはメキシコや中南米原産の植物です。大切に育てていたマリーゴールドが急に枯れて、なぜだろうと悲しい思いをした人もいるでしょう。ほかにまだ咲いていない蕾がついている場合、このまま放置したらその花も枯れてしまうと不安になるかもしれません。なぜ枯れたのか原因を知っておくと、ほかの花が枯れるのを予防する方法がわかります。
マリーゴールドはなぜ枯れるのか
マリーゴールドの枯れ方には、原因によって特徴があります。マリーゴールドが根本から折れる、花に網のようなものがかかる、葉に模様ができて枯れるなどようすが違います。枯れたマリーゴールドの状態を観察して、病気なのか害虫なのかそのほかが原因なのかを調べてください。早期に発見して予防方法を知って、枯れるマリーゴールドをなくしましょう。
枯れる原因①病気
うどんこ病
うどんこ病とは、葉っぱにカビである胞子がつき白くなる病気です。昼夜の寒暖差が大きいときや、空梅雨で乾燥気味の時期、肥料に窒素が多くカリが少ない場合に発生しやすいです。うどんこ病は菌糸を葉っぱの中に差し込んで、養分を吸い取り白い胞子を葉っぱ全体に増殖させます。放置すると増殖した胞子で光合成ができず、大量に養分を取られ葉っぱが委縮し枯れてしまいます。
ボタニ子
ボタ爺
気温が20℃前後の春や秋に、発生することが多いの。日陰や葉が込み合って、空気が淀んでいるのが好きなんだ。
立枯病
立枯病は土壌にいる菌が原因の病気です。フザリウム菌というカビの一種で、菌糸を植物の根本に感染させます。根本に感染すると水分や養分が植物上部に行きわたらなくなり、しおれてきます。さらに根本と土壌が接触している部分が腐り、最終的には枯れて倒れてしまう病気です。土壌の水はけが悪く水分過多になる梅雨時期や、以前立枯病にかかった植物の残骸が地中にある際に感染します。
ボタニ子
立枯病は一種類じゃなくて、植物によって菌が違う場合があるわ。キク科はフザリウムという菌が原因なの。
ボタ爺
成長した植物だけじゃなく、苗の時期にかかる苗立枯病という病気もあるぞ。これはピシウムメガラカンタムという菌が原因だ。
灰色カビ病
灰色カビ病はボトリチス・̪シネレア菌が原因の病気で、別名をボトリチス病といいます。葉や花、蕾などに淡褐色の点があらわれ広がり、枯れた部分に灰色のカビが生えるのが症状です。灰色の胞子は増殖しやすく全体がカビに覆われると腐って、株自体も枯れてしまいます。湿度が高く気温が20℃前後の条件を好み、花がらを放置するとよく発生します。
ボタニ子
灰色カビ病はマリーゴールドだけじゃなく、ほとんどの植物に伝染する病気なの。葉っぱや芽、茎なんかにもうつるわ。
ボタ爺
梅雨時期に空気がこもった条件下では、胞子が広がりやすいぞ。健康な花にも、感染するんだ。
枯れる原因②害虫
アザミウマ
アザミウマは200種類以上いるといわれている、吸汁性の害虫です。大きさは1mm~2mm程度で、5月~11月にかけて繁殖します。マリーゴールドに寄生するのはハラオビアザミウマ属のトラフアザミウマで、花や蕾、新芽などを食害します。アザミウマに食害された蕾は、花を咲かせられなくなり新芽はきちんと葉っぱの形に開けません。大量発生により栄養分を取られて、やがて枯れます。
ボタニ子
アザミウマは吸汁性なんだけれど、口がストロー状になっていないの。
ボタ爺
口を植物に押し付けて傷をつけて、さらに針状のもので唾液を流し込むんだ。細胞をこわしてから栄養分を吸うぞ。
アブラムシ類
