ユリの歴史と人気の品種一覧!それぞれの特徴や見分け方までご紹介!

ユリの歴史と人気の品種一覧!それぞれの特徴や見分け方までご紹介!

たった一輪でも圧倒的な存在感を放つユリ。その種類は100種近くともいわれています。純白のカブランカ、橙赤の鮮やかなスカシユリ、淡いピンクのオリエンタルリリー。今回はそんなユリの歴史から品種の性質と特徴、そしてその種類の見分け方までをご説明します。

記事の目次

  1. 1.ユリの歴史
  2. 2.ユリの特徴
  3. 3.ユリの種類と分類
  4. 4.原種の種類と見分け方
  5. 5.園芸種の種類と見分け方
  6. 6.下位分類の種類と見分け方
  7. 7.オリエンタルリリーの名花・カサブランカ
  8. 8.ユリの人気の品種の活用法
  9. 9.ユリに関する疑問・Q&A
  10. 10.ユリの名所
  11. 11.まとめ

ユリの歴史

日本のユリの歴史

日本においてユリと人との関わりは古く、縄文遺跡からユリの球根が出土して文献に記載されているほどです。以後、古事記、万葉集の中にもユリの姿は語られ、祭りや祈りの儀式に捧げられてきました。こういったことから、ユリは人々にとって想いや願いを託した存在だったと考えられるのではないでしょうか。ユリの語源は花が揺られる「揺り」からとも、球根の小さい鱗片(りんぺん)の重なり合う「寄り」からともいわれています。

海外のユリの歴史

海外においてのユリは、旧約聖書のマタイ伝に記された白ユリのほか、古代ギリシャやエジプトのフレスコ画に描かれたり、中国では野生のオニユリの球根が何千年も前から食用や薬膳とされてきました。

キリスト教圏ではマドンナリリー(和名ニワシロユリ)である白ユリを神聖な植物として扱っています。これらのことから、ユリは人々の生活に身近な存在であると同時に、かけがえのない神聖な花でもあったといえるでしょう。

オリエンタルリリー・東洋へのあこがれ

1862年に英国の園芸商が日本からヤマユリの球根を持ち帰った結果、ヤマユリはヨーロッパの園芸界に多大な衝撃を与えました。清楚なマドンナリリーとは異なり、豪華な大輪で強い芳香のあるヤマユリはそのままオリエンタルリリーへの憧憬となったことでしょう。その情熱は名花・カサブランカの誕生へとつながっていきました。

ユリの特徴

フリー写真素材ぱくたそ

花の形状、色、芳香の有無、原生地と、どれをとってもこれだけ特徴の異なる花もめずらしいことでしょう。

多彩な種類

ユリは切り花としてはもちろんガーデニングの主役としても人々の生活を潤してきました。その種類はおよそ100種といわれ、そのうちの15種が日本に自生しています。

花のつくり

ユリの花は6枚の花被と6本の雄しべと1本の雌しべから成り立ちます。花の形状は、ラッパ状、漏斗状、盃状、球状の4種類あり、これがそのまま原種を分ける属性となっています。栽培においては、雄しべの葯(やく)をそのままにしておくと受粉して種ができてしまうので、花がらを早急に摘み取ることが必要です。というのも種ができれば株全体が消耗して球根の肥大が悪くなり、翌年の花が小さいものとなってしまうからです。

花の大きさと色

(※写真)アジアティック・ハイブリッド【ロリポップ】

花径は、最も大きいといわれるヤマユリで20~26cm。小さいものではマルタゴンリリーの5cmほどと花の大きさには幅があります。色は白、ピンク、赤、橙、黄色といったところで、赤でも緋赤とよばれる鮮やかなものから朱橙とよばれるオレンジ色に近いものや、アジアティック・ハイブリッド種であるロリポップのように白い花被の先端だけがピンク色といったものまでさまざまです。

球根のようす

ユリは球根類ではチューリップなどと同じ鱗茎ですが、球根に外皮がなく、小さい鱗片がたくさん集まって球状になっています。この鱗片をはがして土に挿すことで切り口に小球を作り、新しい株が成長していきます。

根のようす

ユリの球根には上根と下根があり、それぞれ違う役割を担っています。上根は球根の上の茎にあり、主に水分と栄養分を吸収します。下根はユリの株そのものを土中に固定し、安定させる役割を持っています。冬に茎が枯れると同時に上根は枯死しますが、下根は球根と一緒に数年間育ちます。上根の付け根には小さい木子(きご)と呼ばれる小鱗茎ができることもあります。

