紅玉とは?
紅玉は真っ赤に色づくリンゴで、一般的なリンゴのイメージそのままの姿です。「紅玉」と書いて、「コウギョク」と読みます。原産地はアメリカで、アメリカでの品種名は「ジョナサン」。主な生産地は青森県が多く、長野県や山形県でも生産されています。
紅玉は明治時代から作られていた品種
紅玉が日本に入ってきたのが明治4年のことです。当初は地方によって「満紅」「千成」「紅玉」という呼び名を持っていましたが、明治33年に「紅玉」という品種名に統一されます。当時は「国光」と並んで人気のリンゴでした。しかし、戦後新品種の甘いリンゴが多く生産されるようになると、紅玉の生産量は次第に減っていったのです。
料理向きのリンゴとして人気が復活
一度は生産量が減ってしまった紅玉でしたが、強い酸味が料理に向いているということで根強い人気があり、近年では生産量も少しずつ増えてきています。強い酸味に加えて煮崩れしにくいこともあって、アップルパイなどお菓子作りには欠かせないリンゴとして人気が復活しました。もちろん生でもおいしく食べられます。
紅玉の特徴
紅玉の味
紅玉は、酸味の強さが特徴です。その甘酸っぱさがさっぱりとしていて「リンゴの中で紅玉が一番好き」という人もいます。また、皮が少し柔らかめで、生で食べやすいことも特徴です。ふじを中心とした甘いリンゴが主流の現代にあって、特別な味のリンゴといえるでしょう。
紅玉の大きさ
紅玉はやや小さめです。重さが180g~200gぐらいで、人気のふじと比べると二回りほど小さいです。小さいのは生育不良ではないため、購入しようとする紅玉が小さくても心配いりません。
日持ちする期間
紅玉はあまり日持ちしません。冷蔵庫か冷暗所で保存して、できるだけ早く食べるようにしましょう。リンゴは新聞紙に包んでからポリ袋に入れます。リンゴは成長ホルモンのエチレンを出して、周りの野菜を成長させてしまうからです。特に紅玉はエチレンをたくさん出すため、1個ずつ新聞紙で包んでからポリ袋に入れて保存しましょう。
旬の時期
紅玉は、長野県では9月下旬ごろから、青森県では10月上旬ごろから収穫が始まります。紅玉の旬は、10月~11月上旬ごろです。この時期以外でも紅玉が販売されている場合もありますが、おいしく食べられるのは旬の時期です。紅玉は根強い人気があるため、確実に旬の時期に購入したい場合は予約をおすすめします。
紅玉の栄養
紅玉には次のような栄養が含まれています。甘さよりも酸味が強い品種のため、ほかのりんごに比べて、特にペクチン(食物繊維)やリンゴ酸が豊富なのが特徴です。
- クエン酸やリンゴ酸などの有機酸
- ペクチン(食物繊維)
- ポリフェノール
- カリウム
紅玉に含まれている成分の効果・効能
成分 | 期待できる効果・効能 |
有機酸 (クエン酸やリンゴ酸など) |
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ペクチン |
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ポリフェノール |
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カリウム |
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紅玉に限らず、りんごには100種類以上のポリフェノールが含まれており、特に皮の部分の含有量は果肉の4倍に相当します。また、りんごにはカリウムが含まれているため、塩分を取りすぎたときにりんごを食べると高血圧の予防になるといわれています。
リンゴポリフェノール・特に皮の部分に多く、果肉の約4倍も含まれているので、皮ごと食べるのが 一番効果的です。
ボタニ子
次は紅玉のおすすめの食べ方とレシピをご紹介します。
紅玉のおすすめの食べ方
紅玉をおいしく味わうなら、酸味を生かしてスイーツに使う食べ方がおすすめです。紅玉由来の香りと酸味を楽しめるおすすめの食べ方とレシピを紹介いたします。
おすすめの食べ方①リンゴジャム
紅玉の真っ赤な皮も一緒に煮込んだら、赤いリンゴジャムが作れます。紅玉由来の酸味があるのでレモン汁を使わなくても問題ありません。ジャムは冷蔵庫に入れると1週間くらい日持ちします。
材料(小瓶2つ分・できあがり量約320g)
- 紅玉:3個(正味360g)
- 上白糖またはグラニュー糖:りんご重量の30%(上記の分量の場合108g)
- レモン汁:大さじ2
作り方
- リンゴの皮も使うのでよく洗う
- 皮をなるべく長くつなげるように切る
- 芯と種を除いて、実をイチョウ切りにする
