レモンバームの育て方
ここでは種の発芽や苗の状態からではなく、既存の株の一年を通して説明していきます。
春のようすと育て方
3月
地植えのレモンバームは、葉が寒さ焼けで変色していますが元気に育っています。冬の間に地際で枯れた部分を切っておくと、翌年の春にはこんもりと生い茂り、レモンバームのつやつやとした葉が日に日に増えていくのが分かるでしょう。この時期はとくに手をかける必要はありません。
夏のようすと育て方
6月
夏の季節、レモンバームは暑さに負けることもなく、ぐんぐん成長を続けます。この時期の育て方で気をつけたいのは水切れです。常に土の表面が乾かないように、しっかりと水を与えて下さい。真夏でしたら朝夕の二回、ようすを見ておくとよいでしょう。その際にはハダ二対策の葉水も与えておくといいですね。
レモンバームは暑さには強いのですが、あまり直射日光に当たると葉焼けを起こすことがあるので、栽培には日中の数時間、日陰になる場所を選ぶとよいでしょう。
秋のようすと育て方
11月
花の終わったレモンバームです。シソ科の植物だけあってシソの実を思わせる光景ですね。地植えの場合、かなりしっかりと地面に根が張っているのが分かります。すでに根元には新しい芽も出てきているはずです。本格的に寒くなる前に一度全体を切り戻しておきましょう。肥料を与えるのもこの時期です。
こぼれダネから早くも発芽している場合もあります。ふやし方としてはとても簡単でありがたいのですが、苗が必要ない場合は根付く前に対処しましよう。株が本格的に成長すると素手で抜くことは困難になります。
冬のようすと育て方
1月
木質化した茎を地際で切って、冬越しの準備に入ります。レモンバームの耐寒性は強く、地植えであっても多少の雪くらいなら問題ありません。
レモンバームの管理
ふやし方
ハーブではよく取り上げられますが、レモンバームのふやし方も、種、挿し木、株分けと三種類の方法があります。順に説明していきましょう。
種
地植えの場合、こぼれダネでよく増えるレモンバームですが、ここではキッチンハーブとして室内で育てる苗の作り方をご説明します。
土は市販の野菜用培養土を使うのが便利でしょう。通気性、排水性、保水性のあるものが望ましいです。時期的には、温度が20℃前後の頃が発芽しやすく、こうして育った新しい苗は、香りも強く大きな葉を茂らせます。もちろん室内に置きっぱなしではなく、定期的に外気に触れさせることも大切です。日光が足りないと徒長して弱い苗になってしまいます。
株分け
株が大きくなりすぎると成長の勢いが衰え、レモンバームは次第に弱ってきます。そんなようすが見受けられたら根から株分けをしましょう。ふやし方としては一番失敗がない方法です。株分けの方法としては、地上部よりも根を長く残してひと握りぐらいにほぐし分け、新しい土に植え替えます。
株分けは、ふやし方の一つでもあると同時に、これ以上大きくしたくない株を小さく仕立て直す意味もあります。時期的には春か秋がよいでしょう。
挿し木
レモンバームは挿し木の定着率もよく、初心者でもとくに問題なくできるでしょう。挿し木には土に挿す場合と水に挿して発根を待つ場合がありますが、レモンバームの場合は水に挿して発根してから清潔な土に植えつけるとよいでしょう。発根までの管理は室内の方が安全かもしれません。時期は初夏か秋で、余分な葉を落した勢いのある茎の部分を使います。
挿し木の利点は元株と同じ個体が作れるということです。入手の難しい種もありますし、交雑の可能性のある種では同じ性質のものが育つとは限らないですからね。
栽培のポイント
初心者向けということでレモンバームの説明をしてきましたが、ここで栽培方法のポイントをまとめておきます。
レモンバームの栽培ポイントまとめ
- 土を常に湿らせておくこと。水切れに気をつけること
- 虫がいないか観察し、夏の乾燥期にはハダニよけに葉水をあたえること
- 蒸れないように整枝して株の風通しをよくしておくこと
- 鉢植えやプランターの場合、台風の際には室内に移動させること
- こぼれダネの管理に注意すること
- 挿し木の時期は初夏と秋口が適していること
- 株分けには、ふやすだけではなく大株をコンパクトにする意味もあること
出典:写真AC