肉桂の名前の由来
シナニッケイは中国から伝来したと先述しましたが、香辛料(薬など)として伝来したのはなんと8世紀前半で正倉院宝物にもその記載が残されています。沖縄など南の限られた地域に固有種も自生していたことが明らかとなりましたが、樹木として日本に中国・アジアのシナニッケイが伝来したのは江戸時代といわれています。
「ニッキ」の読み方の由来
シナニッケイは中国から伝来した際、「肉桂」と表されており、当初はそのまま「ニクケイ」と呼ばれていました。日本人には少々発音しづらいこともあり、時間とともに「ニッキ」という読み方に変わっていったと考えられています。地域によっては「ニッケ」と呼ぶところもあります。
「肉桂」の漢字の由来
日本では「桂」という木も存在しているのにクスノキ科のシナニッケイが「肉桂」と表され、これがややこしく感じますね。中国では「桂」という木は「香りのする樹木」の総称で使われており、シナニッケイの皮は分厚く、肉のような樹皮を持つことから「肉桂」と呼ぶようになったと考えられています。
「スパイスの王様」とも呼ばれだけあるわね。ところで肉桂ってどんな味なのかしら。他のシナモンと比較しながら味をみてみましょう。
肉桂・シナモンの味
世界最古のスパイスであるシナモンは、大きく3つの種類があることがわかりましたね。肉桂はその3つの中でも根を使う日本独自のスパイスともいえそうです。この3つにはどのような味の違いがあるのか確認してみましょう。
繊細な香りのセイロンシナモン
オイゲノールという特有の成分を持つセイロンシナモンは、なんといっても香り高く繊細な香りが特徴があります。辛味はないためチャイやアップルパイなどに少し加えるだけで素材のよさを辛味で消してしまうことなく、大きな存在感を発揮します。セイロンシナモンは甘いお菓子とあわせるのがよいでしょう。
スパイシーなシナニッケイシナモン(カシア)
セイロンシナモンよりもパンチのあるスパイシーな香りがカシアの特徴です。甘い香りが強く、後味にわずかな辛味を持ちます。カレーや肉料理などにあわせるとよいアクセントを生み出すでしょう。
爽やかな香りと強い辛味を持つ肉桂
肉桂の味の特徴は強い辛味です。香りは甘く、爽やかです。肉桂の辛味は後味に感じやすいでしょう。肉桂を利用したお菓子で有名なものに八つ橋がありますね。八つ橋の甘みを最後まで生かすスパイスとして重宝されるのも納得ですね。
こうして味を比べてみると、同じような香りに思える3者に大きな違いがあることがよくわかるね。
自分の用途にあわせてうまくシナモンを選べば今までよりさらに楽しめそうだわ。改めてまとめておきましょう。
セイロンシナモン・カシア・肉桂の違い
- 辛味がなく、繊細な香りはセイロンシナモン
- やや辛味があり、スパイシーで甘く、強い香りを持つシナニッケイシナモン(カシア)
- 最も辛味が強く、甘い香りを持つ肉桂(ニッキ)
まとめ
今回は肉桂(ニッキ)を中心としたシナモンについてご紹介しました。シナモンの香りのする肉桂はやはりシナモンの仲間でしたね。セイロンシナモン、シナニッケイシナモン(カシア)、そして肉桂(ニッキ)とどれも個性あるスパイスであることがよくわかりました。特徴をおさえてそれぞれの個性を楽しんでみてはいかがですか。
歴史あるスパイスなだけあって、名前の由来1つとってもおもしろいね。