ユリのふやし方

ユリのふやし方には種と球根のほかに、葉の付け根にできる小さい珠芽(むかご)や木子を、球根と同様に使う方法もあります。種でふえる一例としては、野生化しているタカサゴユリを見たことはありませんか?タカサゴユリの薄く小さい種子は、風に乗って周囲に広がり1年で開花します。放置するとあっという間にあたりに増えるので管理が必要です。

ユリの種類と分類

ユリ科ユリ属に属するユリには様々な品種があり、色や咲き方の特徴や形状も異なります。ユリの分類は野生種である原種、原種を交雑させた園芸種、園芸種をさらに交雑させた下位分類となるものに分けられます。後ほど、詳しく説明しますが、下位分類といっても花として劣っているわけではありません。

ユリは大きく3つの分類に分けられる

  • ①原種:ユリの野生種
  • ②園芸種:ユリの原種を交雑させたもの
  • ③下位分類:ユリの園芸種をさらに交雑させたもの

原種の種類と見分け方

原種とは人の手が加えられることなく現存する野生の品種のことです。原種には4種類の属性があります。ユリの原種はおよそ100種ともいわれています。

亜族 特徴 品種例
テッポウユリ亜族 花形がラッパ状。花は横向きに咲く。花弁の基が筒状。 テッポウユリ
ヤマユリ亜族 花形が漏斗状。花は横向きに咲く。花弁の基が裂開。大輪。 ヤマユリ
スカシユリ亜族 花形が盃状。花は上向きに咲く エゾスカシユリ
カノコユリ亜族 開花時に花被が巻く球状。花は下向きに咲き多花性。 カノコユリ

テッポウユリ【テッポウユリ亜族】

テッポウユリは、奄美・沖縄地方に自生しています。純白の花は、野生種であることとネーミングに反してあまりにも清楚な雰囲気ですが、テッポウユリの名前の由来は古式ラッパ銃の形からきています。

テッポウユリ亜族の特徴と見分け方

  • その名の通りラッパ状の花が横向きに咲くこと

ヤマユリ【ヤマユリ亜族】

ヤマユリは東北地方から関西地方まで広く自生する日本を代表する野生種ですが、ウィルス病に弱いという特徴もあります。この亜族は日本にだけ自生しているヤマユリとサクユリのみになります。

ヤマユリ亜族の特徴と見分け方

  • 花が漏斗状で横向きに咲くこと
  • 大輪の花を咲かせること

エゾスカシユリ【スカシユリ亜族】

エゾスカシユリは日本では千島から北海道に自生している野生種です。芳香はなく食用に向き、花色は橙赤色から黄橙色までがあります。生育条件としては日当たりのよい場所を好みます。

スカシユリ亜族の特徴と見分け方

  • 花形が盃状で上を向いて咲くこと

カノコユリ【カノコユリ亜族】

カノコユリは九州、四国、台湾、中国の江南省に自生しています。名前の由来は花被の内部に鹿の子模様があるところからきています。色は赤味がかったピンク色に赤の鹿の子模様になります。

カノコユリ亜族の特徴と見分け方

  • 多花性であること
  • 開花時に花被が外側に巻くため、雄しべ、雌しべが花被の外に飛び出す形になること

園芸種の種類と見分け方

園芸種は1964年に英国王立園芸協会で提唱されて9つの品種に分類されています。

  • 1群  アジアティック・ハイブリッド
  • 2群  マルタゴン・ハイブリッド
  • 3群  キャンディダム・ハイブリッド(マドンナリリー・ハイブリッド)
  • 4群  アメリカン・ハイブリッド
  • 5群  ロンギフローラム・ハイブリッド
  • 6群  トランペット・ハイブリッド(オーレリアン・トランペット・ハイブリッド)
  • 7群  オリエンタル・ハイブリッド
  • 8群  そのほかの交配品種(下位分類)
  • 9群  上記以外の野生種・変種など

今回は、それらの中でも市場でよく見かける主なものとして、5つの代表的な品種をご紹介します。

種類 特徴 品種例
アジアティック・ハイブリッド 香りが無い。赤・黄・橙など花色が豊富。 コネチカットキング
オリエンタル・ハイブリッド オリエンタルリリー。大輪。強い芳香あり。 カサブランカ
トランペット・ハイブリッド 筒状や花弁が反った星形の花。 ゴールデンスプレンダー
ロンギフローラム・ハイブリッド 横向きの花。芳香あり。 スノークィーン
マルタゴン・ハイブリッド 小さい花が下向きに咲く。茎が太い。球根に上根がない。 マルタゴンリリー

コネチカットキング【アジアティック・ハイブリッド】

アジアティック・ハイブリッドは、エゾスカシユリなどの日本の自生種とアジア極東に自生するユリをもとに作られた交配種です。丈夫で育てやすく、赤・黄・橙の色素であるカロチノイドに着目して交配されました。花はスカシユリ亜族の系統から上向きに咲きます。