- 鍋に皮と実を入れてグラニュー糖または砂糖をまぶして30分ほど置く
- レモン汁をかけたら中火で加熱する
- 沸騰してきたら弱火にして、アクを取りながら煮る
- 好みの色になったら皮を取り出す
- りんごが柔らかくなったら火を止める(好みに応じてつぶす)
- 煮沸消毒済みの瓶に暖かいうちに詰める
おすすめの食べ方②焼きリンゴ
紅玉をそのまま丸ごとオープンで焼きます。丸ごと紅玉由来の香りと酸味ある味を楽しめるおすすめの食べ方です。
材料(リンゴ1個分)
- リンゴ(紅玉):1個
- バター(無塩):5g
- はちみつ:大さじ2
- レーズン:5~10粒
- シナモンスティック:お好みで
作り方
- リンゴの芯をくり抜く(貫通しないように注意)
- くり抜いたところにはちみつ・レーズン・バター・シナモンスティックを入れる
- 180℃のオーブンで30~40分焼く
おすすめの食べ方③アップルパイ
ハードルが高く見えるアップルパイも、冷凍のパイシートを使用すると簡単に作れます。ここでは冷凍パイシートを使ったミニアップルパイのレシピを紹介します。
材料(4人分)
- 冷凍パイシート:2枚
- (お好みで)シナモンパウダー:少々
- つやだし用溶き卵:適量
- 紅玉リンゴ:2個
- バター:10g
- 砂糖:40g
- レモン果汁:小さじ1
作り方
- リンゴは皮をむいて、1cm角に切る
- 鍋にバターとリンゴを入れて炒める
- 全体にバターがまわったら砂糖とレモン果汁を入れて混ぜ、蓋をして10分煮る
- 10分経ったら蓋を開け、焦がさないように時々混ぜ、水分を飛ばしながら煮る
- 水分がなくなるまで煮たらボウルにあけて冷ましておく
- 冷凍庫から出して10分くらい置いて解凍させたパイシートを、それぞれ4つに切る
- 4枚はそのままで、残りの4枚はまわり1cmを残して横に数本切り込みを入れておく
- 切り込みが入っていないほうのパイシートに煮リンゴをのせ、ふちに水をつけて切り込みが入っているパイシートをのせる
- ふちをフォークで押さえて、しっかり閉じる
- ハケで溶き卵を塗り、クッキングシートを敷いた天板に並べる
- 180℃に予熱したオーブンで20~25分焼いて、完成
おすすめの食べ方④バラのアップルパイ
薄くスライスしたリンゴをバラの花びらに見立てた、かわいいバラのアップルパイです。紅玉を使うと、赤の縁取りのきれいなバラに仕上がりますよ。紅玉由来の酸味で、さわやかな味わいも魅力です。
材料(8個分)
- リンゴ:1/2個
- 冷凍パイシート:1枚
- グラニュー糖:15g(大さじ1)
- バター:10g
- シナモン:適量
作り方
- パイシートは解凍し、リンゴは薄くスライスする(厚いと足りなくなる)
- シリコンスチーマーか耐熱皿に、リンゴ・グラニュー糖・バター・シナモンを入れ蓋をして電子レンジの600Wで4分半加熱する
- よく混ぜてから粗熱を取り、汁を切る
- オーブンを200℃で予熱しておく
- パイシートを12×30cmくらいに伸ばす
- 12cm側を1.5cm幅に切って、8枚にする
- 1枚ずつに薄切りリンゴ6枚を並べる 端は1cm残して、リンゴは少し重ねあわせる
- しっかり芯を作り隙間が空かないようにまっすぐに巻く
- 巻き終わりはしっかりつまんでくっつける 花びらを外側に広げ形を整える
- 天板にクッキングシートを敷いて並べ、200℃のオーブンで15分焼く
おすすめの食べ方⑤リンゴトースト
とても簡単に作れるのに見た目はおしゃれなリンゴトースト。パンにバターを塗り、スライスしたリンゴを並べて、グラニュー糖をかけてオーブントースターで焼くだけです。シナモンパウダーをかけたり、チーズをのせたりして焼いてもおいしいですよ。
紅玉の選び方
選び方①色・ツヤ・重量感をチェックする
紅玉の選ぶときは、まず皮全体が赤くなっているかを見ましょう。ハリとつやがあり、全体が赤く色づいたものを選びます。また、持ってみて重量感のあるものがおすすめです。重いリンゴほど果汁がたくさん入っています。加えて、おしりのくぼみが深くて変形しておらず、枝が太くてしっかりしているものがよいでしょう。
選び方②香りもかいでみる
可能であればリンゴの香りもかいでみましょう。芳醇な香りのするリンゴは、よく熟しているリンゴです。しっかりとよい香りのするリンゴを選びましょう。
まとめ
紅玉はリンゴの中では酸味が強く煮崩れしにくいことから、スイーツ作りには欠かせないリンゴです。スーパーではあまり出回らないリンゴですが、手に入れたらまずは生で食べてみて、その後スイーツ作りに挑戦してみてください。
出典:写真AC