イヌマキ(犬槇)とはどんな植物?特徴・利用方法や育て方をご紹介!

イヌマキ(犬槇)とはどんな植物?特徴・利用方法や育て方をご紹介!

イヌマキは昔から垣根などに使われ、日本人と深く関わってきた樹木です。イヌマキはどのような特徴を持つ植物なのでしょうか。水やりや肥料、病気や害虫、剪定などの育て方について説明します。イヌマキの名前の由来や利用方法についても見ていきましょう。

記事の目次

  1. 1.イヌマキ(犬槇)とは
  2. 2.イヌマキの特徴
  3. 3.イヌマキの育て方
  4. 4.イヌマキの増やし方
  5. 5.イヌマキの利用方法
  6. 6.まとめ

イヌマキの育て方

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イヌマキは丈夫で育て方も簡単なため、初心者向けの樹木です。植え付け、水やりや肥料、病気や害虫など、イヌマキの育て方をご紹介しましょう。

育て方①生育環境

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イヌマキは基本的に温暖な気候を好むため、東北地方から北の寒冷地域では庭植えは難しいです。関東以西なら大気汚染や潮風にも強く丈夫で育てやすく、土質もあまり選びません。最適なのは水はけがよく肥沃な土で、腐葉土や堆肥を混ぜてあげましょう。日向が好きですが日陰にもよく耐えます。しかし暗すぎると下枝が枯れるため注意が必要です。

育て方②植え付け

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植え付け適期は3月中旬~6月と9月の2回です。根を切って移植する場合は5~6月が最も適しています。庭植えでは土に堆肥を混ぜ、苗より一回り大きい穴をあけて植え付けましょう。深植えを避け、やや盛り土をするように植え付けると、根に空気が届きやすくなって元気に育ちます。垣根(生垣)にする場合は1mに2.5~3本、間隔は40cm程度が適当です。根付くまでに2年ほどかかります。

鉢植えの場合

鉢で育てる場合は、苗より一回りか二回り大きな鉢に緩効性肥料を入れて植え付けます。根詰まりしやすいため、1年に1回程度の植え替えが必要です。植え替えは植え付けと同じ時期に同様の方法で行います。鉢植えで育てると寒い時期に軒下や室内に移動できるのが便利です。

育て方③水やり・肥料

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植えて2年未満の庭植えや鉢植えでは、土の表面が乾いたら鉢底から水が出るまで水やりします。庭植えの場合は、完全に根付いてしまえば基本的に降雨だけで足ります。雨が降らず乾燥が厳しいときには水やりをしましょう。イヌマキは極端に乾燥すると葉が落ちやすいです。冬は休眠状態になるため、水やりは控えめにします。

肥料は1年に1回

肥料は1年に1回程度必要です。庭植えの場合は2月に寒肥として有機質肥料を、鉢植えの場合は3月に緩効性化成肥料を株元に与えます。窒素過多で貧弱にならないように注意しましょう。

育て方④病気・害虫

イヌマキは基本的に病気や害虫に強い樹木ですが、近年九州南部でキオビエダシャク(画像:黄帯枝尺)の幼虫による被害が問題化しています。キオビエダシャクはもともとインド・マレー半島や奄美大島以南に生息していました。しかし地球温暖化により生育域が拡大しつつあり、いつ身近に現れないとも限りません。

集団で葉を食害

キオビエダシャクの幼虫は体長5cm程度になるシャクトリムシで、年に数回発生し、集団でイヌマキの葉を食害します。木をゆすると糸を吐いて木からぶら下がる性質があるのも特徴です。幼虫はイヌマキの葉を食べることで、イヌマキラクトンやナギラクトンなどの物質を体内に蓄積します。鳥や昆虫はこの物質を嫌うため身を守れるのです。

その他の害虫

ほかの害虫としては、アブラムシ、カイガラムシ、チャハマキ、ドウガネブイブイがいます。アブラムシやカイガラムシは排泄物がすす病の原因にもなるため、早めの対処が必要です。チャハマキはガの仲間で、幼虫のときに葉を糸で束ねて巣を作り、葉を食べます。ドウガネブイブイはコガネムシの仲間で、成虫が夜に葉を食害するので注意が必要です。

イヌマキの病気

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病気ではペスタロチア病で葉が灰褐色になって枯れることがあります。原因はペスタロチア菌というカビです。カビは風雨に乗って飛来し、葉の傷や剪定後の切り口から入り込みます。発症した枝は早めに切り取って処分し、殺菌剤を散布するのが大切です。菌は古い葉や落ち葉の中で越冬するため、枯れ葉をこまめに取り除き、株元にためないことで予防できます。剪定で日当たりや風通しをよくすることも効果的です。

育て方⑤剪定

イヌマキは剪定や刈り込みに強く、垣根や玉散らし仕立ての庭木(画像)としても素敵です。最大20mにも成長する木のため、大きくなった場合には業者に委託する必要があるかもしれません。イヌマキは1年に1~2回ほど剪定します。剪定の適期は3~12月とされますが、暑い時期と寒冷期は避けたほうがよいため、最適なのは5月と9~10月です。

剪定で病害虫も予防

垣根(生垣)にする場合は主幹を切って高さを決めます。主幹を切ると枝は横に広がろうとするため、木と木の間が詰まって目隠しに最適です。剪定で混み入ったところを間引いて日当たりや風通しを確保すると、病害虫の予防にもなります。また、刈り込みをして樹形を維持しましょう。古い葉や変色葉を除くことも大切です。雌木の場合、剪定で花芽や実を落としてしまうと実がなりません。

イヌマキの増やし方

挿し木で増やす

イヌマキは挿し木か種まきで増やします。挿し木は3~4月か9月中旬~10月が適期です。3~4月に挿し木をする場合は前年成長した枝を、9月中旬~10月に挿し木をする場合はその年に成長した枝を挿し穂にします。枝先から10cm程度で切り、水上げして小粒の赤玉土や鹿沼土に挿しましょう。直射日光を避け、明るい日陰で乾燥しないように管理します。十分に発根したら植え付け可能です。

種まきで増やす

種まきの場合は、10月頃に花托が黒っぽく熟したら種子を採取します。採取後すぐにまくことも可能です。種子を保存して翌春3月にまく場合は、乾燥しないようにビニール袋に入れて空気を抜き、冷蔵保存します。種まき用培養土か赤玉土小粒にまいて、水切れしないように管理しましょう。10~15cmに育ち、根が張ったら植え付けます。

ボタ爺

ボタ爺

イヌマキは昔から垣根や建材として利用され、人間と深く関わってきたのじゃ。次項ではイヌマキの利用方法をご紹介することにしよう。

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イヌマキの利用方法

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