コネチカットキングは鮮やかな黄色でインパクトのある強健種です。園芸種の利点は野生種の病気などにかかりやすい弱点を克服したところといえるでしょう。

アジアティック・ハイブリッドの見分け方

  • 花色が豊富で花びらが厚く、無香なこと

カサブランカ【オリエンタル・ハイブリッド】

オリエンタル・ハイブリッドは、オリエンタルリリーとも呼ばれ、日本に自生する原種のユリを中心として交雑された園芸品種です。病気にやや弱く、反日蔭での栽培が望ましいです。花色は白からピンク系のものが多く、強い芳香を持ち、大輪の花を咲かせます。

純白で大輪のオリエンタルリリー・カサブランカはあまりにも有名ですね。カサブランカは今やユリの代名詞ともいわれるほどの人気ぶりです。

オリエンタル・ハイブリッドの見分け方

  • 強い芳香と大輪の花
  • 花形は漏斗状や、雌しべ、雄しべとも花から飛び出したような球状になること

ゴールデンスプレンダー【トランペット・ハイブリッド】

トランペット・ハイブリッドはオーレリアン・ハイブリッドとも呼ばれ、中国原産のユリを中心に交配されました。その名のとおり、花形はトランペットのような形をしています。丈夫で栽培しやすい品種です。

トランペット・ハイブリッドの見分け方

  • 筒状の花形
  • もしくは花弁が反った星形の花を咲かせること

スノークィーン【ロンギフローラム・ハイブリッド】

ロンギフローラム・ハイブリッドは、日本のテッポウユリと中国のタカサゴユリなどの交雑種で、新テッポウユリとも呼ばれます。

ロンギフローラム・ハイブリッドの見分け方

  • 芳香があり、細長い筒状の花を咲かせること

マルタゴンリリー【マルタゴン・ハイブリッド】

マルタゴン・ハイブリッドは下向きに咲く、日本ではほとんど見ない品種です。花被は厚く、葉は輪生(茎の1つの節から3枚以上の葉が輪を描くように生えてくること)します。色の種類も白やライトイエローといった淡いものから、ピンク、赤紫や濃赤といった具合に多彩です。

マルタゴンリリーはタケシマユリをもとに交配されたユリで、和名はクルマユリ・ピンク。6月ごろに、1本の太い茎に花径5cmほどの小さい花をたくさん咲かせます。

マルタゴン・ハイブリッドの見分け方

  • 花被の厚い下向きの小さい花であること
  • 上根がないという珍しい特徴があること

下位分類の種類と見分け方

下位分類といっても花として劣っているわけではありません。むしろ品種改良を重ねた結果、丈夫で育てやすい品種となっているものがほとんどです。野生種のウィルス病に弱かったり育てにくかったりといった点を改善されています。下位分類の説明をするための園芸種の表記として、アジアティック・ハイブリッドを(A)と表記、オリエンタル・ハイブリッドを(O)と表記、トランペット・ハイブリッドを(T)と表記、ロンギフローラム・ハイブリッドを(L)と表記します。

下位分類の種類

下位分類とは園芸種をさらにかけ合わせた交雑種のことで、その種類にはLOハイブリッド、LAハイブリッド、OTハイブリッドがあります。これらの下位分類は、英国王立園芸協会で9つに分類された品種のうちの第8群(そのほかの交配品種)に相当します。

下位分類名 組み合わせ 特徴
LOハイブリッド ロンギフローラム・ハイブリッドとオリエンタル・ハイブリッドの交雑種 花色は少ないが大輪の花
LAハイブリッド ロンギフローラム・ハイブリッドとアジアティック・ハイブリッドの交雑種 多彩な花色と大輪の花
OTハイブリッド オリエンタル・ハイブリッドとトランペット・ハイブリッドの交雑種 病気に強く、花茎が強い
OAハイブリッド 交配が難しい

オリエンタルリリーの名花・カサブランカ

オリエンタル・ハイブリッドがオランダから初めて日本に輸入されてきたのは1989年のことでした。その時に話題になったのが今ではすっかりおなじみとなったオリエンタルリリー・カサブランカです。当時は都内の花屋で1本1万円の値がついたそうですから驚きですね。ユリの白花種の中でも最も大輪で花弁も厚く、丈夫で育てやすいという、まさに切り花としてもNo1の存在でしょう。

このカサブランカを筆頭とするオリエンタルリリーは、もとは日本原種のユリを交配してつくられたものでした。それが再び日本に逆輸入で里帰りした形になるとはなんとも不思議なことですね。

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