アブラムシは吸汁性の害虫で、ストロー状になった口で茎や苗、蕾や芽、葉っぱなどから養分を吸い取ります。アブラムシは1mm~4mm程度の大きさで、1匹いても植物はすぐには枯れません。しかし、繁殖力が強くあっという間にびっしりと花や蕾、茎や葉にたかって栄養を吸い取るため、大量発生により枯れることがあります。別の病気を媒介するのも枯れる原因です。
カタツムリ類
カタツムリやナメクジは、マリーゴールドが大好物です。夜行性で、新芽や花弁などを好んで食べます。湿度が高い状況を好み、雨の日や梅雨時期は日中でも食べにやってきます。カタツムリやナメクジが産卵して大量発生した場合、一晩で丸坊主にされて枯れる場合もあるでしょう。食欲旺盛で、落ちた葉も食べます。
ボタニ子
カタツムリやナメクジははったあとが光って見えるので、ほかの害虫と区別がつけやすいわね。
ハダニ
ハダニは吸汁性の害虫で、クモの仲間です。ハダニは葉っぱの裏にいることが多く約0.5mmととても小さいため、発見が遅れて栄養分を取られて花が枯れてしまいます。乾燥した環境が好きで、卵の孵化から約10日で成虫になるほど繁殖力が強いのが特徴です。大量発生すると、花の周辺にクモの巣のようなレース状のものを張り、ハダニの巣を作ります。
ボタニ子
ハダニは乾燥した気候が好きなのよ。だから梅雨があけて、夏になるころに大量発生するわ。
ネキリムシ
ネキリムシとは、ヤガ科の幼虫の総称です。幼虫が小さいうちはあまり葉を食べないため、発見が遅れがちです。夜行性で昼間は土の中に潜んでおり、夜になると地下茎や茎の根本部分を食害します。朝にマリーゴールドが倒れていたり、植えてあるのに葉や花弁に元気がなかったりしたら、ネキリムシに根本をかじられている可能性があります。
ボタニ子
ネキリムシはかじりとった茎を地中に引きずり込むこともあるの。元気がなかったら、実は根本が切られているかも。
ボタ爺
ネキリムシに根本をかみ切られる被害は、地植えのほうが多いかの。鉢植えでも卵を産まれると問題だが。
ヨトウムシ
ヨトウムシとは、ヨトウガの幼虫です。孵化したてのころは集団で、葉っぱの裏の表面をこそげ食べます。成長とともに単独行動の夜行性となり、昼間は葉っぱの裏の暗い部分や土の中で過ごし夜になると這い出てきて葉や花を食害します。茎や葉脈を残して食べつくし、柔らかい蕾や花も大好物です。大食漢で、大量発生により一晩で食べつくされ枯れる場合もあります。
ボタニ子
ネキリムシもそうだけれど、地植えの場合も鉢植えもマリーゴールドの根本近くの土の中にいるわ。1cm~5cmくらいの深さね。
ボタ爺
マリーゴールドを枯らせるヨトウムシの幼虫は、夏のはじめから秋にかけて食欲を増すぞ。
枯れる原因③水切れ
花や蕾、葉がおじぎをして下を向き始めたら、水切れのサインです。放置すると枯れてしまいます。マリーゴールドは乾燥には強めの植物で、地植えは夏に日照りが続かなければ水切れの心配はありません。鉢植えやプランターの場合は、成長とともに根が張り水分をよく吸い上げるため水切れを起こしやすくなります。夏はとくに水切れに注意しましょう。
ボタニ子
水切れを怖がって水やりしすぎると、根腐れの原因になるわ。水を花にかけると、腐って枯れる原因になるから気をつけてね。
ボタ爺
完全に枯れてしまうほどの水切れじゃなければ、復活するかもしれないぞ。
枯れる原因④環境の変化
マリーゴールドは、初心者でも安心して育てられる丈夫な植物です。しかし、大きな環境の変化があると、ストレスで枯れることがあります。とくにポットからプランターや地植えに植え替えの場合、新しい環境になれるまで時間が必要です。根をいじりすぎたり、植え替え直後に直射日光にさらしたりするのは花が枯れる原因になります。
胞子は軽いから風に舞って、ほかの葉っぱや苗に移動するわ。胞子が増える速度も速いのよ。