クロモジの利用法
利用法①精油
クロモジの精油は枝や葉っぱを水蒸気蒸留して作られます。8~10月に枝葉を刈り取って切り刻んで蒸留器で蒸留すると精油が採れます。森林を思わせるさわやかで甘い香りは、かつては化粧品や石鹸などの香りづけに使われました。
利用法②つまようじ
和菓子に添えられた菓子とり箸や木製のナイフのような形をしている、少し黒い樹皮を残してあるつまようじは「黒文字」と呼ばれ、クロモジの枝から作られます。箸やつまようじを使う前に水に浸しておくとクロモジの甘い香りがほのかに漂います。
利用法③お茶
お茶はクロモジの香りを簡単に楽しむ方法のひとつです。クロモジの枝と葉っぱを細かく切って乾燥させたものを煮出します。鍋に水とクロモジをいれ20~30分煮だすと、お茶の色がピンクになり、甘い香りがただよいます。灰汁が出るので気になる場合はコーヒーフィルターなどで濾しましょう。
おいしい飲み方
クロモジのお茶は、ふくぎ茶として販売もされています。ノンカフェインなので就寝前にも飲め安眠に導いてくれるお茶です。胃腸の調子を整えたいとき、風邪が心配と思うときにもおすすめです。あたたかいお茶もおいしいですし、冷たくしてもさわやかな香りがひきたちますよ。
利用法④薬酒
クロモジの枝と葉っぱを焼酎やウォッカ、日本酒などに漬けこむとクロモジのお酒ができます。お茶には溶け出さない成分がアルコールによって抽出されるため、薬酒として毎日少量ずつ飲んでみてはいかがでしょうか。健胃や炎症を抑えるなど多くのクロモジの効果を期待できます。フルーツとの相性もよいのでカクテルにするのもおすすめです。
利用法⑤クロモジ風呂
クロモジはお風呂でも楽しめます。布袋にクロモジの枝と葉をいれて浴槽にいれるだけと簡単です。リラックス効果に加えて、体をあたためてくれるので、冷え性や肩こりが気になるならおすすめです。ふけや脱毛対策としても活躍し、ヘアケア製品に配合されることもあります。
利用法⑥庭木
10月ごろには果実が黒く色づき、紅葉も楽しめるクロモジは、手間がかからない庭木としても人気です。洋風和風どちらの庭にもしっくりとなじみ、枝は花材としても楽しめます。部屋に枝を飾っておくだけで森林の中にいるような香りが漂うのでルームフレグランスとしてもおすすめです。
クロモジの仲間と違い
クロモジには変種やよく似た種類が多い樹木で、クロモジに対して「アオモジ」「シロモジ」などがあります。クロモジと似た名前の仲間との違いを見ていきましょう。
アオモジ
アオモジはショウガノキとも呼ばれ、クロモジのクスノキ科クロモジ属に対しハマビワ属です。枝が緑がかっていることからアオモジと呼ばれます。枝には芳香があるのでクロモジと同じようにつまようじに使用されます。ショウガノキの名前は、果実が成熟するとスパイシーな辛みのある香りがあることに由来します。
シロモジ
シロモジはクロモジと同じクスノキ科クロモジ属の樹木です。クロモジほどではありませんが、シロモジの枝葉にはクロモジ属特有の香りをもちます。アジアの温帯地域の低山に分布し、見かけもクロモジに似ていますが、枝が灰褐色であることがクロモジとの違いです。果実の種子から絞る油は行灯などの燃料として使用されました。
まとめ
クロモジのさまざまな用途と効果効能についてご紹介しました。クロモジには多くの利用法のある有用な樹木で、日本の暮らしに溶け込んでいました。斜面にはえるクロモジの枝を切り出す作業は大変な重労働なので、クロモジは今後ますます貴重な存在となっていくのではないでしょうか。
出典:写真AC