クロガネモチの育て方⑤剪定
クロガネモチの剪定には適期はありません。冬以外はいつ剪定を行っても、花芽を落とすことになるからです。そのため実がついている時期に剪定を行っても大丈夫です。芽吹く力が強いので刈りこんでも平気ですが、あまりやりすぎると景観が寂しくなったり、成長に影響します。高さを調節したい場合は、主軸の高さを決めてから全体を整えるようにしましょう。
時期によるコツ
いつ剪定してもいいクロガネモチには、時期ごとに剪定のコツがあります。7月頃の剪定は新しい葉が充実してくる時期なので、徒長枝や樹形を乱す枝を元から切り戻しましょう。花が咲いた後に剪定するときは花の位置を確認し、新梢(しんしょう)を残して形を整えるようにします。間引く意味もかねて新梢を多少切り落としても構いませんが、全部切り落としてしまわないようにしましょう。
クロガネモチの育て方⑥植え替え
クロガネモチを地植えした場合は、植え替えは必要ありません。鉢植えにした場合は、根が詰まって来たようであれば植え替えをしましょう。水やりの際に水がしみこみにくくなっていると、根が詰まっている証拠です。植え替えの適期は4月~5月です。ある程度大きくなってきたら地植えへの変更も考えましょう。
クロガネモチの育て方⑦病害虫
クロガネモチに発生する病害虫はそれほど多くはありません。病気としては斑点病、害虫はツノロウムシという虫の成虫と幼虫がつくことがあります。他にハマキムシという害虫が新しい葉につくことがあります。ここでは斑点病とツノロウムシの成虫が原因となるすす病、そして、ツノロウムシの成虫と幼虫への対策をご紹介します。
病気
クロガネモチには、春先から初夏に「斑点病」という病気が発生することがあります。この病気が発生したら落ち葉も焼却しましょう。また、その期間に月に2回ほど薬剤を散布するとあらかじめ予防することができます。また、ツノロウムシという害虫の排せつ物がたまると、まれにカビが発生し、すす病を引き起す原因になります。すす病になると見た目も悪くなり、日光もさえぎられてしまうので注意しましょう。
ツノロウムシの成虫
クロガネモチに発生する害虫にツノロウムシがいます。ツノロウムシはカイガラムシの仲間で、成虫は白く厚いロウ質に包まれているのが特徴です。この虫は樹液を吸うので、大量に発生すると樹が弱ってしまいます。ツノロウムシの成虫はロウ質のせいで薬剤が利きづらいですが、足が退化して動けないため、見つけたら竹べらなど柔らかく樹皮を傷つけないもので取り除きましょう。
ツノロウムシの幼虫
6月ごろにクロガネモチにツノロウムシの幼虫が発生することがあります。幼虫は成虫と違い移動して広がりますが、幼虫の時はまだロウ質をもたないため、薬剤が効果的です。専用の薬剤を散布して駆除しましょう。
クロガネモチの増やし方
クロガネモチは種まきと挿し木で増やせます。また、雄株を台木にして雌株から穂木を取って接ぎ木する方法もあります。ここでは接ぎ木にする前の種まきと、挿し木の方法をご紹介しましょう。
種まきで増やす
クロガネモチを種で増やす場合は、11月~12月に熟した実から種を採取して行います。この種はすぐにはまきません。まず果肉を洗い流し、乾燥させないように水ゴケなどで覆った状態で、密閉して冷蔵保存します。翌年の3月~4月に種を洗いなおしてまきましょう。乾燥させないように管理して、3年~4年たつと接ぎ木の台木として使えるようになります。
挿し木で増やす
クロガネモチは挿し木でも増やせます。適期は6月です。その年伸びた枝を10cmほどの長さで切って、切り口を1時間ほど水につけて給水させます。そのあと発根促進剤を塗ってから、園芸店などで購入できる挿し木用の土に挿し木します。あとは乾燥しないように管理しましょう。
まとめ
クロガネモチは赤い実が特徴的な常緑樹です。緑と赤の色合いが美しく、縁起の良い名前から庭木やシンボルツリーとしても人気です。病害虫も少なく、日陰でも育つ丈夫さも魅力です。クロガネモチは庭木、鉢植え、盆栽と様々な楽しみ方があり、剪定の仕方で大きさも調整できます。ぜひ、あなたのお好みの方法で、赤い実と緑の葉を楽しんでください。
出典:写真AC